公開日 2004/08/26 11:03

ボーズ、驚異の快適走行を実現する車両用サスペンション技術を発表

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ボーズ(株)/ボーズ・インターナショナル(株)代表取締役社長 佐倉住嘉氏

このたびボーズが発表した「ボーズ サスペンション システム」のインストールイメージ
●ボーズ(株)は、米国ボーズ・コーポレーションにおける研究開発の成果として、あらゆる道路状況・運転状態においても滑らかな車輌走行を可能にする新技術「ボーズ サスペンション システム」の記者発表会を開催した。

ボーズはこれまでもスペースシャトルへのスピーカー搭載やシスティナ礼拝堂、スーパードームなど著名施設における音響設計や、世界各国の高級乗用車への音響システム供給において名高い実績を上げてきた業界のリーディングカンパニーである。その研究は、音響開発の分野にとどまらず、通信機用DC/DCコンバーターや原子力発電における燃料棒、ジェットエンジンによる発電の電力制御など多岐に渡っており、さらに今回は自動車用サスペンションの画期的な新技術の開発を実現するに至ったのである。


リニア電磁モーターや制御用CPUを搭載するコアユニット

前輪部へのインストールイメージ

各ユニット部を結ぶ制御回路のイメージ
今回の技術は米国ボーズ・コーポレーションが24年の開発期間を費やし完成させた新技術だ。従来のサスペンションとは全く異なるアプローチにより、これまでの車輌に採用されているダンパーとスプリング、油圧どうしの組み合わせでは実現不可能だった、凹凸の激しい道における快適な走行を独自の数学的アプローチとコンピューターサイエンスにより実現している。これにより、急激なハンドリングの際にもシャーシーを一定に保つ操縦安定性も併せて実現された。

今回は日米同時に8月25日付で新技術の発表会が開催された。日本国内における発表会は25日、ボーズ(株)、ボーズ・インターナショナル(株)の代表取締役社長である佐倉住嘉氏による挨拶によって幕を開けた。

佐倉氏は「ボーズ サスペンション システム」の技術を例えて「簡単に言うならば、車のサスペンションに動物の筋肉と同じ動作を実現する機能」と表現した。その上で「従来の車でサスペンションとして採用されてきた“アクティブサスペンション”の機能とは、似て非なる高度な技術を実現した製品である」ことを明らかにした。今回の技術は、米国ボーズ・コーポレーションが車両用のサスペンションとして24年間に渡る歳月をかけて開発したものであるという。

今回の技術を実現するにあたり「人型ロボットの筋肉にあたるサスペンション機構とは異なり、100から200キロの高速走行による負荷に耐える性能、重量の変化に対応する性能、そして脳にあたる高度な制御アルゴリズムを実現した点に注目いただきたい」と、新技術のポイントを語る佐倉氏はさらに、「本来二律背反する、スポーツカーの操縦性とラグジュアリーカーの快適性を両立させている画期的な技術であり、今後多くの乗用車において採用されることだろう。これだけの機能を有するシステムの消費電力を、車載用クーラー3分の1という省エネ設計により実現できた点にもぜひ注目していただきたい」と、新たな技術の登場による同社のビジネス拡大に強い意気込みを示した。


通常のサスペンションを搭載した乗用車

ボーズ・サスペンション搭載の乗用車

カーブ走行時においてもボーズ・サスペンション搭載車の方が車体にぶれがないことがわかる
本日は同社の常務役員営業本部長である持丸聡氏も列席し、新技術を搭載したテストカーのデモンストレーション映像による概要説明、ならびに質疑応答を行った。下記に質疑応答の内容をご紹介しよう。


ボーズ(株)常務役員営業本部長 持丸聡氏
<質疑応答>
Q:従来の油圧式と比べて、「ボーズ サスペンション システム」を実車両に搭載した場合どれくらいの重量増になるのか
A:今回は技術発表の段階なので、実製品に関する詳細についてははっきりとしたことを申し上げられない。ただ、弊社の技術を採用した場合、今の製品の半分以下に重量を抑え込むことはできるだろう

Q:車輌重量が半分になれば、消費電力も少なくてすむのか
A:現段階で開発途中のものを採用して、消費電力を車載エアコンの3分の1くらいに抑え込むことができるだろう。製品化の段階でもこの数字は大きくは変わらないだろう

Q:この技術を実装することで、今までの運転と感覚が変わるのでは。生じる変化による運転上の危険性などはないのか
A:実際に一般のドライバー、プロのドライバーともに試乗テストしたが、得に運転上の違和感は感じられなかったという報告を得ている

Q:実際の車に搭載する場合はタイヤメーカーとのやりとりが必要になってくるのでは
A:実車への技術搭載と製品化は、これからの研究開発の段階で明らかにすべき部分であると考えている

Q:24年の開発を成果を自動車用以外の技術に転用する可能性はあるのか
A:可能性は十分にあると思う。具体的には現時点では定まっていないが、これから可能性を探っていきたい

Q:耐久性とメンテナンスの必要については
A:これからの研究開発の課題であると考えている。今までの油圧式のものと比較して、圧力などがかからないのでリスクは少ないと思う。本来自動車メーカーと共同で製品の開発においてリスク対策を進めていくものであると考えている

Q:5年後の市販車への搭載を目指しているということであれば、御社としてはこのシステムを現時点で何パーセントくらい完成させられたと考えているか。これからどこを改良を加えていくのか
A:これから手を組む自動車メーカーさんと実車搭載時の作り込みを進めていきたいとしか、現時点では答えられない

Q:自動車メーカーとの共同開発にあたっては、今まで音響開発を一緒にやってきたメーカーが主な取引先になるのか
A:今のところはどの自動車メーカーと組むか一切決まっていない。音響で一緒にやってきたメーカーとも機会があればせひやっていきたい


【問い合わせ先】
ボーズ(株)
インフォメーションセンター
TEL/03-5489-0955

(Phile-web編集部 山本)

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