公開日 2003/09/01 18:09

<短期集中連載>お蕎麦屋さんでも見られる!「大地の芸術祭」ショートビデオフェスティヴァル大賞決定(2)

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<左>松代町道の駅に設置されたビデオ上映機器
●公募されたショートビデオの作品を、街のお蕎麦屋さんや、駅、旅館、温泉施設等の日常の場で上映して、通行する人や、その場を使う人々に見せてしまおうというビデオフェスティバルが新潟でおこなわれ、上映作品中から優秀賞が決定した。受賞作と各審査員コメントは次の通り。

○大賞:
ヤン・ジェンジェン(揚振忠・中国) 「私は死にます(日本語版)」
(作家が日本の道端ですれちがったり、偶然出あった様々な年齢や職業の日本人たち。かれらに、カメラの前で「私は死にます」という一言を言ってもらう。そのアイデア1本で通した全くシンプルな構成の映像作品。だが、カメラの前で自分の死を口にする人たちの表情は、短い時間でも驚くほど変化し、千差万別である。)
審査員の中原佑介氏は受賞作について、「技法はまったく単純だが、この方法で中国、日本,ドイツ、韓国、ベルギーの人々を撮影しており、同じ言葉を言うだけなのに、いろいろな表情がでている。」とコメント。

○中原佑介(美術評論家)賞 + キドラット・タヒミック(映像作家)賞:
井出芽衣/平竹晋也/吉本千尋(日本) 「Ponchi危機一髪」
(Ponchi(ポンチ)とは、イギリスの挿絵新聞パンチの漫画をさす、明治時代の言葉。漫画の主人公が、印刷所で、漫画のコマから抜け出してコマとコマの間をさまよい、漫画ともども危機一髪となるというお話。実写に手書き漫画や髪の毛を使ったアニメを組み合わせ、さらにできた作品を、講談風の語りで上映する様子までを見せた。)
中原氏コメント:漫画を題材にし、それをさらにパロディとしてとりあげ、危機一髪という言葉の「髪」を素材にしたりして、手のこんだ作品。非常におもしろかった。これを大賞に押したが、受賞作4票に対し、この作品は3票を獲得して接戦の末、大賞を逸したのは残念。
タヒミック氏コメント:楽しみながら作っている。楽しさが編集の荒っぽさをおぎなってあまりあり、素晴らしい。

○ 鈴木志郎康(詩人・映像作家・多摩美大教授)賞:
宰務希大(日本) 「婆車」
(和服を着た老婆がたすきがけをして、車をひっぱっている。和太鼓の力強い音と共に、どんどん夜の道を歩き続ける謎の老婆の姿を追うモノクロ映像作品。)
鈴木氏コメント:発想にびっくりした。今回の参加作品は、作品が閉じていて、ストーリーを展開しているものと、開かれていて、そこから現実に出ている作品とに大別できるように思うが、この作品は、閉じているにも関わらず、おばあさんがなぜ車を引いているかが謎になっており、それが現実の方へつながっている。閉じている作品と開いている作品との境界に位置する作品と言えるだろう。登場するおばあさんが好きになってしまった。
※ 鈴木氏の詳しいトリエンナーレ報告は、以下のURLで読むことができる。

○ バーバラ・ロンドン(ニューヨーク近代美術館キュレーター)賞+トム・フィンケルパール(クイーンズ美術館《ニューヨーク》ディレクター)賞:
マイク・スタッブス(イギリス) 「Cultural Quarter」 
(ある街角に置かれた自動車に対して、次第に暴力的になっていく人々の映像を隠しカメラを設置したようにドキュメント風にとらえた作品。若者の暴力的な衝動などが衝撃的に写される。)
ロンドン氏コメント:正直さ、怒りなどがこみいったオーセンティックな作品。
フィンケルパーク氏コメント:実際におこった記録で、野蛮な現象を見てしまった。それが、編集により、より強調されている。

○ ホウ・ハンルゥ(インデペンデント・キュレター)賞:
アリーテ・テイセン(オランダ)「ポンティ通り」
(セネガルの首都の通りで、路上で物を売って生活している人々の様子を撮影。グローバリゼーションや、撮影している作者の属する白人を中心とするヨーロッパ社会に対して、彼らが意見を言う。)
ハンルウ氏コメント:オリジナリティがあり、グローバリゼーションの姿を現実の中で捉えている。

○ サリー・コウコード(インディペンデント・キュレター )賞 : 
ルウ・チュンシェン(陸春生・中国) 「ライト兄弟の過ち」
(ライト兄弟の発明が、暴力やセックスに関連があると考える作者は、4人の男達が互いに殺しあうというストーリーを考えた。3人を殺した残りの男は、建物から飛び降りる。)
コウコード氏コメント:暴力、殺人、壮大な裁きが素晴らしい撮影技術で語られた。

○ 一般視聴者特別賞 : 
能瀬大助(日本) 「ラジオ体操の時間」:
朝の公園に集まって、ラジオ体操をする人々の姿を淡々と写す。季節が変わっても、ラジオ体操のために人々は集まり、体操をして、また、去っていく。

※大賞他28作品は、9月7日まで、妻有トリエンナーレ会場の各所で、上映中。
 詳細は、下記、URLまで。

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