公開日 2002/01/04 11:46

デジタルハリウッド学校長 杉山知之氏が語る、2002年のデジタル化の進展 その2

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デジタルハリウッド学校長 杉山知之氏
●リビングルームがもう一度、家族だんらんの場になる
 ―― 我が業界でも、デジタル化によりいろいろなプラスの面が現われてきていると思います。それを、楽しい生活や家族の幸せといったところへ帰結させていくことが大切だと思います。今、ホームシアターが人気を集め始めていますが、その背景にもやはり家族があります。
 
杉山 先ほども、家庭においてはリビングルームがキーになると述べましたが、それに通ずるところがありますね。リビングルームがこれまでにない生活のデジタル化を装備することで、そこがもう一度、家族だんらんの場になると思います。日本では家族がバラバラになる文化が発達し、弊害を味わったと思います。どこかで、家族を大事にしようという感覚が強くなっているはずです。そんなとき、リビングルームの大きな画面で皆が一緒に楽しめる。すごくよい家族だんらんになりますよ。是非、もっと盛り上がってほしいですね。
 
―― 販売店さんでも、ホームシアターをご購入頂いたお客様から感謝されるケースが増えていると聞きます。リストラや倒産など環境が厳しい中で、やはり拠り所となるのは家族です。その材料としてホームシアターが大きなインパクトになっているのだと思います。
 杉山 確かにおじいちゃん、おばあちゃんからお孫さんまで、家族3代で楽しめますからね。一緒に映画が見られれば、それが話題となって家族が盛り上がれますからね。
 
 ホームシアターは手づくりで楽しむ部分があると思います。そこも魅力のひとつなのではないでしょうか。自分たちで工夫をして、例えば、システムのことだけでなく、部屋のインテリアのことなども考えなければいけない。ただ単に機器を買ってくればいいというのではなく、いろいろな意味で生活と深く関わってきますからね。大きなシステムを家に入れるという意味でも、家族のコミュニケーションが重要になります。家族皆の意見が出てくる。その時点ですでに、家族のだんらんが生まれてきますね。
 
―― 「簡単」がキーワードだと思います。
 
杉山 簡単にできることを考えてあげると、いろいろな商品が出てくると思います。例えば、斜めから見てもきれいに投影できるソニーの「シネザ」という商品などは、これは「いいなあ」と思いましたね。使いよさはいくらでも工夫できるはずですからね。

●オーディオ・ビジュアルはeコマースがやりやすい
 ―― デジタルテレビが出て、ディスプレイ革命がそれを後押しし、その動きに伴って、eコマースが発展していこうとしています。商品によっては、わざわざ店に足を運ばなくてもいいものが出てきますね。
 
杉山 すでに、パソコンはeコマースで買う人の割合が増えています。eコマース用の企画をして、そこでしか売らないプロダクトを構成したり、組み合わせを用意したりすると、ものすごく売れてしまう。「限定500台は黒色を出す」というと、あっという間に売れてしまうといった具合です。
 これからは、さらにいろいろな機器がeコマースで買えるようになっていくし、特にブランドが確立しているオーディオ・ビジュアルでは、製品の雰囲気にも統一感があり、やりやすいかもしれませんね。コンシューマーも「このメーカーならこの感じだろう」と知っていますから、迷わないで済むという面があります。
 
―― 販売店では顧客管理の仕方を改めるところも出てきているようですね。
 
杉山 今までは、個々の人が買ったものしか追いかけていなかったと思います。しかし、これからは色々な関連性を追求してみる必要があります。例えば、何万円クラスの大型冷蔵庫を購入した人は、これくらいの生活レベルだから、それならば、高級ホームシアターシステムが必要になる、といった具合です。生活シーンから分析するような、そうしたマーケティングというのは、これまでされていなかったんでしょうね。
 メーカーを見ても、白物の人たち、映像の人たち、オーディオの人たちというように、今まではタテ割りになっていたような気がします。それぞれにマーケティングデータを持っていますが、全然関連させていないんだと思います。ひとつ、データの拾い方の視点を変えることができれば、同じお客様についてもいろいろな要素が出てくるはずです。
 
―― ホームシアター環境を整えれば整えるほど、オーディオも、デジタルマルチチャンネルで復活すると考えています。
 杉山 やっと、オーディオでもマルチチャンネルが本当に楽しめる時代になるという気がします。ですから、早いところ5・1チャンネルを標準として音楽制作を始めてほしいですね。そうすると、ステレオで技術的にも固定されていて、脱皮することができなかった音響を、つくる側でも、新たな音づくりとして挑戦していくことができると思います。それによって、面白い作品がたくさん生まれてきますよ。そういった変化は絶対に訪れてほしいですね。
(1月5日掲載<最終回>に続く)

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