公開日 2001/04/10 18:47

【Q&A全問掲載】ビーイングは音楽配信をこう考える

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●別記事でお伝えしたように、米国MP3.com社と、B'zや倉木麻衣でおなじみのビーインググループが手を組み、共同で“japan.MP3.com”サービスを開始した。その記者発表会の席上で行われた質疑応答のすべてをお伝えしよう。

なお、答えの最後の(中)はビーインググループ代表の中島正雄氏、(ロ)はMP3.com社会長のマイケル・ロバートソン氏が質問に答えたことを示している。

■Q:パートナーシップは具体的にどのような形で行われるのか?
■A:共同で会社を作るということではなく、お互いの得意分野を持ち寄るだけだ。アーティスト・消費者のサポートはビーイングが、技術的な分野はMP3.comが行う。(中)

■Q:予想される収益の内訳は?
■A:まだ具体的に決定していない。バナー広告には期待している。(中)

■Q:サービス開始時期は?
■A:いままでも試験的にアップロードしていたが、今日(4月10日)が正式なオープンになる。(中)

■Q:すでに、米国や日本のメジャーレコード会社の一部は、自社サイトや共同出資サイトなどで、楽曲の直接ダウンロード販売を行っている。この動きはますます加速すると思われ、MP3.comと競合するだろう、これについてどう思うか。
■A:将来的に競合する部分は確かにあるだろう。だが、MP3.comは、よりユーザーにとってわかりやすいサービスを提供しているつもりだ。米国サイトではインディーズアーティストが人気を集めており、バッティングする部分はそれほど多くはない。(ロ)

■Q:インディーズアーティストを主に扱うMP3.comと、メジャー音楽会社であるビーイングが手を組んだ背景は?
■A:米サイトでは、マドンナやエリック・クラプトンなど、メジャーアーティストも多数紹介している。ただし、楽曲の販売というよりは、プロモーションツールとして使用しているようで、ビーイングもこの考え方で進めていく。(中)

■Q:ビーイングは音楽配信を行わないのか?
■A:FTTHが各家庭に行き渡れば話は変わるかもしれないが、1曲のダウンロードごとに課金するというシステムには無理があるのではないか。様々な音楽配信サイトから色々な説明を受けたが、結局すべて断ってきた。CDには物としての重みがあり、データでは愛着は生まれないからだ。MP3.comには「DAM」というシステムがあり、ネットの簡便性とCDというリアルが結びついている。もし音楽配信を行うのであれば、プラットフォームからすべて自社で賄いたいが、今のところその予定はない。(中)

■Q:メジャーとマイナーが共存するMP3.comで、どうやってビーイングのアーティストを効率的にプロモーションするのか?
■A:MP3.comには、ユーザーの好みを子細に分析する技術がある。それを応用し、顧客ごとに内容を変えた電子メールなどで情報を提供していく。(中)

■Q:他レコード会社にも参加をよびかけるのか?
■A:そのつもりだが、ビーイングとしても、実際にサービスの本質を体感してからでないと、そうおいそれとは薦められない。著作権管理などは、これからもかなりの混乱が予想される。その動向を見極める意味でも、もうすこし時間が必要だろう。(中)

中島代表がMP3.comとの協力を承諾した最大のポイントは、MP3.comのポリシーである「アーティストの嫌がることはやらない」という言葉に心を動かされたことと、もう一つは、MP3.comが独自のビジネスモデルを持っており、コンテンツをシェアしなくてもよい、という点に魅力を感じたからだそうだ。コンテンツを所有するメーカーからすれば、いくら将来性があるとはいえ、メシの種をほかの会社に渡すということに対する不安を感じるのも当然だろう。

大手メーカーが続々と音楽配信に邁進する中、独自の方向性を模索するビーイング。興味深い会見だった。(Phile-web編集部)

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