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公開日 2001/01/02 11:07

業界のキーパーソンによる21世紀特別対談「夢を語る」その2

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●21世紀にオーディオ・ビジュアル、デジタルの世界はどうなるのか。業界のキーパーソンである、日本オーディオ協会副会長 ・ソニー相談役 鹿井信雄氏 と デジタルハリウッド学校長 杉山知之氏 が語る今世紀の未来像、その第二回目をお送りする。

●日本政府も含めてIT関係の改革に力を入れ始めた

鹿井 1990年代の最後の10年間は、やはりアメリカはサイバーワールドづくりに関して、大変積極的でした。その間日本は、少し戸惑いましたよね。しかし、97年頃から、インターネットの技術開発が民間にまでおよび、急激に広がりました。

日本が出遅れた理由は何なのでしょうか。サイバーな世界と、それからハードウェアの歩みとに、一時期ギャップができていたような気がします。サイバーの進化がドッグ・ライフで非常にスピードが速い。ハードの方は昔流に、1つの商品を作るのに1年かかる。それから大きくスタイルが変わっていくのに7年間、あるいはメディア・プラットフォームが25年間といった具合で変わっていきます。この歩みのギャップが一つの要因です。

しかし現在は、日本政府も含めて、IT関係の改革に力を入れ、ソニーの出井会長もIT戦略会議の会長を務めるなど、IT分野ではようやく積極的な展開が始まってきました。世界のIT化の変化についていける状況を作り出すためにも、IT関係のインフラ改革の必要性について認識を日本中に広めていく必要があります。
 
今、ロボットの話が出ましたけれども、決められた仕事はこなせても、人の代わりを出来るほどにはなっていません。21世紀では、もう一度人間の本質的なところに立ち戻って消費者にアプローチしていく必要があります。ソニーはAIBOを登場させましたが、これは人工頭脳を持つロボットでヒーリング(癒し)からスタートしました。これまでのロボットはほとんどが自動化実現の道具だったため、機械という感じでした。21世紀はもっと変わる必要があります。やはりキーワードは、人間の共生できる相手という本質からスタートするということですね。
 
杉山 これだけ知識も自由に手に入って、いろんなことが分かる状況で、若い人も含めた世の中の人たちは、「人間の本質とは何だろう」というような問い掛けが、分からなくなってしまっているような気がします。あまりにも先人たちの教えが多く、昔のように1つのことをシンプルに信じられる時代ではないので、何に向かって自分を作り上げていいか若い人を中心に分からなくなっています。いろんなことができる環境だけど、何をしたら良いのか分からない。昔よりはきっと夢を実現しやすいはずなのに、自由すぎて、一体何をやっていいか分からないのでしょうね。
 
鹿井 自由すぎて何が自分たちのなすべきことなのかが分からない。私も同感です。自由すぎると、自分の考え方をどこに設定したらいいのか迷ってしまう。目的なしにそれをできる人は大変少ないと思います。昔の教育というのは、どちらかというと社会性教育と目的形成でした。まずは家の中で社会のけじめを学び、学校で友達という関係の中で、心と心のぶつけ合いから生まれる価値観を身につけることができました。少なくても現在の30代以上はそういうものを経験している。現在のような余りに自由度の高い教育は若い人にとって今後プラスに働いていくのかどうかが疑問です。自由を与えすぎたために目標が絞れない人が増えてしまうことに対して怖ささえ感じます。
 
杉山 その結果、何となく、いわゆるフリーターや、大学を出てもそのまんま目標もなく、取りあえず日々お金をもらえる仕事に就いてしまう人が増えているのでしょう。僕も学校をやっていて若い人を見ていますが、目標を見つけられない人が多く、それで相談に来る生徒が多い。それから昨今の子どもたちが自分の友達を平気で殺したり、若い親が自分の子供を虐待したり、殺したりする。一番当たり前のことが理解されていないことにショックを受ける一方で、世界中の最高峰の知識が簡単に手に入ってしまうことは、あまりにもバランスの悪いことではないでしょうか。インターネットで調べれば、原爆の作り方や世界中の最新論文も読めてしまう。最高峰の知識が簡単に誰にでも手に入るのに、教えなくても分かりそうなことが、一番分かってない。
 
鹿井 大変頭の痛い問題ですね。社会が利益を生み出せる後継者の育成ばかりを追い求めすぎた結果なのでしょうか。人間が生きていく上で、一番大切にしなければいけない道徳心の教育が忘れられがちでした。また、放送というマスメディアの影響も大きいでしょう。ほんの一部分の話題を取り上げて、人気とりに情報を加工する傾向にありますので、正しい情報が伝わりにくい状況になってしまっているのも事実です。
(以下続きは1月3日へ)(SENKA21編集部)

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