公開日 2025/03/18 06:30

ウルトラマンゼロとイヤホンが“一体化”!想い迸る「COTSUBU ULTRAMAN ZERO version」の開発担当者に話を訊いてみた

こだわりぶりが“final”ウルティメイトゼロ
編集部:松永達矢
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ガイダンスボイス「A面」:収録テーマは“ウルトラマンゼロの成長”

───ガイダンスボイスについて伺わせていただきます。放つセリフが全て名台詞なウルトラマンゼロですが、限られた枠の中で収録セリフを選定するのは非常に難しかったと思います。A面収録ボイスの選定理由をお聞かせ願えますか? 

A面とB面とで計12種のガイダンスボイスを収録。シンプルに嬉しい

Akki:本当におっしゃる通りの話で、ウルトラマンゼロのセリフを選んで搭載するという作業はかなりの困難を極めました。ファンであるが為にこの工程が一番神経を使いました。

───話すそぶりからも、当時の心労が窺えます。

Akki:「ウルトラマンゼロの完全ワイヤレスイヤホン」という部分でファンの方が一番期待されている部分ですし、何より自分もウルトラマンゼロのファンなので中途半端はできない。その一方で収録容量とも向き合わないといけなかったですからね。

まず製品化の話を円谷プロダクションさんからいただいた際に、ウルトラマンゼロ初登場作品の『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』で高らかに放った「ゼロ、ウルトラマンゼロ! セブンの息子だ!」は外せないな。というところで一つ。

そして、彼を象徴するセリフと言っても過言ではない「2万年早いぜ!」(2010年発売作品『ウルトラ銀河伝説外伝 ウルトラマンゼロvsダークロプスゼロ』にて初披露)を収録しないことには、ウルトラマンゼロをフィーチャーするとはいえないですよね。これは議論の余地なしで決定になりました。

以降の収録ボイスを選ぶうえでは、何か軸が必要になるな……と思い、まず考えたのが「ファンとウルトラマンゼロの歩み」です。本モデルは、ウルトラマンゼロの15周年イヤー(2024年が初出映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』公開から15周年。今年2025年は『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』の公開から15周年)が継続する中での発売となります。ファンの方がゼロと共に歩んだ15年という歳月で「ウルトラマンゼロの成長」を感じてくれていると思うので、それを製品から感じていただければ、というのが一つのアイデアです。

そこで15年という長い時間の中で、様々な作品に登場するウルトラマンゼロを幾つかのフェーズに分けて考えてみました。『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』や、そこから派生するOV作品はいわば彼のオリジンなので抑えたい、というのは先ほども話した通りです。「俺のビッグバンは、もう止められないぜ!」「ブラックホールが吹き荒れるぜ!」もこのフェーズからの収録ボイスになります。

そのオリジンで見せた荒々しさは「これまでのウルトラヒーローと違う」ウルトラマンゼロの大きな特徴となり、人気を決定付けた大きな要素の一つだと思いますので、相当悩み抜いたうえでこの辺りからのチョイスを多めにさせていただきました。

そして先ほどお話ししたように、現実の時間とリンクするように成長を遂げるのもウルトラマンゼロというキャラクターの面白さです。自分を含めたファンの方はそこに焦がれていると思います。となると、荒々しい時期一辺倒なのも良くはない。そして収録枠の兼ね合いからどのフェーズからセリフを選ぶか……という部分を考えると、仇敵であるウルトラマンベリアルとの宿命をもった朝倉リクを仲間として見守り、共闘する『ウルトラマンジード』(2017年放送)がゼロにとっての大きなターニングポイントとして、その中から選ぶこととなりました。

とはいえ、『ウルトラマンジード』ではレギュラーキャラとしてウルトラマンゼロが登場するということもあり、セリフ数も多い。作品を選んでも結局選定は難航します(笑)。その中でもウルトラマンゼロを描いたドラマとしても分厚く、ウルトラマンジードとの関係性も窺える第8話「運命を越えて行け」より、「俺に限界はねぇ!」「よく言うだろ主役は遅れてくるってな!」を選択した次第です。

───その前後回めちゃくちゃ好きです。ピンチに陥る第7話「サクリファイス」は見ながらガチ泣きしました。本モデルに収録されるセリフと共に登場する強化形態ウルトラマンゼロビヨンドがめちゃくちゃカッコよくて……。

Akki:ウルトラマンゼロのファンの方のそれぞれの期待や希望に添えられない可能性もあるなか、円谷プロダクションの方と詰めていった部分なので、そう言っていただけるとありがたいです! 『ウルトラマンジード』以降も、弟子を自称するウルトラマンゼットが登場する『ウルトラマンZ』(2020年放送)がありますけど、「ウルトラマンゼロの成長」を指針とすると一番の伸び代は『ウルトラマンジード』期になるのかな、と今回は泣く泣く見送りました。

───セリフ選定にもドラマあり、ですね。ちなみに、このセリフ入れてみたかったなあ……みたいなのはありますか?

ウルトラマンゼロは、ほかのウルトラヒーローと比べてみてコミカルな側面も非常に魅力的なので『ウルトラマンサーガ』(2012年公開)で一体化したタイガ・ノゾムとのやり取りで発した「うそーん」や、「フィニッシュ!」は入れたかったですし、『ウルトラマンゼット&ゼロ ボイスドラマ』の「えーい!」なんかも選びたかったです! ただ、自らが課した「成長」というテーマから外れてしまうので……。特に「うそーん」は、Bluetooth接続が切断されたときに聴こえてきたら面白いだろうなあ、なんてことも考えてました(笑)。

そのほかにも『ウルトラマン列伝』のナビゲーターとして放ったセリフや、その中で展開した『ウルトラゼロファイト』や、『ウルトラギャラクシーファイト』シリーズ、ステージのセリフなどなど選択肢は無限大なんです。製品に対して悔いは無いですけど、この議題になると取材時間が足りなくなりますね。

ガイダンスボイス「B面」:タイガ、レイトさんから継げてしまう“発明”

───ぜひウルトラマンゼロモデル「第2弾」の製作をお待ちしております。続いてB面収録ボイスについてです。「インナースペースでウルトラマンゼロが語りかける」というコンセプトはまさに “発明” です。ガイダンスボイスを決めるうえで、こだわった点をお聞かせください。

Akki:B面はウルトラマンゼロの声を演じる、宮野真守さんの新規撮り下ろしセリフとなっています。実は製品の企画段階だと、宮野さんのガイダンスボイスを新録対応できるかどうか分からないという状況でした。製品仕様を詰めていく中でスケジュールを調整いただき、収録のご対応をいただけるとなった段階でこの製品でしか味わえないことを追求する方向に舵を取りました。両面とも劇中セリフの再現だと面白くないですからね。

そこでイヤホンという、自分の中で音を完結させる音響機器の特徴を活かして「インナースペースでウルトラマンゼロが語りかける」というコンセプトを思い付きました。製品コンセプトの「一体化」ともリンクする部分です。

また、ウルトラマンゼロというキャラクターは作品によって変身者を変えるのも大きな特徴なので、これを活かす形でタイガ・ノゾム、伊賀栗レイトに続いてゼロと一体化するのは “「COTSUBU ULTRAMAN ZERO version」を手に取ったあなた” というのを叶えられる、唯一無二の体験をプラスさせていただきました!

製品ページに使用される宣材カット。奥に写るフェイスプレートのデザインモチーフになった「ゼロスラッガー」は、円谷プロダクションから借りた「ホンモノ」とのこと

───本当にありがとうございます。登場してから15年以上が経つなかで、こんなにアツいアイテムを作ってくれたことに感謝しかないです。「やっと会えたな」(電源ONのガイダンスボイス)なんてウルトラマンゼロに言われたらめちゃくちゃ嬉しいですよ。

Akki:ですよね! 製品企画の立場なのに「会いたかったです!」って返事したくなりますよ(笑)。そしてこれは製品ページに書いてないのですが、 “インナースペース感” を出すためにセリフにはかなりこだわったエコー処理を掛けています。イヤホン特有の音場が訪れる感じもあるので、かなりの没入感を味わえると思います! ぜひ実物を手に取ってもらって確かめてもらいたいです。

───ハイエンドな変身アイテム玩具などでセリフを再生する機能があったりしますけど、効果音や劇中BGMなどが無い状態でセリフだけを耳元で聴けるというのもこのモデルの良さですね。ちなみになんですが、ペアリングで変身時や、光線のSEを入れてみようという考えもあったりしましたか?

Akki:もちろん検討しました! 父であるウルトラセブンの変身音をフィーチャーしながら鋭さを感じるSEは本当にカッコいいです。ただ、あくまでガイダンス音声なので、毎日使うイヤホンとしての使用感を考えるとちょっとクドくなってしまうかな、というところがネックになりますよね。普段使いするアイテムとしてのバランスと、製品を通じて伝えたい世界観を重視してボイス収録という方向とさせていただきました。

とは言ってもバッテリー切れそうなタイミングでカラータイマーの点滅音とか鳴らしたかったですね……!

試してもらいたいのは“没入感”/Akkiさんの「限りなきチャレンジ魂」

───ファンアイテムとしても楽しめる本モデルですが、聴こえ方的な特徴を教えてください。

森:ベースモデルの「COTSUBU for ASMR」は、 “自分がそこにまさに投入されたような没入感” をコンセプトとしながら、オーディオ的な強調を行わないことで映像作品のニュアンスを楽しんでもらいたいというモデルです。それを踏まえながら本モデルでは、「ウルトラマンゼロが登場するコンテンツを楽しんでもらいたい」といった方向で調整しています。開発中には、さまざまなコンテンツをチューニングの参考として拝見させていただきました。

───「この曲を」というチューニングでなく、「コンテンツ」をイヤホンのチューニングの軸にもってきているというのは珍しいですね。

森:そうですね。「一体化」というコンセプトもあるので、イヤホンを手に取っていただいた方に映像作品の中へ没入してもらうという狙いもあります。もちろん「コンテンツ」という括りの中に楽曲もありますが、そこだけにフォーカスを当てるのでは無く大きな括りで「コンテンツ」という認識ですね。

───なるほど。これはスマホとの組み合わせで映像作品が見たくなりますね……。こういった回答をいただきながら恐縮ですが、本モデルで「ぜひ聴いてもらいたい」というウルトラマンシリーズの楽曲を教えていただけますでしょうか?

Akki:やっぱり一番は川井憲次さん作曲の「ウルトラマンゼロのテーマ」ですかね。実際に製品チェックのメイン曲として何度も聴きました。この楽曲を「COTSUBU ULTRAMAN ZERO version」で聴くと、曲の味わいや、森が言ったように没入感が違いますね。社内で聴き入り過ぎてスタッフから声掛けられても気付かないなんてシチュエーションが何度もありました(笑)。まあチェックも仕事といえば仕事なので……。

あとは、ウルトラマンゼロの声を演じている宮野真守さん歌唱曲ですと「ZERO to INFINITY」(『ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀』/2020年配信)ですとか、現在放送中の『ウルトラマン ニュージェネレーション スターズ』主題歌の「ゼロの覚醒」とかも「COTSUBU ULTRAMAN ZERO version」とマッチする楽曲かと思います!

───ウルトラマンゼロのイヤホンで聴く、ウルトラマンゼロ関連楽曲。イヤホンの特性も相まって没入感と浸り甲斐がありそうですね……。タイトル問わずAkkiさんの好みだとどうですか?

Akki:ほかですか! 『ウルトラマンティガ』の「TAKE ME HIGHER」や、『ウルトラマンネクサス』の「英雄」「青い果実」のような疾走感あふれるナンバーとはめちゃくちゃ相性が良いと思います! 

───私(記者)もほぼ毎日聴いているような楽曲です。このモデルでウルトラ系の楽曲を聴いたら問答無用でテンションが上がると思うので「ウルトラマンゾフィー」「SHININ' ON LOVE」「Another day comes」、BGMだったら「フォトンストリーム」とか「アグル復活」を〜……(以下略)。

失礼しました。本製品がとても素晴らしいモデルであることはここに至るまでで十二分に伝わっておりますが、ファンとして見逃せないのが封入特典です。今回、昨年10月末から展開しているウルトラマン カードゲームのプロモーションカードが付属します。こちらの提案って円谷プロダクションさんだったりするのでしょうか? 

Akki:実は弊社からです! 製品企画を仕事として進めながら、いちファンとしてウルトラマンシリーズの展開をチェックしていると、皆さんと同じようにウルトラマン カードゲームの情報もキャッチするワケです。そこで、「このイヤホンだけに付属するカードがあれば、より “一体化” というコンセプトを表せるんじゃないか」と、試しに提案させていただきました。一旦は検討を挟みましたが、「カード、良いですね」と乗ってくれたという形になります。

      封入特典として「ウルトラマン カードゲーム」のプロモーションカードを1枚同梱する

───コンテンツの商流を見ると、ウルトラマン カードゲームは展開してまだ間もないので、プロモーションの側面からイヤホンへの封入は円谷プロダクション主導かと勝手に思い込んでおりました。すごいです。

Akki:もちろん、円谷さんにもそういう考えもあったと思うので以心伝心といったところでしょうか。カードのイラスト背景はイヤホンのパッケージと同じ宇宙をイメージした図案になっていて、ウルトラマンゼロのイラストも何かをつぶやくようなポーズが描かれています。まさに “お手に取った方と「一体化」する、インナースペースから囁きかける” というのを体現したものとなっています。

記載されているフレーバーテキスト(ゲームの進行そのものには関係しない、ストーリー性を持たせた文章)も完全ワイヤレスイヤホンの封入特典というストーリー性があって、「どんな時も頼もしい彼の声を、いつでも君のそばに。」と、なっています。すごくないですか? これ。

───世界観の補強に抜かりがないですね(笑)。聞いていて笑っちゃうくらいにすごいですし、ファンアイテムとしての完成度が隅に至るまで堅い……!

森:“一体化” というキーワードも、円谷プロダクションさんと共同開発を始めた段階からすぐに出てきたものなので、そこの想いがあったのではないかなと考えます。製品のコンセプトをしっかり汲んでもらえている、というのがカードデザインにも表れていますよね。

───「大のウルトラマンシリーズ好き」のAkkiさんに最後の質問です。あくまで、“個人的” にfinalでイヤホン化したいウルトラヒーローをこっそり教えてください。

Akki:一つに絞りきれないので、年代ごとに紹介させてください(笑)。まずはなんといっても「ウルトラマンタロウ」ですね。

───世代的に意外なチョイスで驚きました!

Akki:実は子供の頃見た『ウルトラマン物語(ストーリー)』(1984年公開)がウルトラヒーロー原体験でして、そこから『ウルトラマンタロウ』(1973年放送)もしっかり見ました! 原体験ということもあって昭和期ヒーローでは1番好きですね。機会があれば弊社でイヤホンにしたいです。

ほかだとやっぱり『ウルトラマンティガ』(1996年放送)ですね。その魅力は言わずもがなですけど、昨年開催されたウルトラマン カードゲームのイベントで、長野博さん(同作で主人公、マドカ・ダイゴを熱演)が登壇した動画を見たときは涙が出そうになりました……!

行くイベントが結構な頻度で記者と被っていたAkki氏

───めちゃくちゃ分かります。イベントの模様を聞いて自分も感極まりました。『ウルトラマンティガ』については「ZE3000」 “ウルトラ警備隊モデル”から「COTSUBU ULTRAMAN ZERO version」までの3年間で出てないのが不思議なくらいのキャラクターなので今後に期待したいです。

Akki:やりたいと思ってもできるものではないので、これらの発言は社の一員というよりも、完全にファンとしての願望ですね(笑)。どうかご承知おきください!

あとは『ウルトラマンネクサス』(2004年放送)。この作品は何度見返しても飽きることないです。作品のテイストは群を抜いてダークですけど、番組中でウルトラマンに変身する姫矢准がボロボロになるまで戦い、守るべきものを守り抜く姿が非常にヒロイックですよね。そして初見だとウルトラマンの変身者が作品内で変わることに「ええーっ!」って驚くまでがセットですね。

今に至るまで続くニュージェネレーションヒーロー期だと『ウルトラマンオーブ』(2016年放送)『ウルトラマンジード』もやりたいですね! すべては「COTSUBU ULTRAMAN ZERO version」の成功次第なので応援してくれるとありがたいです……!

───本当にポンポン出てきますね(笑)。ことネクサスについてはハードな作風もさることながら、そのテーマ性が熱い作品ですし、劇中を彩る川井憲次さんの劇伴がかなり良いです。

止め時を設けないと無限に話していられるテーマですが、まずは「COTSUBU ULTRAMAN ZERO version」が、多くの方に届くことを祈っております。やっぱりウルトラマンは最高です。Akkiさん、森さん、この度はご対応ウルトラありがとうございました……!

◇◇◇

取材の場で一足先に「COTSUBU ULTRAMAN ZERO version」を手に取り、聴かせていただいたが、Akki氏(取材中ナチュラルに「ゼロ様」呼びをしていた。かなりわかる)が熱弁してくれたデザインで示す世界観や、特に力を込めたというボイスガイダンスの聴こえは本当になかなかのものだった。

ASMR特化モデルがベースということもあり、収録されたガイダンスボイスから感じる没入感は凄まじい。装着して初めて「ウルトラマンゼロの声」を聴いた瞬間思わず感嘆の声が漏れてしまうこと請け合いなしなので、お外に連れて行く前に、まずは自宅で試すことをおすすめしたい。記者は取材に同席してくださったfinalのスタッフ全員にしっかりと「リアクション」を披露してしまう羽目になった。

今なお一線で走り続けるウルトラマンゼロをフィーチャーしたアイテムの中でも屈指の完成度と、イヤホンならではの楽しさを提供してくれる「COTSUBU ULTRAMAN ZERO version」。このモデルを手にした方にはぜひ、ウルトラマンゼロとともにオーディオの銀河、マルチバースを切り拓いていただきたい。

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