公開日 2020/12/16 06:20

山下達郎 独占インタビュー。徹底的に音にこだわり選んだ、新しいライブのかたちとは

第2弾配信ライブは12/26開催
インタビュー:永井光晴/構成:杉山康介
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

「配信ライブ」はコロナ禍以降もビジネスチャンスとなり得るスタイルだ 

ーーおっしゃる通り、今回のライブは達郎さんにとっても初めての経験だったわけですが、やはり通常のライブとは違う苦労もありましたか?

山下:そうですね。僕の普段のライブの平均演奏時間は大体3時間くらいですが、そのうちの何割かはMC(ライブ中のトーク)なんですよ。自分のライブにMCは不可欠だと思っていて、その日のお客さんの雰囲気やその場の空気感などで柔軟に構築していくんですが、残念ながらネット配信ではそこをフォローできない。なのでどちらかというとレコードのように配信ではMCを少なくして、音楽を純粋に聴いてもらうつもりで作っています。

ーー達郎さんのライブといったらMCも魅力の一つですが、そこの再現は難しいと。

山下:海外でライブやらないのもそこが理由です。通訳を介したとしても僕のMCの質が変わってしまいますからね。だから「音楽は世界共通言語」なんて言葉はあまり信用できない(笑)。もちろん普遍性やインターナショナリズムというものはありますけど、ポピュラーミュージックはキチッとしたコール&レスポンスが言語的に存在しないといけないと思ってきましたし、インストゥルメンタルだって例えばクラシックなら「この曲をどういう動機で作ったか」がわからないと、音楽の魅力が何%か薄れてしまう。

僕自身、生きてる人間の考え方を反映してずっとライブをやってきたので…。2020年にもなって今更こんなこと話す機会が来るとは思わなかったですけどね(笑)。何分こういう時代なので。

とは言え僕も配信に関しては初心者なので「俺はこういうスタイルなんだ」と言えるほどにまだ確立できていません。まだ一回しかやってないので、工夫すればもうちょっといろいろなことができるかもしれない。僕の価値観をネットでどのくらい活かせるのかも未知数ですし、だからこれからもトライアンドエラーでやっていくしかありません。


ーー「これから」というのが、まさに誰もが気になっているポイントだと思うのですが、もし情勢が落ち着いて通常通りライブができるようになったとき、それでも配信を続けるつもりはお有りですか?

山下:それはまだ分かりませんね。一つの表現手段としては確かにアリだと思います。オーディオ的にはもっとスペック上げていきたいなとは思いますが、MUSIC/SLASHのシステムは突き詰めれば僕らがスタジオのモニターで聴いている音をそのまま家庭で聴ける状況が作れるので、そこまで到達できればひとつの価値観を生めると思いますよ。

それに今って、僕に限らず皆さんが配信に対してトライアンドエラーを繰り返したり、いろいろなアプローチを試みているじゃないですか。これね、将来的にそんなマイナスにはならないと思いますよ。新しいメディアのスタイル、違う言い方をすれば新しいビジネスチャンスとして、レコードが売れなくなってどうしようという問題の解決策のひとつになる可能性がありますし、それは非常にポジティブなものですから。

だから結局ね、みんなまだそんなに突き詰められてないですよ。 口はばったく色んなことを言ったってお金にならなきゃしょうがないので、正直なところ、とりあえず今は「どうしたら食っていけるか」。そっちの方が先だから!(笑)



コロナ禍により、急速に広まりつつある配信ライブ。今はまだリアルなライブの代替措置という立ち位置かもしれないが、山下氏の言う通り、ノウハウやプラットフォームが構築されていけば、いずれは音楽における“ニューノーマル”となり得るだろう。

なお、山下氏は今回、配信ライブ以外にもハイレゾやオーディオ、レコードについてなど、実に多くのことを語ってくれた。次回記事では興味のある方も多いであろう「音楽とオーディオ」について記していこう。



Tatsuro Yamashita SUPER STREAMING ACOUSTIC LIVE in Live Music JIROKICHI supported by G-SHOCK  
2020.12.26(土) 21:00 start



チケット料金:4,000円(税込) *イープラスでの購入手続きが必要です
チケット購入受付URL:https://eplus.jp/musicslash1226/
チケット購入受付期間:11月29日(日)15時 〜 12月20日(日)18時
チケット販売枚数:無制限
視聴方法:安定した回線環境において、ご自身の端末でご視聴ください。
     購入前に必ずログインのトライアルを実施し、
     ご自身の視聴環境で視聴可能かどうかをご確認のうえ、
     ご購入ください。
     視聴テストURL:https://trial.musicslash.jp/
*本配信URLは、「配信日2日前の14時以降」にイープラス申込み状況照会サイト(https://eplus.jp/jyoukyou/)に掲載いたしますので、公演前に必ずご確認ください

動作環境や視聴に関しての注意事項など、
詳細は『MUSIC/SLASH』オフィシャルサイトでご確認ください。

MUSIC/SLASH お問い合わせ先
https://lp.musicslash.jp/user-contact
営業時間:平日 11:00〜18:00

なお、このライヴ映像配信を記念した特別番組が12月20日(日)13時から、TOKYO FM/JFN38局ネットで放送予定です。

前へ 1 2 3

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 XREAL、XREAL Oneが入った「開運福袋2026」を12/11から販売。200セット限定
2 HARBETHの魅力は“声”にあり!色褪せぬエバーグリーンなサウンドを、あえてのアニソンで斬りまくる!
3 5万円で激変、“DCリニア電源”をどう使う?トップウイングの「DC POWER BOX」徹底使いこなし!
4 AVIOT、LDACにも対応した1万円切りの“ピヤホン9”「TE-U1-PNK」
5 mora、ハイレゾ配信12周年キャンペーン第2弾スタート。「ハイレゾ大使」には森口博子が就任
6 『続・太鼓判ハイレゾ音源はこれだ!』#2【後編】- かつしかトリオ『“Organic” feat. LA Strings』リリース記念インタビュー
7 AURAS東京、シアターの常識を覆すかんたん操作&美しいデザインの“エンターテイメント空間”をカスタムメイド
8 LG、リアルタイムAIプロセッサー搭載の4K有機ELテレビ「OLED C5M」
9 【Qobuzダウンロードランキング】ブルーノート東京、夏の風物詩!矢野顕子トリオのライブ盤が1位にランクイン
10 Bowers & Wilkins、「801 D4」を六本木ISETAN SALONEにて特別展示。12/25まで
12/12 10:48 更新
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー199号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.199
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
特別増刊
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
最新号
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.23 2025冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.23
プレミアムヘッドホンガイド Vol.33 2025 SUMMER
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.33(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • プレミアムヘッドホンガイド
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX