息を呑む、未体験の精細感

ソニー「α7R IV」レビュー。フルサイズ初の6000万画素超えは伊達じゃない

山田久美夫

前のページ 1 2 3 4 次のページ

2019年09月17日

■現状最高レベルの超高精細な描写力

それでは早速インプレッションに移ろう。やはり最大の注目点は、有効約6100万画素センサーによる高精細な描写だ。先代機に比べ、約1.5倍近い画素数アップは伊達じゃない。

この画素数で、等倍表示をする意味性はさておき、PCディスプレイ上で撮影画像を表示し、どんどんと拡大していくと、「こんなにも写っているのか!」と感動を覚えるほどの精細感である。先代機でも十分過ぎる解像度を備えていたが、本機はさらに余裕のある高精細さを備えている。



A3プリントどころか、ポスターサイズのプリントにも十分耐えるレベルであり、冷静に考えると「ここまで必要か?」と思ってしまうものの、広大な風景を撮っても、肉眼では気付かないほど細部までキッチリと写り、実に気持ちがよい。ポートレートでは、瞳の毛細血管や毛穴まで容赦なく写してしまう、恐ろしいまでの実力だ。

「α7R IV」で撮影した画像の一部(赤枠の部分)を等倍表示してみると、その圧倒的な精細感を体感していただけると思う。群生したひまわり一本一本を、花びらの枚数を数えられるほどに描写しているのがお分かりいただけるだろう。

また、これだけの高画素数となると、横位置で撮ったカットをトリミングして縦位置で使っても、必要十分な画素数を保持できるため、納品後、どのように使われるかわからないプロ用途でも威力を発揮するだろう。

さらに本機には、“APS-Cクロップ”と呼ばれる、画面中央のAPS-Cサイズの範囲だけで撮影するモードも備えており、同モードを使えば、同社のAPS-C用レンズでの撮影もできる。この場合でも画素数は約2600万画素もあるので、A3プリントくらいなら楽々カバーできる。

フルサイズ対応レンズ装着時に、同モードを使用すれば、焦点距離が1.5倍の望遠撮影になる点も隠れたメリット。望遠側が足りない時にも便利だ。撮影画像のデータサイズも小さくなり、連写時の連続撮影枚数も約3倍に伸ばせるなど、超高解像度を必要としない動体撮影などでは、特に重宝するだろう。

■明暗の再現域や超高感度もハイレベル


本機のような高画素モデルは、解像度は高いものの、センサーの画素密度が高いため、超高感度画質の低下やダイナミックレンジ(明暗の再現域)が狭くなる傾向がある。だが、今回本機を使用した範囲では、その懸念はほぼなく、実質的に先代機と同等か、やや勝るほどの性能を実現している。これは大きな魅力である。

超高感度域については、2400万画素クラスのモデルに比べ、強いとはいわないが、それでもISO3200程度までは安心して使えるレベル。また、動体撮影ではISO6400も多用したが、十分実用に耐えるという印象だ。ISO12800まで上げると、流石にノイズや細部の潰れが見られるが、SNSなどで利用するのであれば、実用の範疇といえるだろう。

また、ダイナミックレンジがクラストップレベルとなる15段もあるため、かなり明暗比の高いシーンでも、白飛びや黒つぶれを最小限に抑えたデータが得られる。これも本機ならではの魅力だ。JPEG撮影では、その恩恵を積極的に体感する機会が少なく実に残念だが、RAW撮影すると、現像工程でその再現域の広さにきっと驚くことだろう。


上の作例は「α7R IV」でRAW撮影したデータを現像したもの。その再現域の広さに驚かされる。ちなみに、ハイライトやシャドーの階調を適度に圧縮することで、幅広い再現域を実現する「Dレンジオプティマイザー」により、JPEG撮影でもある程度は本機のダイナミックレンジの広さを体感できる。ただ本領を味わいたいのであれば、RAW現像がおすすめだ。

■改善されたグリップ感と操作性

そして、本機を手にしてすぐ気付くのが、ホールド感の向上だ。α7シリーズの美点である小型軽量さはそのままに、先代機よりグリップが大きめになった。これにより指がかりがよくなり、望遠ズームや大口径レンズなど、重めのレンズを装着した時の安定感が大幅に向上している。また、それに伴って、シャッターボタンの角度なども見直されており、シャッターもより押しやすくなった。シャッターの感触も、先代機と明らかに異なるフィーリングだ。

本機はシャッターユニットも新規開発されている。ちょうど「α7R II」の振動の少なさ(音は賑やか)と、「α7R III」の静かさ(振動は若干感じる)のいいとこ取りをした感じだ。実はこれが、今回「α7R IV」を使用した上で感じた、もっとも大きな改善点かも知れない。撮影時の軽快感や安心感が向上しており、振動も少なく、微細なブレによる画質低下にも効果的だ。

とはいえ、フラグシップ機として考えると、他社製のフラグシップミラーレスほど、静かで振動が抑えられているわけではないため、もうワンランク動作時の質感を向上させてほしかったというのが正直なところ。もちろん、実用上は何の問題もないし、先代機よりも明らかに進化はしているのだが、フラッグシップと謳うのであれば、こちらも欲をいわせてもらいたくなってしまう。


先代機から操作部も大きく変更。右肩の露出補正ダイアルに新たにロック機構が採用された。設定が不意に変わってしまう心配はなくなったが、その分、やや回しにくくなった感はある。ただ、新たにカスタム設定でコントロールホイールに露出補正を割り当てられるようになったため、ロック機構に煩わしさを感じるのであれば、そちらを使えばよいだろう。

磨き上げられたAF性能と、高画素機のイメージを覆す高速性能

前のページ 1 2 3 4 次のページ

関連記事