「フル対応」の意味とは

<CES>同じ「HDMI 2.1搭載」でも、メーカーによって機能も意味も違う

編集部:風間雄介
2019年01月09日
今年の各社テレビ上位機種の多くには、HDMI 2.1端子が搭載されるはずだ。実際にCESで発表されたテレビも、その多くがHDMI 2.1端子搭載をアピールしている。

だが、ひと言でHDMI 2.1といっても、様々な機能がある。どの機能を採用するかは各メーカー、各モデルごとの判断に委ねられているということだ。

これでは誤解を招くというので、機能と切り離した格好で「HDMI 2.1」とだけ謳うマーケティング手法は禁じられている。HDMI 2.1をマーケティングに使うなら、そのうちどの機能に対応しているかを示さなければならないのだ。

HDMI 2.1では最高48Gbpsのスピードで伝送が行える

以前の記事で、HDMI 2.1の新機能について簡単にまとめた

画質面で最も大きな進化点は、4K/120p、8K/60pといった高解像度かつハイフレームレートな映像を伝送できるようになることだ。ただこれも必須というわけではなく、HDMI 2.1端子を搭載していても、4K入力は60pまで、ということは十分あり得る。事実、ソニーの有機ELテレビ最新モデル「A9G」はそのような対応になりそうだ。

それでは、ほかの機能についてはどうだろうか。以下に主なものを挙げよう。

・「eARC」(拡張したARC機能)
・「VRR」(リフレッシュレート可変機能)
・「ALLM」(自動低レイテンシーモード)

このうち、各社が対応を謳うことになりそうなのは「eARC」だ。なぜかというと、しっかり規格が定まり、要件や認証テストの仕様などが承認されているのは、今のところeARCだけだからだ(これを受け、アリオンが昨年11月から試験サービス提供を開始している)。

HDMIを使って、テレビからオーディオシステムへ音声信号を送り返す「ARC」(Audio Return Channel)はかなり前から採用されている機能だが、これをHDMI 2.1の帯域を使ってenhanced(拡張)したものがeARCだ。ドルビーアトモスやDTS:Xなどのオブジェクトオーディオ、そして最大32chまでの非圧縮オーディオをサポートする。

つまりeARCに対応すると、プレーヤーやゲーム機からテレビに非圧縮オーディオやオブジェクトオーディオを入力し、それをそのままAVアンプなどに送り返せることになる。接続がシンプルになり便利だ。

では「VRR」「ALLM」についてはどうだろう。これらの機能は主にゲーム向けのもので、以前から先行して採用例があった。マイクロソフトのXbox One Xが、昨年VRRとALLMに対応している。またサムスンのQLEDテレビ(2018年モデル)も、HDMI 2.1対応は謳っていないものの、VRRとALLMに対応していた。

VRRと同じような技術は、ゲーミングモニターでは以前から存在する。NVIDIAの「G-SYNC」やAMDの「FreeSync」などだ。ティアリングが発生しないため、チラつきが気にならずにゲームプレイができる利点がある。これらの先行事例があるため、VRRも規格が定まる前に先行して搭載したということだろう。

繰り返しになるが、これらのさらなる解像度への対応、また新機能への対応は、本来はHDMIの定めた試験をクリアし、認証を受けなければならない。だが、そのテストや認証プロセスがまだ最終的に固まっていないため、たとえばVRRへの対応を考えていて、そのためのハードウェアスペックを備えていても、真っ当に説明するなら「対応を検討している」という回答にならざるを得ない。

つまり、一部でHDMI 2.1の新機能にフル対応、とアピールしているメーカーがあるとしたら、それは対応するハードウェア的な能力を備えているということであって、正式にHDMIの認証を得たものではないことを、一応は知っておきたい。

当のHDMI Licensingが一部機能をフライングして提供しているわけで、何をか言わんやという感じではあるが、ルールを守り、真面目に回答しているメーカーが誤解される可能性があるというのも、またおかしな状況だ。

関連記事