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アマゾン先行にアップル、グーグルも続くか? 「クラウド型音楽サービス」の今後を占う

公開日 2011/04/15 12:21 編集部:風間雄介
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インターネット上にあるサーバーのストレージや処理リソースを活用する、いわゆる「クラウド」を使った音楽関連サービスに注目が集まっている。

大本命のブランドがまだサービスを始めていない状況ではあるが、今回は現時点で分かっている情報をベースにしながら、これらのサービスの概要、今後の展望などについてまとめてみたい。



一言でクラウドを使ったオーディオビジュアルサービスと言っても、そのかたちは様々。そのどれもが新しい形態のサービスというわけではない。

たとえばVODやIPTVも、サーバー上のデータをダウンロード/ストリーミングでAV機器に配信するので、クラウド型サービスの一種には違いないが、こういったものについて改めて説明する必要は無いだろう。ここでは音楽関連サービスに話を絞ることにする。

以前にも書いたように、クラウドという言葉の定義は曖昧で、各社が独自の解釈のもと、好きなように使っているというのが現状だ。このため一括りにして「これがクラウド型音楽サービスです」と紹介するのは難しい。

とは言いながら、ここで立ち止まっていると話が進まない。あえて「クラウド型音楽サービス」を定義してみると、インターネット上のサーバー上に各ユーザーの専用ストレージを提供し、そこにメディアライブラリデータを保存。このライブラリに様々な機器からアクセスし、再生することができるというイメージが一般的ではないだろうか。こういったサービスについて、米国では「ミュージックロッカー」という呼称も使われている。

こういったスタイルの音楽サービスが注目を集める背景についても、念のため説明しておこう。

現在、Wi-Fiの普及やWANの速度向上、エリア拡大が急速に進んでおり、どこでも高速なネットワークに接続できる環境が世界的に整いつつある。さらにスマートフォンやタブレットなど、ネットワークに接続できる機器の種類や数が爆発的に増えている。

こうなってくると、音楽ライブラリをPC内のローカルストレージに閉じ込めておく、これまで慣れ親しんだ方法が不便に思えてくる。スマートフォンやタブレットにあらかじめ楽曲を同期/転送しておかないと、聴きたい音楽にアクセスできないことが、かなり不自由に感じられてくるのだ。

クラウド上にライブラリを置いておけたら、好きなときに好きな場所から、自分の音楽データにアクセスできる。ポータブル機器のストレージのやり繰りに困っている人なら、この便利さを容易に想像できるだろう。



IT系の話題を追っている方であれば先刻ご承知だろうが、クラウド型の音楽配信サービスについては、かなり前から様々な噂や憶測が飛び交っていたし、いまも真偽不明の話が毎日のように様々なメディアを賑わせている。

その話題の中心にいるのはアップルだ。MobileMeを無償化してメディアコンテンツをクラウド上で同期できるようにするといった噂や、クラウド型iTunesを提供するのでは、といった噂がまことしやかに囁かれているが、今のところアップルは沈黙したままだ。

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