国内展開はどうなるか、他メーカーの参入時期は − 「Google TV」次の焦点

ファイル・ウェブ編集部:風間雄介
2010年05月21日
昨年ニューヨーク・タイムズがスクープした「Google TV」が、ついに正式発表された。

発表の内容はほぼ当初の報道通りで、Google、Intel、Logitech、ソニーの4社が、Androidをベースにしたテレビ向けのオープンソースプラットフォームを開発するというもの。米国でソニーが2010年秋にテレビ一体型モデルとSTBタイプの2モデルを発売するほか、LogitechもSTBタイプを開発中で、詳細を今秋にも発表するとしている。

Google TVのUIイメージイラスト

様々なネット動画をシームレスに視聴できる

「Google TV」はAndroidベースなので、スマートフォン向けAndroidアプリがそのまま動作するほか、IntelのAtom「CE4100」が搭載されることで高速処理が可能となり、テレビやネットサービス、アプリケーションなどをマルチタスクで動かすこともできるのだという。

今年3月、記者はソニーがGoogleと組む理由についての考察を記事にした。記事の内容は恐らく現段階でも話が通じる部分が多いと思うが、実際に発表されてみて疑問に感じる点も少なくない。

●国内での展開はどうなる?

ソニーはGoogle TV対応テレビについて、米国では2010年秋に発売すると発表しているが、日本での展開はどうなるのか。日経では国内でも発売すると報道されたが、ソニー広報センターに確認したところ、「現段階では未定である」との回答しか得られなかった。

もし日本で発売されたとして、国内は米国に比べ、著しくVODサービスの数が少ないことが気にかかる。Googleのプレスリリースを見ると、対応するVOD/IPTVサービスとしてNetflixやAmazon Video On Demand、YouTubeといった名前が挙がっているが、米国内に数多あるそれ以外のVOD/IPTVサービスも、独自にアプリなどを開発すればGoogle TVに参画でき、ソニー製の対応テレビで視聴することが可能となる。

これに対して、日本で映画など著作権をクリアした動画を楽しめるサービスは「アクトビラ」などメーカー主導のVODサービスがメインで、それ以外のものはYouTubeやニコニコ動画などCGMを中心にしたものが中心という状況だ。

つまり現状のままでは、ビデオコンテンツが購入できない国内のiTunes Storeと同様、日本ではGoogle TVの機能をフル活用できない可能性が高いということになる。

ソニーが展開する予定の「ソニーオンラインサービス」では動画配信も行われるはずだが、傘下にSPEを抱えていることが逆に足枷となり、他のメジャースタジオと協調していくことは困難だろう。アクトビラを含め、様々な動画配信サービスがGoogle TVに名乗りを上げて欲しいものだ。

●他のテレビメーカーの参入時期は?

今回の「Google TV」はGoogle、Intel、Logitech、ソニーの4社が共同開発している。現段階でコンシューマー向け機器の開発・販売を表明しているのは、このうちソニーとLogitechの2社だ。とは言え、Google TVはオープンプラットフォームなので、いずれは他メーカーも同機能を内蔵したテレビやSTBを販売することが可能になるはずだ。

ただし、共同開発でノウハウや技術を提供する見返りとして、ソニーやLogitechがGoogle TV対応テレビを独占販売できる期間が設定されている可能性は非常に高い。問題となるのは、その期間がどの程度なのか、ということだ。

1年なのか2年なのか、あるいは半年なのか。この期間によって、ソニーが開発面で他社を引き離し、他メーカー参入後も主導権を握れるかが決まってくるだろう。以前の記事にも書いたとおり、OSとプロセッサーを他社に握られるからには、サービスやアプリケーション、つまりはソフトウェアが差別化のためのキーとなる。これを磨き上げるための時間的なアドバンテージが必要となるからだ。<追記:記事執筆後、Google TVのソースなどがオープンになるのは2011年夏であることを基調講演で確認しました。ソニーとLogitechが独占して製品を販売できる期間は約1年間ということになります>

ただしGoogleはAndroidケータイなどで、Googleが選んだメインパートナーに対して最新OSやその情報、開発ツールを真っ先に提供し、技術支援を行うという戦略を採っている。HTC製端末がいち早く最新OSを採用できていることには、そういう背景もある。だから、Google TVのソニー独占使用期間が終了した後も、Google TVのアップデート時に、ソニーが真っ先にその機能を利用できる契約となっている可能性も高い。

●他機器との連携はどうなる?

日経の報道によると、ソニーとGoogleの提携はテレビだけにとどまらない。テレビをゲーム機、PC、タブレット型デバイスなど、様々な機器と連携させる機能や、クラウドを利用したオンラインサービスなどでも提携するという報道内容だ。この件についてもソニー広報センターに照会したが「現段階では未定」とのことだった。

同じAndroidがベースであるXperiaやタブレット型デバイスなどとはスムーズに連携できるだろうが、近々発表と噂される次期PSPがAndroidで動作する可能性はあまり高くない(一部では次期PSPがスマートフォン+ゲーム機能といった形態の機器になるという噂もあり、これが事実であった場合は状況が変わってくる)。また、ソニーのPC“VAIO”はもともとWindowsで動いている。

つまり、クラウドが様々なOSで動く機器のブリッジとなる必要が出てくるが、これは今後展開予定の「ソニーオンラインサービス」のアカウントで紐づければ、それほど難しいことではない。すでにiPhoneやAndroidケータイとPCをクラウドで同期するサービスは多数存在する。これを大幅に機能拡張したようなイメージと捉えたら良いだろう。

そこで気になるのが、どのような機器連携が可能になるか、どのような可能性があるのかという点だ。記者は迂闊なことにGoogle I/Oのキーノートを見逃してしまい、記事執筆時点でYouTube上にはその模様がアップロードされていないため、具体的にどのような機能が発表されたのか知らないのだが、記者が機器連携で実現してほしいと考える機能を、いくつか順不同に挙げてみる。

・レコーダーで録画した番組が自動的にクラウドにアップロードされる。携帯デバイスと物理的に接続しなくても、いつでもどこでも視聴が可能になる(どの機器でもレジューム再生が可能)

・テレビ向けVODサービスをポータブルデバイスで連携視聴する

・楽曲ファイルをクラウド上に置いておき、ストリーミング再生で携帯デバイスや家庭内のオーディオシステムで視聴可能になる。もちろんDRM付きのファイルも含めて(これは次期iTunesでの採用が噂されているが…)

・ゲームのリモートプレイ(PS3+PSPではすでに可能だし、VAIOも順次対応予定だが、これをスマートフォンやタブレット型デバイスなどにも広げていく)

・ソーシャルメディアなどと連携し、コンテンツを互いにシェアしたり、リコメンドすることが可能になる

・カメラで撮った写真や動画はPicasaやYouTubeに自動アップロードし、テレビを含む様々な機器で再生。これだけでは既に実現している機器もあるので、使い勝手の良さや機能を磨いていく


少し考えただけでも、これだけ出てくる。もちろんソニーやGoogle社内ではさらに多くの可能性が検討されていることだろうし、今後はサードパーティーも革新的なサービスを実現するため、様々なアプリやサービス開発に知恵を絞ってくるだろう。今後の展開がますます楽しみになってきた。

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