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折原一也がトレンドの変化を考察

CEATEC会場で見かけたもの、見かけなかったもの

公開日 2009/10/08 19:45 折原一也
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●BD/テレビ新モデルの発表
今年のCEATECが若干寂しかったと感じる原因はここにあるのではないだろうか。東芝のCELL REGZAが主役の座を占めていた以外は、新モデルの発表はナシ。東芝は現行モデルの展示すら行っていなかった。パナソニックは現行テレビのラインナップをズラリと並べる展示スタイルで、これも控えめな印象。BDレコーダーについては、各社とも発表時期を前倒ししており、会場に行かずとも、事前に情報を入手できたということも大きい。

シャープのLED AQUOSは発表から間のない事もあり多くの来場者で溢れていた

日立、パナソニックなどはテレビを大々的にディスプレイしていた

●超薄型テレビ
昨年のCEATECでは各社が競うように展示していた「超薄型テレビ」だが、今回は積極的に薄さをアピールする参考出展モデルはゼロ。現行ラインナップの出展もそれほど多くなく、壁掛け設置など提案型の展示も見られなかった。今年発売されたテレビでも薄型をウリにしたモデルは少なく、今後の動向が気にかかるところだ。

●有機EL、SED
今回最もガッカリしたのがコレ。SEDは言うに及ばず、有機ELについても、ソニーのブース内で曲げられる有機ELを搭載したコンセプトモデル(1月のCESで展示していたものに近い)のみ。CES等で展示されていた27V型モデルの展示もなく、他ブースでも三菱の巨大モニターのほかは、技術デモすらほとんど行われていなかった。期待を一身に集めていた次世代ディスプレイも、年々高画質化するPDP/液晶に押され、展示すらされなくなってしまったということだろうか。

ソニーの有機ELは小型デバイスのみ。本命のテレビが展示されないのは残念

●ホームシアターのデモ
今年のCEATECは、AVメーカーの参加が少ない。なかでも“全滅”と言っても良いのが、AVアンプなどサラウンド関連の展示で、ブース内に本格的なシアタールームを用意し、本当に良い音を聞かせるところは皆無だ。プロジェクターについても、秋の新製品は数多く登場しているのに、CEATECで見られるのは三菱ブースの製品展示のみと、少々寂しい状況だ。

いつもは巨大なブースでサウンドデモを行っていたソニーも今回の個室は3Dのみ

●Windows7関連の出展
PC雑誌などを中心に大きな盛り上がりを見せているWindows 7の発売は10月22日ともうすぐ。CEATECのターゲットとは若干ズレがあるのかもしれないが、マイクロソフトが出展していないだけでなく、ソニーのようなPCメーカーも、ブース内の展示はほんのわずか。AV/オーディオメーカーでは、Windows 7がネットワークオーディオの起爆剤になると期待している向きもあるだけに残念だ。


このように俯瞰して眺めてみると、去年と比べ、CEATECの展示内容がかなり大きく変わったことがわかる。昨今の経済情勢を受けてか、全体的な傾向として出展社数やブースの面積は縮小傾向ではあったものの、逆に未来の技術を展示する場という意味合いが強まったことで、コンパクトにトレンドを見て回りやすい展示になっていたように思えた。今年のCEATECで姿を現した新技術が今後どのように実用化されていくか、来年以降のAVシーンを楽しみに見守ることとしよう。

文/ 折原一也
埼玉県出身。コンピューター系出版社編集職を経た後、フリーライターとして雑誌・ムック等に寄稿し、現在はデジタル家電をはじめとするAVに活動フィールドを移す。PCテクノロジーをベースとしたデジタル機器に精通し、AV/PCを問わず実用性を追求しながら両者を使い分ける実践派。

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