AR/XRグラスはホームシアターの夢を見るか?VITUREの「Beast」「Luma Ultra」をオーディオビジュアル評論家がチェック!
Beastレビュー:マイクロOLEDでパワフルな映像美
装着してまず気づくのは、グラス型のメリットである軽量性。VRゴーグルのように圧迫感を覚えず、すこしゴツめのサングラスを掛けている程度の感覚とストレスが少ない。
本機は視度調整機能を備えていないが、近視で眼鏡を装着したままの筆者も無理なく装着できた。
こうした覗き込むタイプのディスプレイは、より良い映像体験のために、光学系と目の位置関係を最適化するのが重要だが、本機はグラス部とつるの接合部分に可動機構を備え、左右独立して角度調整が可能。
個人差に応じて最適化すると、58°とワイドな視野角をフルに活かし、視野を広く覆う大画面映像を楽しむ準備が整う。
もっとこだわるなら、レンズフレームが同梱されているので、指定の眼鏡店でインサートレンズの作成も可能だ。
映像の視聴はPCと組み合わせ、U-NEXTで『トップガン マーヴェリック』を再生。まず驚くのはやはり映像の大きさ。
メーカーが謳う「4m先に174インチ相当」を感じるかどうかは個人差がある部分だが、視野のカバー率はその通りと納得できるもの。
一般的なユーザーがテレビやプロジェクターでは得難い特大画面感は本機を選ぶ理由の一つになるだろう。
そして圧巻はパワフルな映像美。マイクロOLEDは高輝度でコントラストが高く、同作品冒頭に近いモハーヴェ砂漠のシーンは褐色が支配的ながら、スカッと抜けの良い発色で、カリフォルニアの強烈な日差しを感じ取れる。
また、このパワフルな明るい映像が視野を覆い尽くすのも本機ならではの体験と思えるもの。視野を覆う大画面性ではテレビを、輝度の観点ではプロジェクターを凌駕し、新しい映像体験と言って過言ではない。
人物が登場するシーンでは、肌色の再現のナチュラルさに感心。
一般的に、デバイスを問わず液晶では漏れ光による暗部の浮きが色を濁らせて白いベールを被せたように見えがちだ。
しかし本機は黒がギュッと引き締るコントラスト性能と精密なコントロールにより、鮮やかな発色も派手に感じず、眺めているだけでも目に心地よく感じられるほど。
ほか、暗転して格納庫内のシーンでは、極超音速機ダークスターを後方から照らすライトの輝きが強烈で構図の立体感を際立たせ、この効果もテレビやプロジェクターでは感じたことの無い水準。
HDR映像の神髄を楽しむなら、一般的なOLEDテレビを凌駕する部分もある。ディスプレイの代用ではなく、本機でこそ体験できる映像の世界もあるのだ。
機能面ではヘッドトラッキングも映像体験に関係する。映像は視界に対して固定もできるが、頭が動くと映像もそれに応じて動いたように感じるので、利用者によっては違和感を覚えることもあるだろう。
ヘッドトラッキング機能をオンにすると、頭を左右に振っても映像は正面に固定したかのように感じ、体感としてはナチュラルになる。頭の動きに対して映像位置の補正は遅延を感じず高精度なので、空中に映像がビシッと固定される感が素晴らしく、未来を感じることができる。
関連機能の「スムースフロー」は、頭の動きに対して映像位置の補正を少しディレイさせる。乗り物で振動による細かな動きがあっても敏感に反応せず映像位置を安定させることができ、チューニングも含め本製品の実用性を高める高機能に感じた。
ほか、映像を遠くあるは小さく調整する機能も搭載。視野が広いので、映像の端が見切れる場合は、適宜調整すると良いだろう。ハーマン監修の高音質スピーカーシステムを搭載し、本機のみで画音が充実したシアター体験ができた。
Luma Ultraレビュー:暗いシーンでも階調がナチュラルに表現される
装着感や位置の調整は「Beast」に近いが、視度調整機能を内蔵しているのが大きな特徴。
筆者は軽い近視だが、本機に搭載のダイヤルを回すだけで簡単に最適化できた。裸眼の場合、眼鏡の干渉が無いことに加え、視野が安定して見易い感があり、眼鏡利用者にとっては非常に有用な機能と言える。
画質はBeastと比べて遜色のない印象。視野角は52°とBeastに及ばないが、充分にワイドで画面の隅々まで歪や色収差を感じないのは美点。
輝度の高さ、色域の広さも、映画映像を視聴する限り充分以上の印象だ。映像の明るさは調整が可能だが、最大付近まで明るくすると、ガンマが弱くなったように暗部諧調が持ち上り、バンディングも目立ってくるが、コントラスト感としては適正と思えるもの。
暗いシーンが多い映画の場合、本機の輝度設定を控えめにすると、階調がナチュラルに表現されるので、映像や好みに応じて調整すると良いだろう。
Beastは黒側の諧調を沈めてメリハリ感を意識した画作りなので、映画映像なら本機の方がしっくり来る作品やシーンが多いだろう。
スピーカーシステムは本機もBeastと同様にハーマン監修のスピーカーシステムを搭載。映画はセリフが明瞭かつ肉厚で聴き応えがあり、ナチュラルな立体感も好ましい。映画視聴は長時間になりがちだら、本機ならBeast同様に快適だろう。
機能面で本機は単体だと0DoF、つまり映像が固定されるが、プロセッシングユニットとして機能する「Pro ネックバンド」を組み合わせると、ヘッドトラッキングに加えジェスチャー操作も可能になる。
上述のBeastと同じく、ヘッドトラッキング機能が利用できると、「遠くにある大画面」を見ているような感覚が得られるので、併せて検討すると良いだろう。
マイクロOLEDによるパワフルな輝度と鮮やかな色再現はOLEDテレビ以上
今回、グラスタイプのディプレイをホームシアター目線でチェックしたが、BeastもLuma Ultraも、マイクロOLEDによるパワフルな輝度と鮮やかな色再現はOLEDテレビ以上の印象。また、視野を覆うという点ではプロジェクターも凌駕。
もちろん、OLEDテレビには黒諧調の緻密な表現、プロジェクターにはリアルな距離感とそれから得られる大画面感といった良さがあるが、必要とする空間、機材のコストと重量、設置性などを考えると、VITUREのグラス型ディスプレイは選択肢として互角に感じた。
また、VRゴーグルと比較すると装着による圧迫感が無く、周囲の雰囲気も感じ取れるのは快適。
グラスタイプの場合、明るい部屋では周囲が映像内に映り込むのは避けられないが、電子シェードの効果は大きく、さらに自室なら照明を暗めにするとVRのように映像に没入できるだろう。
専用ソフトウェアの利用が前提だが、2D映像の3D化もナチュラルで実用充分と思える水準。進化した高輝度・高色域でナチュラルな画作りのVITUREなら、大画面ホームシアターを実現する新たな選択肢となりそうだ。
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(提供:VITURE)
