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PRより研ぎ澄まされた“アクリル”ターンテーブル

透明感に宿る音の美学。オーディオテクニカ「AT-LPA2」のアクリルボディで魅せるアナログ体験

公開日 2025/05/23 06:30 飯田有抄
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「AT-LPA2」音質レビュー:解像感のみならず、厚みある響きも再現

ここまでの説明だけでも、「AT-LPA2」は見た目の美しさのみに留まらない、技術の粋を結集したターンテーブルであることがお分かりいただけるだろう。では、実際に試聴したインプレッションについてお伝えしよう。

オーディオテクニカ本社にてサウンドチェック!

まずはピアノ独奏を聴いた。アリス=紗良・オットの弾く、ジョン・フィールドのノクターンだ。このアルバムは、ピアノの音色を温かみのあるインティメイトな質感で録音・マスタリングしているのが特徴だ。「AT-LPA2」で聴いた印象は、たんに柔らかで温かい印象のみならず、アタック(音の立ち上がり部分)の輪郭はしっかりと描き、ダイナミクスの繊細な変化も美しく鳴らしてくれた。うっとりと聞き入ってしまう。

続いてはカール・ベーム指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団によるリヒャルト・シュトラウスの交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」。冒頭は静かな重低音から始まり、弾けるような金管楽器が高らかに響き、ティンパニが力強く打ち鳴らされる。やがて弦楽器が歌心満載で甘美な旋律を奏でる。

ストレート型のトーンアームはカーボンファイバーにて成形。軽量なマテリアルなため追従性に優れる

多様な響きが次々と登場するオーケストラ曲であるが、「AT-LPA2」は、スッキリとした抜け感の良いサウンドで、重低音もピッチはしっかりと分かり、金管楽器の華やかさもスピーディーに気持ちよく登場。音の分離が良いので、弦楽器のハーモニーの変化なども伝わりやすい。まさに透明感のあるサウンドなのだ。とはいえ、クリアな解像感のみならず、厚みある響きも再現できる。線が細くなりすぎず、大編成のオーケストラらしい音圧もしっかり味わえた。

ジャズも聴いてみた。ギタリスト、ジョー・パスのアルバム「インターコンチネンタル」から「クロエ」をかけた。ベースとドラムとのトリオである。ベースの低音がもたつかず、素早いギターのパッセージは滑舌よく、ドラムの歯切れの良さも軽快である。それでいて程よい残響感や厚みもあるから、やはりバランスが素晴らしい。

「AT-LPA2」の背面部。ねじ切り穴のディテールもデザインの要素として成立するのはクリアなアクリル筐体ならでは

この録音を聴いた由良さんが、「じつは私も昔、ドラムを叩いていたことがありまして、音決めの際には、ドラムの録音なども聞きながら調整しました。やはり打楽器の音の立ち上がりは、他の楽器とのタイミングがしっかり揃って聞こえないと気持ちよくありませんから、大事に考えているポイントです」と伝えてくれた。演奏者としての意識も反映された技術は、やはり音楽性豊かな再現をするプレーヤーを生むのかもしれない。

スタイリッシュでオシャレな「AT-LPA2」だが、決して見掛け倒しのプレーヤーなどではないことがよくわかった。見た目の透明感のとおり、音源の持つ魅力をまっすぐに伝え、気持ちを上げてくれる。「AT-LPA2」はそんな美しくも真面目なターンテーブルなのだ。

(提供:オーディオテクニカ)

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