ソニー「WH-1000XM6」レビュー。評論家も「あらゆる音楽ファンに体験してほしい完成度」と太鼓判!
ランディ・メリル氏はテイラー・スウィフトの「Midnights」で24年の最優秀アルバム賞を受賞している。マイケル・ロマノフスキ氏はアリシア・キーズの「The Diary of Alicila Keys」で24年の最優秀イマーシブオーディオアルバム賞に輝くエンジニアだ。
ほかにもデュア・リパやリアーナの作品を手がけるクリス・ゲーリンジャ―氏、ザ・チェインスモーカーズやマディソン・ビアーが信頼を寄せるマイク・ピアセンティーニ氏がWH-1000XM6のサウンドプロデュースに深く関わってきた。
プロのクリエイターである彼らは「アーティストや音楽制作者の意図を忠実に再現する」という哲学のもと、ヘッドホンのサウンドを磨きあげた。その結果、極めてピュアで透明感が高く、ジャンルを問わず多くの楽曲に対して素直にその魅力を引き出せるヘッドホンが完成した。
| 音質チューニングで共創したサウンドエンジニア | ||
| エンジニア名 | 所属スタジオ | グラミー賞 受賞/ノミネート作 |
| ランディ・メリル | Sterling Sound |
ティラー・スウィフト 『Midnights』 ('24年最優秀アルバム賞) |
| クリス・ゲーリンジャ― | Sterling Sound |
デュア・リパ 『Future Nostalgia』 ('21年最優秀アルバムノミネート) |
| マイケル・ロマノフスキ | Coast Mastering |
アリシア・キーズ 『The Diary of Alicia Keys』 ('24年最優秀イマーシブオーディオアルバム賞) |
| マイク・ピアセンティーニ | Battery Studios |
ザ・チェインスモーカーズ 『Memories…Do Not Open』 ('23年最優秀イマーシブオーディオアルバム賞ノミネート) |
WH-1000XM6音質レビュー:従来機からの進化が即座に伝わる
WH-1000XM6を試聴すると、これまでの1000Xシリーズのヘッドホンよりもスケールアップした手応えが即座に伝わってきた。Clairoの『Juna』では、アナログ的な温かさと現代的な解像感が共存する音楽が聴こえてくる。ボーカルの存在感とリズムの重厚感が両立したビビッドなサウンドだ。
最新の1000Xシリーズも、もちろんLDACによるハイレゾワイヤレス対応のヘッドホンだ。中島美嘉の『Find The Way』を96kHz/24bitの配信音源で聴くと、ボーカリストの息遣いや繊細な声のニュアンスの変化が浮き彫りになる。バンドのメンバーが演奏する楽器の音色も生々しく臨場感にあふれている。
さらにシンガーソングライター、Reiのギタリストとしての進化が存分に味わえるアルバム「XINGS」のリード曲『GUITARHOLIC』においては、エレキギターの熱っぽいサウンドをズシンと響かせる。
新しい1000XシリーズのヘッドホンはLDACの持ち味である中高音域の繊細さだけでなく、ぶ厚くスピード感にも富んだ重低音の緊張感も存分に味わえる。筆者は特にアグレッシブなロックの楽曲との相性の良さについては満点を付けたいと思う。
アプリに搭載するイコライザー機能も大幅に進化している。スライダーから微調整できるバンド数が5バンドから、一気に倍の10バンドに拡張されている。より細かく音のバランスが調整できるようになったことがうれしい。「Manual」と2つの「Custom」プリセットを好みのチューニングに整えて、設定値を保存すれば繰り返し使える。
さらに音楽を聴きながらリアルタイムに調整できる「ファインド・ユア・コライザー」機能も引き続き搭載する。原音に忠実な本機だからこそイコライザーによる変化も素直に反映され、ポータブルオーディオの “奥深さ” に触れられる。
ネット動画を立体音響化。「空間の広がりが息を吞むほどに鮮烈」
ソニー独自の立体音響技術「360 Reality Audio」をベースにしたアップミックス機能「360 Upmix for Cinema」が、新しくSound Connectアプリに搭載された。
このモードを使用すると、映画やドラマなどコンテンツのサウンドがまるで映画館にいるみたいに立体的に感じられる。動画配信サービスの一般的なステレオ音声のサウンドトラックも、このモードをオンにした途端、360度全周囲に空間が拡大する。
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