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ゼンハイザー新ヘッドホン「HD 505」「HD 550」速攻レビュー! どこが違う? 音質傾向は?

公開日 2025/03/19 08:00 高橋 敦
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その個性は低音楽器の存在感やグルーヴが重要な楽曲、現代的なポップスなどに特にフィット。

例えば星街すいせいさん「ビビデバ」には、スラップ奏法によるベースラインが楽曲を引っ張り、スラップならではのアタックの弾けと音が踊るような弾みがやんちゃな世界観も生み出している場面がある。そこでHD 505は開放型らしい抜けっぷりでスラップを弾けさせ、密閉型っぽさもある溜めでスラップを弾ませるという、理想的な対応を聴かせてくれるのだ。

逆に音を切らずにつなぐレガート奏法でグルーヴをうねらせる場面でも、ゼンハイザーらしい音の滑らかさと低音の厚みを発揮してそのうねりをプッシュ。楽曲全体を通して、ベースの活躍による世界観の表現が生き生きとしている。

もちろんゼンハイザーのヘッドホンであるから、声の感触の自然さや歌の表現の細やかな再現性も言うまでもなく完備。ただただ星街さんの歌に浸りたいという望みに応えてくれる。

現代的な低音表現と上質なボーカルの組み合わせということではネオソウルやR&Bといったジャンルもそれに該当し、それらの楽曲との相性も総じて良好だ。アイザイア・シャーキーさん「Special Lady」やホセ・ジェイムズさん「Bag Lady」も、ハイエンド機らしいシャープな描写ではありつつ緊張感を出しすぎない適度なほぐれもあるおかげで、大変に心地よく聴くことができた。

HD 550レビュー:「ゼンハイザーの開放型らしさを、よりストレートによりハイレベルに体現」

対してHD 550は、帯域バランスにも音調にも癖がなくナチュラルというゼンハイザーの開放型らしさを、よりストレートによりハイレベルに体現したサウンドという印象だ。特に低域側が超低域までフラットに伸びる点は、まさに開放型の最新ハイエンドに期待されるそれ。音がすっと抜けて広がることでの空間表現の豊かさも同じくだ。

ナチュラルでワイドでフラットとなれば不得手な楽曲などありはしないが特に好相性と感じたのは、トリオ、デュオ、ソロなど小編成のアコースティック楽曲。その少なめの音数とその響きに意識を集中するとその描写の正確さに驚かされる。

ネイト・スミスさんのソロドラム曲「Big/Little Five」ではまずバスドラムの抜けの素直さが素晴らしい。低音が横に膨らむことなく前方、リスナー側にスパッと飛ばされてくる。HD 505だと横の膨らみも少し持たせ重低音の迫力を押し出してくれてそれもそれでありなのだが、個人的にはHD 550の抜け感、超低域までの伸びから来るフラットな重心を好ましく感じる。

シンバルワークに耳を向ければ複雑なリズムのキレキレな再現にニンマリだ。キレキレでありつつその音色は嫌な鋭さやキツさを伴わない。この一流の演奏と録音にそのようなものはあり得ないのでそれが聞こえたのなら再生システム側の問題なわけだが、このヘッドホンもまた一流なのでそんなことはないというわけだ。

音の芯はしっかり通っているが音色全体としては硬くはなく、金属粒子のほぐれ、柔らかさといったものを感じられる。シンバルの音として理想的だ。

なおそのシンバルの感触からも想像できるように、ボーカル、特に息の成分多めの女性ボーカルの再生も絶妙。田村ゆかりさん「雨のパンセ」ではその息の成分を心地よい刺さりとして届け、歌の切なさを加速させてくれた。

端子部はアダプターによって標準端子でもステレオミニ端子でも利用可能

さすがゼンハイザーと言うべき出来。「大満足のヘッドホンライフが得られるだろう」

見た目も型番もそっくりだし価格もそんなに違わない。しかし音はしっかり別物。これをほぼ同時に投入してくるのはさすがゼンハイザーと言うべきか。

その問いかけに応え、なるほど自分にはこっちだね! というモデルを選び出せば、大満足のヘッドホンライフを得られることだろう。

(提供:Sonova Consumer Hearing Japan)

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