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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域【第269回】

ASMR=ダミヘ?カナル型じゃない=インイヤー?増加する“現代オーディオ用語”を知る

2023/03/16 高橋 敦
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スティック型USB……DAC?それともヘッドホンアンプ?



昨今、新たなニーズが生まれたことで再び大きな注目を集めている製品ジャンルがある。スマホ+有線イヤホンでのハイレゾ再生を可能としてくれる、スティック型あるいはドングル型と言われるような形状で、超小型のポータブルUSB-DAC/ヘッドホンアンプだ。

上からQuestyle M15、Astell&Kern AK HC2、Shanling UA2

サブスクの音楽ストリーミングにおいては、いまやハイレゾ品質での配信も普及。そのポテンシャルを、いつでもどこでも十分に堪能できる環境が「スマホ+ポータブルUSB-DAC/ヘッドホンアンプ+有線イヤホン」だ。

ポータブルUSB-DAC/ヘッドホンアンプは、そのキーアイテムとして人気を集めている。以前から存在していた製品ジャンルだが、時代のニーズに合致したことで復権を遂げたともいえる。

しかし、その「ポータブルUSB-DAC/ヘッドホンアンプ」の呼び方、実はまだ定まっていない。現状この種のアイテムについて各メーカーはどのような呼び方をしているのかを、各社の製品ページからいくつか拾ってきてみた。

●ポータブルUSB DAC(LUXURY&PRECISION W2-131)
●ポータブルUSB-DACケーブル(Astell&Kern AK HC2)
●USB DAC内蔵ヘッドホンアンプ(FiiO KA1)
●Portable DAC/AMP Adapter(Shanling UA3)
●スティック型USB-DACアンプ(iFi audio GO link)

見事なまでにバラバラ!だが、この様々な呼称には、この種の製品についての各社の定義や考え方の違いが現れているのかもしれない。

そこで、「DAC」「アンプ」という言葉の使い方に注目して上の5つを分類してみる。

<DAC主体>
●ポータブルUSB DAC
●ポータブルUSB-DACケーブル

<アンプ主体>
●USB DAC内蔵ヘッドホンアンプ

<DAC/アンプ併記>
●Portable DAC/AMP Adapter
●スティック型USB-DACアンプ

それぞれの言葉から感じられるニュアンスは、以下のようなところだろう。
DAC主体の呼称:ヘッドホンアンプ機能も搭載するDAC。DACの機能によって実現される「ハイレゾ対応」などのスペックの印象を強める呼称。
アンプ主体の呼称:DAC機能も搭載するヘッドホンアンプ。S/Nや駆動力など「アンプの力による音質向上」や、そもそもイヤホン端子のないスマホで「有線イヤホンを使えるようになる」といった部分の印象を強める呼称。
併記する呼称:DACとヘッドホンアンプの複合機。DACでもアンプでもなくそのふたつが合わさってひとつになったアイテムという印象を強める呼称。

実際のところメーカーとしては、呼称を通してそうした印象を与える意図はないかもしれない。ユーザー側も、上記ほど具体的な印象を受けることは実際あまりないだろう。

ただ、言葉や名前には、発した側には何の意図もなかったとしても、何かしらの意味はどうしても生まれてしまうのだ。なので、「何気ない呼び方の違いにも、意図が込められている場合もあるし、意図がなくても結果与える印象が変わることもある」ということの一例として受け取ってもらえればと思う。

趣味の話だからこそ



ということで今回は、近年になって広く用いられるようになったオーディオ用語から、その意味や用法の幅広さや定まらなさに注意が必要そうなものをピックアップし、確認してみた。

重箱の隅をつつくような話だったかもしれないが、重箱の隅をつついてしまうのも趣味の性ということでご容赦いただければと思う。



高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi
趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。


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