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LUMIX史上初となる像面位相差AF搭載!

中堅機らしい品格を備えた実力機、パナソニック「S5II」レビュー

公開日 2023/03/03 06:30 山田久美夫
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パナソニックから、フルサイズLUMIXの第2世代モデル第一弾となる「S5II」(DC-S5M2)が発売された。2020年9月に投入されたフルサイズLUMIXの中堅モデル「S5」(DC-S5)から約2年半を経て、満を持しての登場となる。


LUMIX史上初となる像面位相差AFを搭載したフルサイズミラーレス「DC-S5M2」。価格はオープン価格はオープン(市場想定価格248,000円前後/ボディ単体、税込)
最大のトピックスは、従来のコントラストAF+DFD(空間認識AF)へ新たに像面位相差AFを組み合わせたハイブリッドAFの採用だ。像面位相差AFの採用はLUMIX史上初。さらに新開発の2420万画素フルサイズセンサーと、ライカと共同開発した「L2 Technology」搭載の新画像処理エンジンも新たに盛り込まれたほか、実際にはそれ以外の細部までリファインされており、事実上のフルモデルチェンジといえる。

■苦手なシーンを克服し動体の捕捉率も高めた新AF



筆者は普段からS5を愛用しているので、今回はその感覚をベースに「S5II」の使用感をレビューしていこう。まず、実機を手にするとデザインはS5にそっくりだが、S5IIの方がわずかに大きくなり、グリップ感が向上していることが分かる。質感の高さはしっかり受け継がれ、中堅機らしい品格があり好感が持てる。

定評のある操作性はきちんと踏襲。ジョイスティックの指当たりがよくなり、操作もS5では上下左右4方向だったが、S5IIでは斜め方向が追加され8方向へと向上。さらにボディ上面後部のダイアルも大きくなり操作しやすくなっている。この利便性だけでもS5IIが欲しくなるほどだ。

注目のAFは、コントラストAFと像面位相差AFのハイブリッドで、シーンに応じて適したAF方式をカメラが判断し自動切り替えするもの。確かに苦手なシーンは減っており、動体を追いかけるAFシーンでの成功率は大きく向上。オートエリアAFでの捕捉率も高まった印象だ。速度面は従来のコントラストAFでも十分に高速だったので飛躍的に向上したという感覚はなく、暗所でのAFもS5同様に満足のいく結果が得られた。ただ点光源にやや弱い傾向はまだ若干残っている印象を受けた。


AFはS5と同じく人物や動物の被写体認識を搭載。他社では動物での瞳認識や自動切り替えに対応したモデルが増えているため、それらに比べるとやや見劣りするものの、補足性能は高い。今回は野鳥を狙ってみたが、きちんと認識し捕らえ続けることができた
AFはS5と同じく人物や動物の被写体認識を搭載。他社では動物での瞳認識や自動切り替えに対応したモデルが増えているため、それらに比べるとやや見劣りするものの、補足性能は高い。今回は野鳥を狙ってみたが、きちんと認識し捕らえ続けることができた。

EVFはドット数が増えより細密になった。しかしながらS5もドット数の割に見え味は悪くなかったので、高画素化の恩恵は、実際の見え味というよりMF時などのピント確認時などで実感することが多かった。

連写性能はメカシャッターで秒間9コマ、電子シャッターで秒間30コマ。今回、LUMIXの伝統だった高速連写機能「4K/6Kフォト」が省かれたが、電子シャッターを使用した方がより高精細かつRAW記録にも対応するなど汎用性が高いため、特に問題はないだろう。ただ、高速で移動する被写体の撮影時は、読み出しによるゆがみ(ローリング)も若干見られたため、メカシャッターとうまく使い分けたい。


より高価格帯の最新ミドルクラス機、キヤノン「EOS 6D MarkII」やソニー「α7IV」と比べると、AF性能は若干及ばない印象だ。ここは今後のファームアップに期待したいところ。ただ、電車を撮影したところ、乗り物認識を搭載していなくても、秒30コマ連写でほぼ追従していたので、さほど不満を感じるほどではなかった


次ページJPEG撮って出しでも十分に見栄えのする画質

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