HOME > レビュー > 上質で、オシャレ。理想のアナログプレーヤーはオーディオテクニカ製だった

PR好みで選べる2つの新モデル

上質で、オシャレ。理想のアナログプレーヤーはオーディオテクニカ製だった

公開日 2022/07/22 06:30 生形三郎/ファイルウェブ編集部
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
オーディオテクニカの新アナログプレーヤーは、長く使い続けられるクオリティと、気軽に楽しめる利便性の2つの側面を持っている。その両方を兼ね備えていることで、最初の1台としても、買い替え候補の1台としてもオススメできる製品になっているのが魅力だ。本稿では、サウンドと使いやすさ、それぞれの側面の詳細を具体的にレポートしていく。






アナログ再生の魅力が詰まったハイコストパフォーマンスモデル(生形三郎)



オーディオテクニカより、Bluetooth送信機能付きレコードプレーヤー「AT-LPW50BT RW」と「AT-LP120XBT-USB」の2機種が、公式オンラインストア限定販売品として新登場した。

両機はライフスタイルにマッチするルックスや使い勝手を備えていながらも、カートリッジや針先の交換といったマニアックな使い方も可能と、他社製含むエントリーモデルからのグレードアップに極めて最適なモデルとなっている。

また、両機がそれぞれベルトドライブとダイレクトドライブという異なる回転駆動方式を採用していることも、レコードサウンドを味わう際の音傾向の選択肢として、大きなポイントと言えるだろう。

早速ここでは、両機の概要とサウンドインプレッション、そして、手軽に交換が可能な同社製交換針で得られるサウンドのバリエーション、Bluetooth送信時の音質をレビューしていきたい。

イメージにマッチした温かで滑らかな音色の「AT-LPW50BT RW」

シンプルなスクウェアデザインを基本とした本機は、油圧式のアームリフターを搭載するカーボン素材の精巧感あるストレートアームに加えて、ローズウッドの突板仕上げをまとった音質に配慮しながらもインテリア性の高いプレーヤーとなっている。

「AT-LPW50BT RW」(実勢売価 54,780円/税込)

駆動方式は、ベルトでプラッターを回すベルドドライブ方式で、33.3回転と45回転に対応。内蔵フォノイコライザーアンプおよび外部フォノイコライザーアンプに対応するほか、Bluetooth送信機能を使ってレコード再生音声を無線で飛ばすこともできる。

ベルトドライブ方式を採用する

サウンドとしては、そのルックスの通り、クリアで立体感のある音ながらも、滑らかさや温かみのある音色が楽しめるプレーヤーとなっている。

滑らかさや温かみのある音色を鳴らす

内蔵のフォノイコライザーアンプを使って付属のカートリッジで再生すると、スッキリとした音の余韻が印象的で、音楽が軽やかに空間へと広がるさまが美しい。楽器それぞれの特徴をていねいに描き出し、立体的な音楽再生が楽しめる。ターンテーブルやキャビネットはもちろん、トーンアーム部もしっかりとした性能があるからこそのサウンドだろう。

フォノイコライザーを内蔵しており、背面のPHONO/LINEで出力を切り替えられる

本プレーヤーの価格を大きく上回るハイエンドな外部フォノイコライザーアンプを使っての再生も試聴してみたが、外部フォノイコライザーのサウンドをしっかりと反映していることも確認できた。このクオリティであれば、後々のステップアップも大いに楽しめるだろう。

シャープな音傾向、DJスタイルの「AT-LP120XBT-USB」

DJスタイルのデザインによる本機は、全世界で累計約100万台販売の実績を誇る、ファンの多いシリーズの最新モデルだ。ダイレクトドライブ方式の回転駆動や精度の高いDCモーターの採用によって、立ち上がりが速く強いトルクと回転ムラの少ない安定動作を実現する。

「AT-LP120XBT-USB」(実勢売価 46,200円/税込)

暗い状況でも針先が見えるように配置されたLEDライトの光がシャープに針先を照らすさまが実にスタイリッシュだ。電源スイッチ部分のストロボライトとターンテーブルのストロボスコープで回転の状態をチェックすることもできるほか、 本体上部右側のフェーダーで回転ピッチを微調整することも可能な趣味性の高いモデルとなっている。

DJスタイルのデザインが特徴。本機は78回転やピッチコントロールにも対応している

AT-LPW50BT RWと同じくBluetooth送信機能を備えるほか、回転数は33.3回転や45回転に加えて、78回転にも対応する。さらに、USB出力機能も備えるので、パソコンと接続して録音し、デジタルファイル化してスマートフォンで聴くといったこともできる。

サウンドは、AT-LPW50BT RWと聴き比べてみるとその違いが非常に面白い。音の余韻がタイトで低域も輪郭が明瞭。とにかく1音1音が明快でクリアな傾向の描写が楽しめるのである。音の定位も明瞭でボーカルは中央にスッと立ち上がるとともに、ドラムのアタックはシャープで歯切れがよく、全体的にエネルギッシュな音楽再生を楽しませてくれる。

シャープかつクリアな傾向のサウンドを鳴らす

AT-LPW50BT RWがアナログレコードらしい柔らかさや滑らかさといった傾向を楽しませるのに対し、本機はよりストレートに音楽へとフォーカスする印象だ。もちろん本機も、外部フォノイコライザーアンプや、後述の針交換に対しても十全に音質変化を楽しむことができた。

針先交換で千差万別の音変化、自分好みの高音質も追求できる

次に、レコード再生の醍醐味であるカートリッジ交換による音傾向の違いを楽しんでみたい。両機に付属するオーディオテクニカ製VMカートリッジ「AT-VM95」シリーズは、本体部分はそのままに、替え針部分だけを変更することで、様々なサウンドバリエーションを楽しむことができる。

両モデルにはVMカートリッジ「AT-VM95」シリーズが付属。AT-LPW50BT RWの方が特別カラーのブラックである外は同一の仕様だ

今回は、これまで試聴した付属の接合楕円針「AT-VMN95E」に加えて、丸針、無垢楕円針、楕円針、マイクロリニア針、シバタ針を試聴した。なお、試聴プレーヤーにはダイレクトドライブの「AT-LP120XBT-USB」を使用している。

針先交換で音質変化が楽しめるほか、メンテナンスの面でも長く使い続けられる

●接合丸針「AT-VMN95C」 2,860円(税込)
音楽の中のすべての音が均質かつ元気に前へと出てくる、パワフルかつエネルギッシュなサウンドだ。ロックミュージックなどに最適で、実に音楽が楽しい。

●無垢楕円 「AT-VMN95EN」 13,200円(税込)
丸針に比べるとディテールがよく出てきて、ヴォーカルの抑揚やドラムの叩き加減といった、演奏の強弱の表現など音楽のダイナミクスがしっかりと再現される万能型。付属の接合楕円針の傾向はそのままに、より上質なサウンドが楽しめる。

●無垢マイクロリニア針 「AT-VMN95ML」 22,000円(税込)
全体的に静けさのある音楽再現で、繊細できめ細かい音。クリアながらもエッジは尖らずに、綿密かつソフトな質感で聴き心地が良い。潤いや密度を感じさせる品位の高い音で、S/N感がよくクラシックなどに最適。

●無垢シバタ針 「AT-VMN95SH」 33,000円(税込)
とにかく情報量が多く、描き出される音楽のスケールが大きい。現代的な録音による近年のソフトとの相性が特によい。バランスも優れておりすべての帯域が客観的に見渡せるフラットサウンドが堪能できる。

両モデルは、Bluetooth送信機能を搭載しているため、Bluetoothスピーカーなどと接続して極めてシンプルなアナログ再生環境を構築できることも魅力だ。Bluetoothでの音質を確認するために、Googleのスマートスピーカー「Google Nest Audio」に接続して再生を実施した。

AT-LP120XBT-USBは、先ほどの通常接続時と同傾向の音を楽しむことができた。一方でAT-LPW50BT RWは、Bluetooth接続向けに若干キャラクターを持たせているようで、通常接続よりも低音方向が豊かなサウンドが楽しめた。いずれも接続に手間はなく、ワイヤレスでもしっかりとアナログ再生を堪能できる。

以上のように、ダイレクトドライブ・プレーヤーAT-LP120XBT-USB、およびベルトドライブ・プレーヤーAT-LPW50BT RWは、ライフスタイルにマッチするルックスや使い勝手はもちろんのこと、カートリッジや針先交換、そして、外部フォノイコライザーアンプも組み合わせてさらなる自分好みの高音質を追求できる。結果として価格以上の価値が得られる、長く使えるハイコストパフォーマンスプレーヤーだと実感した。

次ページいつまでも「これを選んで良かった」と思えるモデル

1 2 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE