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どこまでも“オーディオ思想”、名手AIRPULSEが放つ新境地のBluetoothスピーカー「P100X」レビュー

公開日 2021/10/22 06:30 土方久明
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コンパクトな筐体から深みのある質感、音が放射状に広がる再生も見事

このように設計はBluetoothスピーカーとは思えないピュアハイファイグレードの内容だが、肝心な音質はどうだろうか? 今回はAstell&KernのDAP「SP2000」と本機をaptX HDでBluetooth接続して試聴に臨む。

まずは、P100Xの総合的な音質から話そう。本モデルはサイズの制限こそあるものの、オーディオファイルが聞いても納得できる真っ当な再生音だ。

本体背面部。RCA端子を1系統備え、Bluetoothのみに留まらない多彩なソースを再生することが可能だ

音色はフラットでクセがないので、パッと聴いただけでは本モデルの音質が理解しづらいかもしれない。しかしよく聴いていくと、帯域バランスおよび音色に変なクセがなく、音の飛び出しが大変良い。中高域が放射状に伸びていくような気持ちの良い音で、1つ1つの音が明瞭に前に出てくる。低域は量ではなく質感で真剣勝負! 特にこの低域が生きるのは管弦楽などのクラシックで、女性ボーカルの艶やかな表現にも感心する。

例えば、宮田大の『エルガー:チェロ協奏曲/ヴォーン=ウィリアムズ:暗愁のパストラル』(96kHz/24bit FLAC)は、コンパクトな筐体サイズの割に低域がしっかりしており、チェロの生々しくも深みのある質感を表現する。アンプ部の性能が良いのか、抑揚への追従力も高い。また、Air-Bladeトゥイーターの効果で水平方向の音のサービスエリアが広く、スピーカー横など部屋の幅広い位置においても、中高域の分解能減衰が抑えられているところは印象的だ。

『エルガー:チェロ協奏曲/ヴォーン=ウィリアムズ:暗愁のパストラル』/宮田大

続いて、ロックの名盤、Kiss 『Greatest Kiss』から「I Was Made For Lovin' You」(192kHz/24bit FLAC)を再生してみたが、キックドラムやギターなどの音の飛び出しが大変良く、前へグイグイと放射状に音が広がる。実際の音以上の高いグルーブで聴かせてくれるようなノリの良い音、ロックとの相性も大変良好だった。

J-POPもチェックしてみよう。King Gnuのヒット曲「白日」(48kHz/24bit FLAC)を再生すると、イントロのコーラスが立体的。口元の動きがわかるような明瞭なディテールも印象的だった。当初はこの3曲で締める予定だったが、P100Xの音を確認しているうちに「このスピーカーの音調は歌謡曲なども良く聴けそうだな」と思い、松田聖子のベスト盤 『SEIKO STORY 〜80's HITS COLLECTION〜』からデビュー曲の「裸足の季節」(96kHz/24bit FLAC)も再生してみた。

『白日』/King Gnu

これは予想的中、ハイファイな音で、正しい帯域バランスだから、当時の音色の雰囲気がしっかり出てくる(昭和歌謡の再生では最も大切な要素だろう)。松田聖子の歌唱力の高さを存分に享受できた。

なお、今回は試さなかったが、P100Xは先述した通りRCAのアナログライン入力を備え、RCA -3.5mmステレオミニジャックのケーブルが付属しているので、例えばフォノイコライザー搭載のレコードプレーヤーとつないで、レコード再生用のスピーカーとして使っても良いだろう。

RCA入力はBluetooth送信機能のないDAPとの接続などにも用いることができる

やろうと思えば、Bluetooth送信が可能な、オーディオテクニカ「AT-LP60XBT」やSONYの「PS-LX310BT」などのレコードプレーヤーと組み合わせて、スピーカーとプレーヤーの置き場所を限定しない、ワイヤレスのレコード再生システムとしても利用できる。シンプルな入力系統だが、発想次第で様々なシステムが構築できるのだ。


アンプ内蔵のハイファイスピーカーがヒットしづらい我が国において、エアパルスが発売するアクティブスピーカーは、デジタルからアナログまで多彩な入力とアンプを内蔵し、フィル・ジョーンズ氏が長年探究してきた小口径のメタルコーン振動板ウーファーとホーンロードがかけられたトゥイーターという先進的かつマニアックな構成で好評を博してきた。

一方、巷の音楽再生スタイルの主流は、スマホやタブレットでApple MusicやSpotifyなどのストリーミングサービスやYouTubeを楽しむこと。外出先ではヘッドホンと、自宅ではBluetoothスピーカーと組み合わせて、自室やリビングで音楽を楽しむのがトレンドの1つとなっている。だからこそエアパルスは、多くのシーンに普及したBluetoothスピーカーの音質を徹底的に上げようと考えたのだと考察する。この先進的な考え方はいかにも同社らしく感心する。

今回は半ば試聴を忘れて音楽を沢山楽しんでしまったが、「今出ている音はDAPを手元に置いてワイヤレスでの再生なのだ」とふと思った。良い時代になったものだ。リビングなどで音楽を良い音を気軽に聴きたいと思う人も、すでにホームオーディオ機器を使っている人も、自身のオーディオライフの伴侶としてP100Xを可愛がって欲しい。そんな先進的かつ素敵なスピーカーである。

(協力:株式会社ユキム)

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