【特別企画】価格を超えた音楽性
美しい音色とデザインに感動、FOCAL「CHORA」スピーカー主要モデル一斉レビュー
土方久明
2020年10月15日
■ヨーロッパを代表するスピーカーメーカー、FOCALのエントリーラインを一気試聴!
そのスピーカーを取材する当日、筆者はワクワクとした気持ちを抑えきれなかった。以前にとある企画で聴いて大変感銘を受けた製品で、再び試聴するチャンスが来たからだ。しかも今回はそのシリーズに属す3モデルを一挙に聴くことができるという。それは、フランスのスピーカーメーカーFOCAL(フォーカル)の「CHORA(コーラ)」である。
同社の物語は1979年、フランスのサンテティエンヌにある小さな精密機械工房から始まった。現在はホームオーディオ用スピーカーに加え、1989年にスタートしたプロフェッショナルオーディオ部門や2002年にスタートしたカーオーディオスピーカー部門、さらにフォーカルのDNAを与えられたヘッドホンも大変好評で、いまやヨーロッパを代表するメーカーとして存在感を増している。また、設計から生産まで全てをフランス国内の自社工場で行う数少ないメーカーとしても知られている。
ホーム用スピーカーはトップラインとなる「UTOPIA V EVO(ユートピア)」、「SOPRA(ソプラ)」、「KANTA(カンタ)」、「ARIA(アリア)」とあるが、今回試聴するCHORAラインは最もスタンダードなクラスのシリーズだ。
ホームシアター用のセンタースピーカーも含めると全部で4種類ラインナップされている。ここでは3ウェイ4スピーカーの「Chora 826」、2.5ウェイ3スピーカーの「Chora 816」、2ウェイスピーカーの「Chora 806」、ステレオユースのメインとなる以上3モデルを紹介しよう。
シリーズ共通の特徴は3点ある。1点目は、小型軽量化したボイスコイルと曲率を抑えたドームにより優れたトランジェントと低歪を実現した「インバーテッド・ドーム・トゥイーター」を採用したこと。アルミニウム/マグネシウム合金製の軽量かつ高剛性の振動板で、ユニットの接合部に衝撃吸収素材を使用することで、2〜3kHzの帯域(同社によると人の耳が最も敏感に感じとる帯域だという)における聴感上の歪感を大幅に抑制した。
2点目は、ミッドレンジとウーファーを受け持つユニットに、4年もの歳月をかけて開発された「Slatefibercone(スレートファイバーコーン)」を採用していること。この振動板は、見た目がたいへん美しく本シリーズのアイコン的なデザインを受け持っているが、カーボンファイバーにサーモプラスチックポリマーを含浸して成形され、振動板に求められる3要素、優れた内部損失、軽さ、強度の全てを高次元に高めているのが特徴だ。
3点目は、トールボーイ型スピーカーの音楽再生時のリスニングポイントにおけるタイムアライメントを揃えた結果、816と826は付属する台座が若干後ろにスラントしていることだ。
試聴は輸入元であるラックスマンの専用試聴室で行った。余談だが本試聴室は響きと解像感のバランスが良く、スピーカーやオーディオ機器の能力がよく分かる。
そのスピーカーを取材する当日、筆者はワクワクとした気持ちを抑えきれなかった。以前にとある企画で聴いて大変感銘を受けた製品で、再び試聴するチャンスが来たからだ。しかも今回はそのシリーズに属す3モデルを一挙に聴くことができるという。それは、フランスのスピーカーメーカーFOCAL(フォーカル)の「CHORA(コーラ)」である。
同社の物語は1979年、フランスのサンテティエンヌにある小さな精密機械工房から始まった。現在はホームオーディオ用スピーカーに加え、1989年にスタートしたプロフェッショナルオーディオ部門や2002年にスタートしたカーオーディオスピーカー部門、さらにフォーカルのDNAを与えられたヘッドホンも大変好評で、いまやヨーロッパを代表するメーカーとして存在感を増している。また、設計から生産まで全てをフランス国内の自社工場で行う数少ないメーカーとしても知られている。
ホーム用スピーカーはトップラインとなる「UTOPIA V EVO(ユートピア)」、「SOPRA(ソプラ)」、「KANTA(カンタ)」、「ARIA(アリア)」とあるが、今回試聴するCHORAラインは最もスタンダードなクラスのシリーズだ。
ホームシアター用のセンタースピーカーも含めると全部で4種類ラインナップされている。ここでは3ウェイ4スピーカーの「Chora 826」、2.5ウェイ3スピーカーの「Chora 816」、2ウェイスピーカーの「Chora 806」、ステレオユースのメインとなる以上3モデルを紹介しよう。
シリーズ共通の特徴は3点ある。1点目は、小型軽量化したボイスコイルと曲率を抑えたドームにより優れたトランジェントと低歪を実現した「インバーテッド・ドーム・トゥイーター」を採用したこと。アルミニウム/マグネシウム合金製の軽量かつ高剛性の振動板で、ユニットの接合部に衝撃吸収素材を使用することで、2〜3kHzの帯域(同社によると人の耳が最も敏感に感じとる帯域だという)における聴感上の歪感を大幅に抑制した。
2点目は、ミッドレンジとウーファーを受け持つユニットに、4年もの歳月をかけて開発された「Slatefibercone(スレートファイバーコーン)」を採用していること。この振動板は、見た目がたいへん美しく本シリーズのアイコン的なデザインを受け持っているが、カーボンファイバーにサーモプラスチックポリマーを含浸して成形され、振動板に求められる3要素、優れた内部損失、軽さ、強度の全てを高次元に高めているのが特徴だ。
3点目は、トールボーイ型スピーカーの音楽再生時のリスニングポイントにおけるタイムアライメントを揃えた結果、816と826は付属する台座が若干後ろにスラントしていることだ。
試聴は輸入元であるラックスマンの専用試聴室で行った。余談だが本試聴室は響きと解像感のバランスが良く、スピーカーやオーディオ機器の能力がよく分かる。
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