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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域【第253回】

おうち時間のエンタメを充実! 1万円で買えるデスクトップスピーカー5選

公開日 2020/08/14 06:40 高橋 敦
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国内プロオーディオの雄、TASCAM「VL-S3」!

続いてTASCAM「VL-S3」(直販価格:税抜8,800円)。PM0.1eよりは少し大柄だが、一般論としてはこれも小型スピーカーの枠内。オーディオ界隈ではお馴染みティアックのプロ向けブランド・TASCAM(タスカム)の製品で、こちらも2015年発売のロングセラーである。

これもまだ13インチノートPCの横に置いて違和感ないサイズ

「ロングセラー」と連呼されると古臭い機種のように感じるかもだが、このあたりの価格帯のパワードスピーカーは年単位で革新が起きたりするような分野ではない。発売から年数が経ち、好評価は固まっていて売価は下がっているようなロングセラー定番モデルは狙い目だ。

前述のようにサイズは十分に小さく、ノートパソコンの両サイドに置くと、スピーカーだぜ! という十分な存在感は発揮しつつ、画面サイズを圧倒して映像とのバランスを崩してしまうほどにはならない。13 - 14インチの画面と高さがだいたい揃う感じだ。

ただしこのモデル、そしてこれ以降に紹介のモデルはスラントなしで角度調整ゴム足なども付属しない。デスクに置いただけだと音がスピーカーから耳に向かってストレートに届いてこないし、音がデスク面に反射して乱れやすいので、底面前側に何か適当なブツを挟んでの角度調整をおすすめしたい。筆者はこういった場合、半球型のゴムを使用することが多い。

ガタつかず滑りにくく癖のある振動もしなさそうなモノを挟んで角度調整。今回は半球状のゴム噛ませている

ほどよい角度の目安としては「ディスプレイの角度をいい感じに調整し、スピーカーの角度もディスプレイとだいたい同じ感じに合わせる」といったところだ。目と耳の高さはだいたい同じだし、システムとしてのルックスも整う。

電源スイッチとボリュームノブはこちらも共に背面。なのでやはり電源はほぼ入れっぱなしでの運用が基本になるかと思う。ただこのモデル以降に紹介するものはアンプ出力が徐々に大きめになってくるので、その消費電力等が気になる場合は、面倒でも背面に手を伸ばして手探りでこまめにオンオフした方がよい。スイッチ付の電源延長ケーブルで手元操作できるようにするなんて方法もある。

手探りでも意外と操作しやすいボリュームノブと電源スイッチ

十分な小型さを維持しつつ、ドライバー構成は3インチウーファー+0.5インチトゥイーターの2ウェイ。メートル法換算で8cm弱+1cm強といったところだ。周波数特性のスペックとしては80Hz - 22kHzとなっている。周波数特性のスペックとしてはPM0.3eと同程度の低域、狭めの高域なのだが、実際の聴こえ方はそれほど単純ではない。

トゥイーターには拡散性調整等を狙っていると思われるパーツを装備

低域で言うと、ディープなローエンドが出ないことはPM0.3eと同じだが、それより上のベース等の太さを生み出す低域はこちらの方が明らかに充実している。するとベースの重心がその帯域側に下がってくれるので、その上の帯域のボーカルとのセパレーションが明確になってくれたりもする。ただしレンジ感が広がった分、少し散漫になる印象もあり、音楽全体の一体感を好む方にはPM0.3eの方が合うかもしれない。

高域側はPM0.3eの方が明るい印象で、こちらはシンバルの鋭さやエレクトリックピアノの煌びやかさが控えめだ。ただ高域も伸ばしてしまうと前述の散漫さがさらに目立ちそうな気はするので、全体のバランスとしてはこの感じがよさそう。

高域側の繊細な表現もほしいアコースティックなジャズなどにはあまりフィットしないかもしれないが、ベース帯域の充実でバンドサウンドのドライブ感等の表現はぐっとよくなる。映像コンテンツでも、例えばバトルありのアニメ作品とかでは低域の太さが生きるだろう。

次ページお次はアメリカのSAMSONから「MediaOne M30」!

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