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Gシリーズ最上位機の本領を改めて検証!

パナソニック「LUMIX DC-G9」レビュー。フルサイズ全盛の今だからこそ輝く真の魅力

公開日 2020/03/25 06:30 山田久美夫
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昨年、フルサイズミラーレス市場に参入したパナソニック。満を持して投入した「LUMIX Sシリーズ」は、発売以来、各方面から高い評価を獲得している。

だが、そもそもパナソニックは11年前に世界初となるミラーレスカメラを発売して以来、一貫してマイクロフォーサーズ機に取り組んできた歴史があり、その間に積み上げた経験をベースに開発されたのが「LUMIX Sシリーズ」なのである。つまり「LUMIX Sシリーズ」のルーツは、今回取り上げるマイクロフォーサーズ機のフラグシップ「LUMIX DC-G9」(以下、G9)にあるといえるだろう。



G9が発売されたのは、2018年1月。もう2年以上も前になる。しかし本機は今もなお、LUMIX Gシリーズの静止画向けフラグシップ機であり、バリバリの現役モデル。不思議なほど古さを感じさせない完成度を誇っている。その真の魅力はどこにあるのか。改めて探ってみたい。

■2年前のモデルとは思えない第一線の実力


ローパスレス仕様の有効画素数2030万画素4/3型Live MOSセンサー、高速で多彩な処理演算機能を備えたヴィーナスエンジンを搭載。AFには独自の高度なコントラスト検出式の「空間認識AF」を採用。連写性能はAF追従で秒間約20コマ、AF固定で秒間約60コマ。さらには、プリ連写機能や独自の高精細動画切り出し機能「6K PHOTO」も備えるなど、主要スペックと機能をざっと羅列しただけでも、2年前のモデルとは思えない、今でもまさに第一線の実力を誇ることは十分に理解できるだろう。

しかしG9の真の魅力は、スペックや機能だけではなかなか伝わりにくい。これは「LUMIX Sシリーズ」にも相通じるところなのだが、「使うとよさが実感できる」モデルなのだ。

正直なところ、マイクロフォーサーズ機だからといって、ボディが極端に小さいわけではない。だが、本機がハイエンド機であることを考えれば、そのサイズは十分にリーズナブルなサイズだ。なにしろ、標準ズームを装着した状態で、ごく普通のバッグに収まるサイズでありながら、中身は超本格的なハイエンド機。つまり、その卓越したポテンシャルのボディを「常用」できるのだ。これはフルサイズセンサー搭載のハイエンド機では到底考えられないことで、レンズを含めたシステムとしては驚異的だ。


広角(焦点距離8-18mm)、標準(焦点距離12-60mm)、望遠(焦点距離50-200mm)の3本の大口径ズームレンズから成るライカ「F2.8-4.0ズームレンズ」シリーズに加えて、単焦点レンズ2本と12インチのノートPCを一緒に持ち歩いても、普段使いのショルダーバックに十分に収まるほどコンパクト。これと同等のレンズシステムをフルサイズ機で揃えたら…。正直、電車や歩きでの移動では、それだけで萎えてしまうだろう。

ボディは、無骨で「モノ」としての存在感がある。質感もよく、よい意味で凝縮感のある仕上がりだ。操作部も全体的に大きく、レイアウトもよく考えられており、とても使いやすい。EVFはきわめて高精細。ファインダー周辺部の歪みもなく、色や階調の再現性もよく、信頼できる見え味を実現している。

シャッターは、フィーリングがあまりに軽く、最初は戸惑うだろう。シャッターを「押す」というより「触れる」といったほうが近い印象で、慣れるまでは、シャッターを半押しするだけでシャッターが切れてしまう。ただ、それも1日あれば慣れる。慣れた後は、撮りたい瞬間に、抵抗なく指先を動かすだけで撮れることが心地よくなる。シャッターの振動も少なく軽快だ。

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