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【特別企画】鈴木裕氏がその音に惚れ込み自宅へ導入

音楽を聴く愉悦を感じさせてくれるスピーカー ― ソナス・ファベール「Electa Amator III」導入記

公開日 2019/12/27 12:11 鈴木 裕
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■「木」「石」「革」「金属」の融合

まず特徴的なのは使われている素材だ。エンクロージャーの側板や天板などはウォルナットの無垢材。バッフル板とバックパネルは木材に黒いレザーが貼ってある。底板の白く見える部分はイタリアのトスカーナ州カッラーラ産の白大理石を成形。パルテノン宮殿やミケランジェロのダビデ像にも使われている、やや柔らかい石材だ。

そして、その大理石の底板とウォルナットの側板の間に挟まっているのがブラス(真鍮)のプレート。外側から見ると装飾的に浅く装着してあるだけのように見えるが、実はプレートとして積層的に挟まっていて、側板において木と石は直接的には接触していない。ソナス本社のウェブサイトの英語の説明では「木と石という素材を高める」という言い方をしていて、ここでは両者の美点を引き出して盛り上げる役割を担っている、と意訳しておこう。スタンドはアルミ製の天板と支柱。そして底板が同じく白大理石。真鍮のボルト受けにスチールのスパイクとスパイク受けという構成だ。

底板の大理石とウォルナットの側板に挟まれた真鍮のプレート

ドライバーユニットについて。トゥイーターは28mm径のシルクのソフトドーム。アロー・ポイントDAD(Damped Apex Dome)と呼ばれる、同社の最近の高級機に使われているもの。その背面には無垢材を使用し複雑な音響迷路を成形した専用チャンバーが採用されている。

288m径のシルクドーム・トゥイーターはアロー・ポイントDADと呼ばれるもの

ウーファーの口径は公称180mm。実測するとエッジの外側までが145mm、アルミ製のフランジの外径が180mmある。振動板はセルロース・パルプをミックスしたもので、本機専用の新設計ユニットだ。スピーカー端子はバイワイヤリング対応で、ジャンパープレートが付属している。

本機専用に設計された180mm径のミッドウーファー

スピーカーターミナルはバイワイヤリング対応。端子もSonus Faberらしい高品位なものとなっている

次ページ倍音をリアルに再現してくる感じは最大の美点

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