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超低域方向の再現は“凄い”の一言

【製品批評】新世代ソナス・ファベールの進化を象徴するスピーカー「IL CREMONESE」

公開日 2017/06/27 12:43 藤岡 誠
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製品批評

IL CREMONESE(walnut仕上げ、左)とVenere Signature(Wood仕上げ、写真右)

スピーカーシステム
Sonus faber
IL CREMONESE
¥5,500,000/ペア(税抜)
Venere Signature
¥790,000/ペア(税抜)


イタリアの名門ブランドSonus faber(ソナス・ファベール)から登場した「IL CREMONESE(イル・クレモネーゼ)」は、その圧巻のサウンドが認められ、オーディオ銘機賞2017『銀賞』を獲得。また新世代シリーズのフラッグシップモデル「Venere Signature(ヴェネレ・シグネチャー)」も『銅賞』を獲得した。

私は1988年(昭和63年)、仕事絡みのスピーカーシステムとは根本的に異なる、2ウェイ・ブックシェルフ型「Electa Amator(エレクタ・アマトール)」を初めて聴き興味を持った。これを送り出していたのが、当時日本ではほとんど無名だったSonus faberだ。

バッハ、モーツァルト、ブラームス……と聴き進むうちに、まったく独自で極めて情緒的な音質に感激。早速、輸入会社に購入する旨の連絡を入れた。数日後、自宅に届いたのは、社長曰く輸入第1号機とのことだった。

1991年には上級型「EXTREMA(エクストリーマ)」を購入。この2機種はブックシェルフ型のレファレンスとしても活用し、現在は別室に静態保存しているが、私はそれ以来、Sonus faberに対して音質・音調のみならず、デザイン、仕上げなどにおいて格別な信頼感を抱くようになった。

Sonus faberは今年に入ってから一段と熟成度が増し、同社が新世代を迎えたように私は感じている。それは「IL CREMONESE」や「Venere Signature」を見て、触れて、聴いて感じたことだ。

IL Cremonese(red仕上げ)

特に「IL CREMONESE」は、今後の同社の高級システムの音質の方向性が示されているのではないか?と勝手に思っている。使用されている各ユニットやネットワーク、そしてキャビネットなどについては従来からの技術の延長線上にあるが、画期的なのは25Hz〜80Hzを受け持つスーパーウーファーが組み込まれ、従来に比して飛躍的な超低域方向の伸張があることだ。

実際に聴くに及べば、超低域方向の伸張と重心の低さはまさに「凄い」の一語だ。その水準は、最近話題のいくつかの輸入高級スピーカーシステムを凌駕するといっても過言ではないほどだ。わざとらしさがない聴こえが素晴らしいし、空間再現性は自然で、音像定位は極めてシャープだ。

Venere Signatureの仕上げは、Wood(ウォールナット突板仕上げ)のほか、受注生産でピアノフィニッシュのブラック/ホワイトを用意

他方「Venere Signature」は、「IL CREMONESE」には及ばないにせよ、従来型以上の空間感と音像定位が認められる。とにかく、かつて私が体験した「Electa Amator」らの時代が遠い昔になったような、そんな雰囲気が最近のSonusfaberにあるように思うのだ。

(藤岡 誠)

Specifications
【IL CREMONESE】●型式:3.5ウェイ・6スピーカーフロアスタンディグ型 ●ユニット:28mmドーム型トゥイーター、180mmコーン型ミッドレンジ、180mmコーン型ウーファー×2、220mmコーン型スーパーウーファー×2 ●クロスオーバー周波数:80Hz/250Hz/2,500Hz ●周波数特性:25Hz〜35kHz(ステル・リフレック含む)●出力音圧レベル:92dB(2.83V/m)●公称インピーダス:4Ω ●外形寸法:399W×1450H×622Dmm●質量:84kg(1台)

【Venere Signature】 ●形式:3ウェイ・5スピーカー(フロアスタンディング型バスレフ)●ユニット:29mmソフトドーム型トゥイーター、150mmコーン型ミッドレンジ、180mmコーン型ウーファー×1●クロスオーバー周波数:250Hz/2,500Hz●周波数特性:40Hz〜25kHz●出力音圧レベル:90dB SPL(2.83V/1m)●公称インピーダンス:4Ω ●サイズ:391W×1236H×478Dmm●質量:28.8kg(1台)●取り扱い:潟mア



※本記事は「季刊オーディオアクセサリー」163号所収記事の一部を抜粋したものです。くわしいレビューは雑誌でご覧頂けます。購入はこちらから

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