[PR]歴史あるシリーズの「完成形のその先」を提示

“木のヘッドホン”新モデルが体現する、オーディオテクニカの“伝統と革新”。ATH-AWKT/AWASレビュー

高橋 敦

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2019年11月14日
20年以上の歴史を持つオーディオテクニカの“木のヘッドホン”から、新たに2モデルが同時登場した。ロングセラー機を進化させた縞黒檀採用の「ATH-AWKT」と、“今できることを全て盛り込んだ”というアサダ桜採用の「ATH-AWAS」だ。

“木”というトラディショナルな材料を使った歴史あるシリーズから、現代に求められるモデルとして送り出された2機には、それぞれ「伝統」と「革新」というメッセージが込められているという。その実力に迫るとともに、両者の個性の違いについても紐解いていこう。


(左)ATH-AWKT ¥OPEN(予想実売価格200,000円前後)/(右)ATH-AWAS ¥OPEN(予想実売価格150,000円前後)。価格帯は異なるが、どちらが上位機ということはなく異なる個性を持つモデルという位置づけ。その考えは型番に数字を用いていないことにも表れている

20年以上の歴史を持つ"木のヘッドホン”に
「完成形のその先」を提示する2つの新モデルが登場


音楽を聴くといえばスピーカー再生であった時代、人は音楽を木の響きと共に感じていたと言える。

スピーカーキャビネットの素材は昔も今も木材が主流。家具材として生活に、そして楽器材として音楽に身近なものである木材が、スピーカーキャビネットの主流になったのは自然なことだ。そしてそのキャビネットの響きはオーディオにおいても、身近で自然なものとして親しまれ続けてきた。

しかしヘッドホンの分野では、ハウジングに木材を使用したモデルは希少と言える。

板を組み合わせて箱にすれば形になるスピーカーキャビネットと違い、ヘッドホンのハウジングはより曲線的で複雑な形状だ。木材で作るとなると手間をかけた削り出し作業が必要となる。

しかも均質な金属等の削り出しとは異なり、その材ごとの木目を読みそれに合わせて削らないと綺麗には仕上がらないだろう。木材からのハウジング製作は難易度が高い。

加えてヘッドホンはスピーカーよりも後年になって登場した機器であるので、プラスチック成型という選択肢もその時点からあった。当初から、無理して木材を使う必要性は薄かったことだろう。

なのでヘッドホンにおいて木材ハウジングの採用例は少ないのだが、そんな中、23年前に登場した「ATH-W10VTG」から脈々と続くのが、オーディオテクニカのウッドハウジングシリーズだ。特に2005年登場の「ATH-W5000」はその完成形とも言える仕上がりとなり、今夏まで約14年間もの長きにわたって販売されたロングヒットモデルだ。

だが遂に新たに「完成形のその先」を提示するモデルが登場することとなった。しかも、伝統をより色濃く継承する「ATH-AWKT」伝統からの革新に踏み込む「ATH-AWAS」という2モデルが同時に投入される。


"伝統”を継承した「ATH-AWKT」、"革新”に踏み込む「ATH-AWAS」

伝統を継承する「ATH-AWKT」のハウジング素材は、ATH-W5000と同じ縞黒檀。黒檀、エボニーはヴァイオリン属の指板材としても知られる、硬く重く耐久性に優れた木材だ。特に磨き上げた際の美しさから家具や小物の素材としても人気がある。しかし、材自体が豊富なものではない上にその硬さ故に加工性も低く、黒檀製品は概ね高級品だ。

革新を打ち出す「ATH-AWAS」のハウジング素材はアサダ桜。一般には単に「アサダ」と呼ばれることも多いこちらの材は北海道に多く分布しており、現地では家具材などとして古くから多く用いられているという。黒檀ほどではないがやや重硬傾向の木材で、木材らしい色合い、きめ細かな木理の美しさが魅力。

というように外観的にも最大のポイントであるハウジング材が異なる両モデルだが、続いては、同じく新世代のウッドモデルとしての共通点を見てみよう。

いちばんのポイントはヘッドバンド調整機構だ。オーディオテクニカのハイエンドヘッドホンは、以前は、調整不要で頭にフィットする「3Dウイングサポート」という機構を特徴としていた。対して今回のモデルは、先に登場したフラグシップ「ATH-ADX5000」と同じく、ユーザーがバンドの長さを伸縮調整するという、ヘッドホンとしてより一般的な機構を採用している。世界的な展開を視野に入れた場合は特に、より幅広いフィットの提供は外せない課題だったのだろう。

これまで採用されていた「3Dウイングサポート」(写真右)ではなく、ユーザーが自分でバンドの長さを調整できるスライダー機構とした

イヤーパッドは音質を考慮した最適な厚みの立体縫製のもので、装着感を高めるとともに密閉性も確保している

フィット感の面では他に、ATH-AWKTは天然シープスキン、ATH-AWASは合成皮革という素材の違いはあるが、立体縫製によるイヤーパッドもポイント。

ケーブルは着脱式で、その着脱端子はもちろん、自社開発のA2DC端子だ。端子の表裏等を気にする必要がない同軸端子という利便性はMMCXと同じだが、他用途からの流用であるMMCXと異なりオーディオリケーブル用に開発されたものであり、音質に関わる接触性、場面に応じた交換に対応できる耐久性といったところに強みを持っている。

ケーブルは両機ともA2DC端子を用いた着脱式。XLR 4pinバランス駆動ケーブルも付属している

またどちらのモデルにもXLR 4pinバランス駆動ケーブルが付属。導体素材はATH-AWKTが6N-OFC、ATH-AWASはOFCだ。

このような共通点がありつつ、心臓部となるドライバー、そしてそのドライバーとハウジング材の特性を生かしての音作りが異なるというのが、ATH-AWKTとATH-AWAS、両モデルの個性だ。


両機の個性の違いを詳細に紐解く

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