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【特別企画】カッコ良さと次世代領域の音を両立

"先鋭"に"正統"をプラス。ローランド音質監修の“新生V-MODA”フラグシップヘッドホン「M-100 Master」を聴く

公開日 2019/09/27 12:00 土方久明
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打ち込み系、だけじゃない。ローランドの音質監修で生まれ変わったV-MODA

待望のV-MODA新フラグシップヘッドホン「Crossfade M-100 Master」¥OPEN(市場想定売価35,000円前後)

めまぐるしく進化を続けるヘッドホンオーディオの世界で、ある種「特別」なブランドとしての存在感を見せつけているV-MODA。その魅力は、V-MODAのヘッドホン/イヤホンの血筋とも言うべき、打ち込み系の音源との相性の良さとクールなデザインにある。

実は筆者もV-MODA製品のグルーヴ感ある音が好きで、歴代モデルを愛用し続けている1人。EDMなどのダンスミュージックやポップス、ロックを楽しむ時などに秘密兵器として使っている。

さてそんなV-MODAから、待望の新フラグシップ密閉型ヘッドホン「Crossfade M-100 Master」(以後M-100 Masterと表記する)が登場した。

これまでのフラグシップであった「Crossfade M-100」(以後M-100と表記する)を大幅にブラッシュアップしたモデルで、ハイレゾに対応。楽器メーカーでもあるローランドのエンジニアがサウンドデザインを監修し、より最新のトレンドに沿った音作りに最適化した。これによりDJやトラックメイカーが音楽制作に使えるレベルのサウンドクォリティを取得したというのが特徴だ。

V-MODAは2004年に設立されたヘッドホンブランドだが、現在はローランドグループの一員となっている。関係の始まりは、2014年にローランドがダンス・ミュージック・シーンに向けたシンセサイザー/リズムマシン「AIRAシリーズ」を開発した過程で、ヘッドホンをV-MODA社と共同開発したこと。2015年には初のコラボレーションモデルとなる「Crossfade M-100 AIRA」を発売し、「V-MODAが持つデザイン&サウンドのアイデンティティと、ローランドが持つ音作りのノウハウを融合させる」というビジョンが両社に生まれ、2016年8月にV-MODAはローランドグループに参加したのである。

現在は、V-MODAがイタリア・ミラノにあるスタジオで製品デザインを担当し、ローランドはハードウェア設計、開発、品質管理を担当している。


先鋭的な外観はそのままに、内部構造を大幅に進化

さてここからは、新発売の最上位モデルM-100 Masterを解説していこう。本モデルは密閉型を採用したオーバーヘッドタイプのヘッドホンとなる。六角形のプレートがはめ込まれたハウジングやヘッドバンド周り、ハウジングとヘッドバンドをつなぐヨーク部などのデザイン意匠は、M-100やLP2などの歴代モデルを継承している。

左から「M-100 Master」、筆者の所有する「M-100」、「LP2」(2011年発売)。V-MODAのアイコンである先鋭的なデザインはしっかりと継承されている

平たく言えば見た目はほぼ変わっていないのだが、筆者はこれに大賛成だ。イタリアで生まれた先鋭的な外観はすでに完成されたもので、下手に手を付ける必要性は感じない。ちなみに数少ない外観上の差異は、ヘッドバンドの内側に新たに採用されたヴィーガンレザーの質感、より密閉性が向上したイヤーパッド、ヘッドバンド裏にあるモデル名の印刷くらいだ。また、M-100で評価の高かったコンパクトに折りたためる機構もそのまま継続されている。

「M-100 Master」(写真左)と「M-100」(写真右)の外観はほぼ同じだが、ヘッドバンド裏にあるモデル名の印刷が異なる。


またイヤーパッドも形状が変更され、密閉性が向上した。写真左が「M-100 Master」、写真右が「M-100」
ではM-100から大きく進化したポイントはどこかというと、内部パーツの変更と大幅に詰められたセッティングである。従来モデルから採用されていたφ50mmデュアルダイアフラムネオジウムドライバーをベースに、コイル線材を変更。アルミ線に銅をコーティングした日本製のCCAW(カッパークラッド・アルミワイヤ)を採用している。

また、プロテクター形状の見直しや、外圧による振動板への影響を低減するエクスカージョンの搭載、ハウジング内部にあるベントポートのエアーフローを最適化する為に採用した日本製の特殊不織布など、ポイントは多い。上述の形状変更されたイヤーパッドにより、遮音性と装着感の向上も図っている。

スペック的な注目点としては、再生可能な周波数特性が「5〜30,000Hz」(M-100)から「5〜40,000Hz」(M-100 Master)となり、高域の周波数限界が伸びたことが挙げられる。この変更が実際の音質向上にどこまで左右するのかは未知数ではあるが、これにより、JEITAが定めるハイレゾ規格をクリアして正式にハイレゾ対応を謳えるようになったのは嬉しい。インピーダンスは32Ωと変わらず、感度は103dB/mW(M-100)から105dB/mW(M-100 Master)と若干向上している。

高域の周波数限界が40,000Hzまで伸びたことで“ハイレゾ対応”に。ロゴも取得し、ケース右下に記されている

また、細かい点だが、付属する3.5mmのステレオミニジャックケーブルはマイク付きとなり、3.5mmミニステレオ→標準ステレオの変換プラグとカラビナ付の専用セミ・ハード・シェルケースも用意される。

カラビナ付きの専用セミ・ハード・シェルケースには、コンパクトに折りたたんだ本体に加え、ケーブル類もスマートに収納できる。付属する3.5mmステレオミニジャックケーブルはマイクとワンボタンリモコン付き。3.5mm→標準プラグ変換アダプターのほか、他のヘッドホンをつなげて使えるSharePlayケーブルが付属するのもユニークだ。


V-MODA歴代モデルを愛用する筆者が、進化点を徹底比較

先述の通り、筆者は歴代のV-MODAヘッドホンを使っているので、今回は前モデルのM-100と比較しながら実力をチェックしていこう。

試聴を行う土方氏。V-MODA愛用者は“新生V-MODA”新フラグシップをどう評価する?!

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