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Wi-FiやUSB-C対応の背景とは

<IFA>これは“セルラーモデル”への通過点? ウォークマンが再びAndroidを採用した理由を担当者に訊く

公開日 2019/09/06 16:32 山本 敦
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「開発を始める段階でセルラー通信への対応は議論に上りました。技術面で難しいということはないのですが、やはり本体のサイズと商品の最終価格に影響が及ぶため、今回のモデルでは見送る判断に至りました。反響を見ながら引き続き検討していきます」(露木氏)

現時点でまだ国内には、海外で既にスタートしているTIDALやQOBUZが提供しているようなハイレゾ対応のストリーミングサービスが上陸していない。しかし、moraはハイレゾ配信の「mora qualitas」を準備中だし(関連ニュース)、一部メディアからAmazonがハイレゾ対応のストリーミングサービスを用意しているとの報道もあった。

新しいウォークマンはともにハイレゾ対応のストリーミングサービスを受けて聴くことができるものの、ひとつ注意したい点は、SoC周辺のシステムによる制約を受けるため、最大48kHz/16bitまでのダウンコンバート再生になることだ。チップセットについては1.8GHzのクアッドコアであること以外、ベンダー名等の情報は非公開としている。

会場ではDeezerとTIDALの試聴デモンストレーションを行っていた

ライバルはiPod touch?

Androidを搭載したことによってマルチコンテンツ対応を遂げたウォークマンA100シリーズは、価格帯を見てもアップルの「iPod touch」が対抗馬的な位置付けになろうかと思う。ウォークマンは高音質を追求した「音楽プレーヤー」がベースであり、一方のiPod touchはゲームを快適に遊べる端末としてもその魅力を訴求しているところに立ち位置の違いがある。

カメラの有無は言うに及ばず、それぞれ仕様を比較すると各端末のコンセプトの違いは明確に表れる。筆者も写真を撮ってSNSやメールでシェアするならばスマホを使うと思うし、高音質設計を重視してカメラを載せないウォークマンのスタンスには共感している。

スタンダードクラスのAシリーズもAndroid対応の「A100」シリーズに生まれ変わる

ただ、後ほど別稿にて詳しくレポートする予定だが、ソニーが次世代のオーディオエンターテインメントとして準備を進めている「360 Reality Audio」(関連ニュース)では、同社のヘッドホン・イヤホンを使ってベストコンディションで楽しむために、プレーヤーとなるスマホでユーザーの耳の画像を撮影し、独自のクラウドサービスでデータを解析する必要がある。Androidウォークマンでも、これと同等のことがカメラ撮影無しでも体験できるようになればいいと思う。あるいは今後、カメラをセンサー的に活用して楽しむようなAR系オーディオエンターテインメントが登場した場合には、ウォークマンも別途カメラを搭載するシリーズを立ち上げる必要があるのかもしれない。

IFAでは360 Reality Audioのデモンストレーションも披露。ソニーのヘッドホン・イヤホンを組み合わせると、スマホの内蔵カメラで撮影した耳画像から作成するプロファイルにより、ベストコンディションで立体サウンドを楽しめるようになる

WM-Portが廃止された理由とは

ZX500/A100シリーズでは、ウォークマンがデジタルファイルの再生に対応して以降長らく搭載してきた独自のデジタルインターフェース「WM-Port」を廃止し、USB Type-Cに切り替えた。その理由を露木氏は次のように語っている。

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