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[特別企画]バーチャルサラウンド機能も充実

オンキヨーのTHX準拠AVアンプ「TX-NR696」レビュー。10万円切りでオーディオ性能を磨き上げた自信作

公開日 2019/08/28 06:15 土方 久明
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まず搭載アンプ数についてだが、TX-NR696はクラススタンダードとなる合計7ch分のパワーアンプを搭載し、1chあたり定格160W、最大190W(1kHz、6Ω)のパワーを確保する。対応可能な最大スピーカーアサインは、天井スピーカーありの構成では5.1.2ch。天井スピーカー無しの構成では7.1chが可能だ。

7ch分のパワーアンプとサブウーファープリアウトで、最大7.1chもしくは5.1.2chのサラウンド環境が構築できる(画像は本製品の説明書より引用)

ホームシアター音声フォーマットは、ドルビーアトモスとDTS:Xに両対応するのが嬉しい。天井付近にスピーカーを設置して、4K画質のUHD BDやNetflixなどで上記フォーマットを採用した作品を見れば、頭上からは数々の効果音が再生され今までにないような強烈な没入感を得られる。特に雨のシーンや花火、アクションシーンなどは必見だ。

もちろん最初はフロント2本のスピーカーからはじめてもいい。徐々にスピーカーを増やしてステップアップするのも楽しいだろう。

またハイトスピーカーやサラウンドスピーカーがなくても、それらのスピーカーの音像を仮想的に再現する3Dサラウンド再生技術「Dolby Atmos Height Virtualizer(ドルビーアトモス・ハイト・ヴァーチャライザー)」と「DTS Virtual:X」も、ファームウェア・アップデートによって搭載された。今回の取材で同機能を試したが、これが予想以上の仕上がりで驚いた。現在ドルビーアトモスやDTS:X非対応のAVアンプを使用しているユーザーも、スピーカーはそのままでアンプをTX-NR696に置き換えるだけで、手軽に3Dサウンドを楽しむことができるだろう。

最後に、HDMI周りの規格だ。TX-NR696は、4K/60pやHDR10/ドルビービジョン/HLGのHDR 3大方式対応の「HDMI2.0b」に準拠している。HDMI入力は7系統、出力は2系統で、その全ての入出力で4K/60pのパススルーを可能とする。

最近はUHD BDプレーヤー、4Kチューナーを内蔵したレコーダー、PlayStation4 Proをはじめとするゲーム機など4K/60pの出力機器が増えている。だから、全てのHDMI端子が4K/60pに対応した上、それをパススルーできることは重要で、最新のAVアンプを購入する大きな理由となる。

有線/無線LAN周りの仕様が大幅に強化されているのも見逃せない点だ。例えばネットワーク周りの処理タスクを並列に実行可能なクアッドコアSoCの採用により、iOSやAndroidデバイスにインストール可能な操作アプリ「Onkyo Controller」のレスポンスや機器の認識スピードが高く、今までの同社製品と比べアプリの反応速度やネットワーク上の安定性など、ネットワーク再生の品質が上がっているところも気に入った。

標準的なリモコンも付属する

さらに、Wi-Fiは5GHz(11ac/a/n)、2.4GHz(11b/g/n)のデュアルバンドに対応した上、最新の802.11ac(2x2 MIMO)をサポートしていることもユーザビリティの点ではアドバンテージに挙げられるだろう。

ハイレゾやストリーミングサービスなど、オーディオソースへの対応力も優秀だ。USBメモリーやネットワーク経由で、192kHz/24bitまでのWAV・AIFF・FLAC・ALAC、11.2MHzまでのDSD(PCM変換)の再生に対応する。また、FM/AMチューナーも内蔵する上、インターネットラジオの radiko.jpとTuneInや、ストリーミングのSpotify、Amazon Music、Deezer Hi-Fi等の聴取が可能で、さらにDTS Play-FiやAirPlay 2、Chromecast built-inにも対応する。

さらに次世代の音楽再生ソフトとして注目されるRoonとの接続性を保証する「Roon Tested」認証も取得。Roonアプリから本機を選択して、Roon上の音源を再生することができる。

明瞭さと低音の迫力を兼ね備えた質実剛健なサウンド

自動音場補正「AccuEQ Room Calibration (アキュイーキュー ルームキャリブレーション)」を実施した上で、ダイナミックレンジを圧縮する「ドルビー・ラウドネス・マネージメント」とTHX認証機に装備される「THX・ラウドネス・プラス」をオフにして試聴を開始した。

まず、GUIに従って操作する音場補正「AccuEQ Room Calibration」を適用した

最初は2ch再生から。スピーカーはELAC「240BE」シリーズを用いた。本機の設定を「ピュアオーディオモード」に変更して、ネットワーク再生を行う。NASのfidata「HFAS1-H40」内に保存した洋楽ポップスのホセ・ジェイムス『リーン・オン・ミー』(44.1kHz/24bit FLAC)から、トラック4の表題曲を聴く。出だしからノイズフロアの低さが印象的で、聴感上のS/Nが良く透明感あるサウンドだ。中高域のトーンバランスに不自然さはなく質感表現もアキュレイト。生々しいボーカルがスピーカー中央に出現する。

リモコンもしくは本体ボタンから「Pure Audio」モードに切り替え、2ch音源を試聴

また、低域のエネルギーが厚くベースに力感があるのも特徴だ。本機はオンキヨーアンプのお家芸である「ダイナミック・オーディオ・アンプリフィケーション・コンセプト」を採用しており、良質な電源トランスや大容量コンデンサーを採用することでスピーカーの駆動力を高めているのだが、その力を実感した。

映像ソースはどうだろうか? こちらは「240BE」シリーズに、同じくELACのサブウーファー「SUB2060D」を加えた5.1.2ch構成(トップスピーカーはフロントハイトを設置)を用いて確認した。

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