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テストコース走行で試聴

「MAZDA3」はオーディオの本気度が違う! パイオニア/ボーズのサウンドシステムをレビュー

2019/07/02 会田 肇
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そんな中で聴いた標準仕様のサウンドは、音像を前方に定位させてとても自然な雰囲気で再現していた。サウンドに妙な強調感もなく、耳にスッと入ってくる。しかも低域の力強さもある。走行中の静粛性の高さも手伝い、ボリュームの目盛りを中程の「20」程度としたままで高速域に入っても十分楽しめたのも見逃せない。

ただ、少し気合いを入れてボリュームアップすると限界点が見えてきた。ボイスが上擦った感じになり、低域も明らかに鈍ってくる感じだ。それでも、ドライブミュージックとして適度な音量で楽しんでいる分には心地良い。

価格以上のクオリティを追加できるBoseサウンドシステム

一方のBoseサウンドシステム。試乗車は2.0ガソリンエンジンを搭載するセダンで、標準車に加えてリアトレイにサブウーファーとその左右にサラウンド用スピーカー2個が追加配置されていた。これが車内に広がりのある臨場感をもたらすのだ。また、運転席下には専用デジタルアンプも追加されている。

「MAZDA3」(セダン)

なお、ハッチバックの場合はリアトレイがないので、サブウーファーはスペアタイヤ位置に専用エンクロージャーに組み込んでセットし、リアスピーカーはリアクォーターピラーに組み込む。そのためセダンとは音場の再現性で違いが出るかも知れない。

ハッチバックタイプではサブウーファーをスペアタイヤ位置に埋め込む

Boseサウンドシステムはユニット数も増える。イメージはハッチバックのもの

再生をスタートさせると、すぐに音の解像感がまるで違うことに気付く。音像のフォーカスポジションを運転席に合わせると、その位置がピタリとドライバーの目の前に収まる。それでいてダッシュボード上には演奏している音場が広がっており、この造り込みには思わず感心してしまう。

ここでボリュームをアップしてみる。予想していた通り、この時の余裕は標準仕様を上回るもので、標準仕様で限界点だった地点を超えても崩壊の素振りもない。ベースの音がエネルギッシュに鳴り響き、ボーカルも高らかに歌い上げ、何よりもピアノのタッチがリアルそのもの。そのサウンドと臨場感には慣れた試聴音源に思わず聴き入ってしまうほどだった。

また、Boseサウンドシステムには、独自のサラウンドシステム「Centerpoint2」機能や走行ノイズ補償システム「AUDIOPILOT2」も搭載する。前者は車内に広がりのある音場をもたらすサラウンドモードで、後者は車室内のマイクで拾ったノイズと車速情報からノイズを抑える走行ノイズ補償システム。いずれも3段階で設定ができる。

一通り試聴を終えた後、ポジションを運転席に合わせたままでCenterpoint2のレベルを少しずつ上げてみた。するとサイドやリアスピーカーの音が強調されて、広い音場に変化していることがわかる。音像はやや曖昧になるものの、むしろ包み込まれるようなサウンドの心地良さを感じるようになった。さらに、助手席側で聴いていた同行者からも「こちらの方が落ち着いて聴ける」との意見も。ドライブ中にさらりと流して聴く場合はこのモードを選択してみるのも一つの方法だと思った。

Boseサウンドシステムでは「Centerpoint2」などの機能も活用できる

このBoseサウンドシステム、パイオニア製スピーカーを組み合わせた標準仕様との価格差は7万5600円。仮に音楽をドライブ中のBGMとしてしか楽しまない人にとっては無理して追加する必要はないかも知れない。マツダが狙う「必要な音だけが自然に心地良く聞こえる」サウンドは標準仕様でもしっかりと実現できていたからだ。

ただ、少しでも質の高い音楽再生を望み、その上で力強いサウンドで楽しみたいというならBose仕様をオススメしたい。仮に後からこれだけのサウンドを実現しようと思っても、オプション価格以上の費用がかかる。その意味でもこのオプション価格は絶対にお得と言えるものなのだ。

今回の試乗はあくまで路面状態の良好なテストコースでの話。一般道に出れば荒れた路面もあるだろうし、そうした場所でこそMAZDA3が狙ったNVHの真価を確かめられる。Boseサウンドシステムが備える「AUDIOPILOT 2」の効果を試すにも良い機会となるだろう。8月に登場する新開発の「SKYACTIV-X」エンジンとの組み合わせも興味深い。試乗できた際には改めてレポートをお届けしたいと思う。

(会田 肇)

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