【特別企画】操作感/音質が強化された“Mシリーズ” の代名詞

今欲しい機能が“全部入り”の先進DAP。4.4/2.5mmバランス端子搭載、FiiO「M11」レビュー

編集部:成藤 正宣

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2019年06月11日

先に3.5mmのアンバランスケーブルで聴きはじめると、硬くひき締まった “カッチリ” したサウンドという印象をまず受ける。音の立ち上がりが早く、鳴り終わりの残響もサッと消えるのが、そう感じられる一因だろう。

高音域から低音域まで聴感上の周波数帯域は広く、特に中〜高音域の伸びやヌケの良さは大きな強み。女性ボーカルや弦楽器などの表現は鮮烈だ。その一方、バスドラムのような非常に低い音域はやや強めに聴こえるようなバランスで、適度なメリハリが付けられている。

硬く引き締まったキレの良いサウンドが楽しめる

試聴曲として、ジャズのテイストをふんだんに取り入れたインディーロックバンドKindoの楽曲より「Human Convention」を聴いた。高めの男性ボーカル、コンガのリズム、ときおり差し込まれるブラスパートなどがM11の硬質な音調とマッチしていて、歯切れよくリズミカルに楽しめる。東山奈央「群青インフィニティ」など女性ボーカルのポップソングでは、歌声がクッキリとしていて抜けが良い。

Kindo「Humna Convention」など、色々なジャンルで試聴

続いて、バランス接続に変えて同じ曲を聴くと、左右のチャンネルの分離が増し、立体感が増すのだが、なんと同じアンプ回路を使っているはずなのに2.5mm/4.4mmで受ける印象がだいぶ違う。ピンアサインや端子の接触面積等々、何がどこまで影響しているのか定かではないが、プラグが違うだけで印象の違いが生まれるのは興味深い。

端子ごとのキャラクターの違いは、低音の響き方に注目すると分かりやすい。例えばバスドラムを例にとれば、2.5mmではクッキリと勢いよくエネルギッシュに耳に響くところ、4.4mmではドラムペダルをズドンと踏み切ったその後に残る、ほんのわずかな空気のゆれ、余韻が豊かに感じられる。

主流のイヤホン端子3種に対応するので、ぜひ違いを楽しんで欲しい

聴き比べといえば、Wi-Fi経由で聴く音楽と内蔵ストレージに保存した音楽、同じデータでも音質に違いが出るのか、なんて比較もM11ならできてしまう。個人的には内蔵ストレージから再生した方が、低音の締まりや高音の伸びで優れているように感じられる。これもまた、原因を考え出すとキリがないのだが……ともあれ、思いつく限りの組み合わせで音の違いを比較できるのも、接続方法が豊富に用意されている本機ならではの楽しみと言えるだろう。

一方で、自分の中に「音をこんなカンジに変えたい!」という明確なビジョンがあるなら、FiiO Music備え付けの10バンドイコライザーが自由度の高いサウンドメイクを実現してくれる。

ほかにも、「リアルタイムDSD変換」というユニークな再生機能を使うこともできる。これはWAV/FLACなどPCM音源をDSD 2.8MHzにコンバートして再生するというもので、“DSD音源ならではのニュアンス” を好むユーザー用に用意された機能とのこと。ちょっとオンにしてみたところ、ベースがやや持ち上がると共に音のカドがとれ、まろやかな雰囲気に変化した。個人的に、ジャズやゆったりしたアコースティック楽曲に合わせてみたい変化だ。

FiiO Musicの10バンドイコライザーやDSD変換機能など、積極的に音色を変えるような聴き方にも対応してくれる



ストリーミングやスムーズな操作性などトレンドを取り込みつつ、動作性や音質をひと回りグレードアップさせたM11。外見的にもインパクトのある3.5mm/2.5mm/4.4mm端子の “全部盛り” はもちろんのこと、スマホ世代も納得のスムーズな操作性、有線/無線関わらない多岐におよぶ接続対応、クッキリとキレのある音質など、5万円台の音楽再生専用機器として充分以上のボリュームを備えている点は、まさに“FiiOらしさ”といえる。“Xシリーズ”から“Mシリーズ”に移行した、これからのFiiOの代名詞になりうるモデルだ。


特別企画 協力:エミライ

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