PCモニターのHDR規格を体験

高画質モニターの目印! 「DisplayHDR」対応のLG液晶モニター、何がどうすごいか徹底検証

鴻池 賢三

前のページ 1 2 3 次のページ

2019年06月07日
高画質を語る上で、すっかり欠かせない存在となったHDR。その信号には、「HDR 10」「ドルビービジョン」といった複数のフォーマットが存在することも浸透しつつあるが、表示機器側にも規格が定められていることはご存知だろうか。

その規格の名前は「VESA DisplayHDRTM」(以下、DisplayHDR)。主にPCモニターで用いられており、表示機器が持つ輝度、コントラスト比などHDRに関わる性能を、いくつかのグレードに分けて明示化するものだ。

しかし、DisplayHDRを取得したからといって、実際にどれほど画質の違いが出るのだろうか? 今回、LGエレクトロニクスのDisplayHDR対応モニター「32UL950-W」と「27UL850-W」を用いて比較視聴を実施。技術的な解説も踏まえながら、DisplayHDRの効果を鴻池賢三氏がレビューした。



AVでは当たり前になりつつあるHDR、PCモニターにも浸透中

オーディオビジュアルの分野では、明暗のコントラストが旧来のシステム(SDR:Standard Dynamic Range)に比べて格段に広く、ダイナミックな高画質映像が楽しめる「HDR」(High Dynamic Range)が注目を集めている。

その理由について、一般的に「高画質=高解像度」と考えられがちだが、本質を突き詰めると「高画質=高コントラスト」だからだ。例えば、夜空に燦然と瞬く星の煌めきや、夜景に浮ぶ街灯りといった光景は、誰もが美しく感じる場面の典型で、「コントラスト」の重要性をご理解いただけるだろう。

また映像システムにおいては長らく、ブラウン管が表示できる輝度の限界より、映像の最も明るい部分を中心に明暗差を圧縮(=SDR)していたことから、太陽の輝きと、太陽に照らしだされる部分の輝度が同じになってしまうなど、リアリティーを大きくスポイルしてしまっていたのも事実。超高輝度かつ高コントラスト表示が可能になったLED液晶モニターが主流の今、HDR化は自然な流れともいえる。

このように映像体験を底上げするHDRは、PC界でも広がっている。中でも注目したいのは、業界世界標準を策定する「VESA」(Video Electronics Standards Association)の規格「DisplayHDR」と、対応モニター製品の登場である。

今回は、今後急速に広がるであろうDisplayHDRの概要を整理しつつ、LGが発売するDisplayHDRの対応モニター「32UL950-W」と「27UL850-W」を実際に視聴し、画質面におけるユーザーメリットを探った。

「DisplayHDR」とはどのような規格?

VESAのDisplayHDR規格は、表示性能を中心に、PCモニターに必要な要件を定めたもの。つまり、単に信号としてHDR映像を受け取れるというレベルではなく、DisplayHDR規格を満たして認証された「DisplayHDR」ロゴ入り製品を入手すると、ユーザーはHDRが持つ豊かな表現力を確実に体感できるという、いわば「安心マーク」だ。

オーディオビジュアル業界で言うならば、「HDR 10」規格のような伝送規格ではなく、4K HDR映像の高品位な体感を保証する「Ultra HDプレミアム」と考えると理解しやすいだろう。逆に言えば、素晴らしい性能を備えつつ「DisplayHDR」ロゴを掲示しないモニター製品もあり得る。端的には、PCモニターで一定の高品位なHDRを保証するのがDisplayHDRと考えれば良いだろう。ちなみに「DisplayHDR」は、HDR映像フォーマットとして「HDR 10」対応を必須としている。

DisplayHDRには、主に最大輝度を括りに、いくつかのグレードが用意されている。現状規定されている中で主だったものは「DisplayHDR 1000」「DisplayHDR 600」「DisplayHDR 400」の3種類で、それぞれの数値が最大ピーク輝度(cd/m2数)を示すほか、黒の輝度は全グレードで0.1cd/m2以下、色域は「DisplayHDR 1000」「DisplayHDR 600」がBT.709 99%/DCI-P3 90%以上、「DisplayHDR 400」はBT.709 95%以上と規定している。

条件次第では「テレビ以上」の画質を発揮

前のページ 1 2 3 次のページ

関連記事