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ロングセラー機「W1070+」から進化

“売れる”要素をバランスよく搭載! BenQ「HT3550」は4K/HDRプロジェクターの新トレンドなるか?

公開日 2019/05/17 06:00 海上 忍
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HDR対応の効果が特にわかりやすかったタイトルは、『PAN ネバーランド 夢のはじまり』だ。空中を浮遊する水泡の間を海賊船が飛ぶシーンは、かなりの高輝度情報が含まれているためにSDR環境では雲の部分が白とびしてしまい、太陽の周囲のようにHDR環境でも描画は難しい部分もあるが、HT3550は破綻なく見せてくれただけでなく、奥行きを覚えるほどの自然さがあった。2,000ルーメンという輝度の高さを活かした、明るい部分に冴えを感じさせる描画力は、このHT3550というプロジェクターが持つ魅力のひとつだろう。

映像モードはプリセットで「Bright」「Vivid TV」「Cinema」「D.Cinema」、および「User」が用意される

『マッドマックス 怒りのデスロード』は、砂漠を金属感むき出しの改造車が疾走するチャプター3(このチャプターに限らないが)を選択。ギラつく陽光と青い空とのコントラストもさることながら、砂や岩の4Kらしい解像感・エッジ感、そして質感と色合いが印象に残る。

色再現性にこだわるBenQだけに、画質調整も細かな部分まで追い込める

ここで気付いたのが、HT3550に内蔵のスピーカー。本体には出力5Wのチャンバー型スピーカー2基が内蔵されているが、これが予想以上に聴かせてくれるのだ。採用されたサウンドエンハンス技術「Cinema Master Audio+2」には、5種のプリセット(標準/シネマ/ゲーム/ミュージック/スポーツ)とユーザーモードが用意されており、視聴にはシネマを選択したが、爆発音・衝撃音は迫力十分、100インチの映像に負けていない。HT3550は重量4.2kgと4K/HDRプロジェクターとしては軽量で、部屋間の移動にも余裕で耐えられる機動力を持つが、そのときの強力なアシスト役となるはずだ。

東京オリンピックを意識しホームシアター市場に力を入れるBenQだが、その次なるターゲットは「4K/HDR」。本機HT3550は、20万円を切るというチャレンジングなプライシングもさることながら、2018年に発売された4Kモデル「HT2550」からの着実な進化を感じさせる描画性能と細部の作り込みが印象に残った。

HT3550の真骨頂は、やはり「コントラストの高さ」と「発色の自然さ」ということになるだろうか。30,000:1というコントラスト比ゆえか、暗部階調もしっかり出しつつ明るい部分は明るく、鮮やかに描画されていた。

DLP特有のカラーブレーキング現象がほとんど気にならなかった点にも感心した。筆者の眼はこの現象にセンシティブなようで、DLPプロジェクターの長時間視聴は気が散ってしまいがちなのだが、意図して眼球を大きく動かさないかぎりはカラーブレーキングを感じなかった。

4K/HDR対応でコントラストが高く、6畳間に設置できるほどの短焦点で、レンズシフトと台形補正機能があり、しっかりとした音のスピーカーを内蔵、しかも価格は20万円以下。かつてW1070+で “フルHDで10万円以下” というトレンドを創出したように、このHT3550でも “4K/HDRで20万円以下” という波を創り出せるのか。その可能性は多いにあるといえそうだ。

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