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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域:第228回

完全ワイヤレス“じゃない”アイテムが充実!平成最後の「ヘッドフォン祭」超個人的ランキング

2019/05/10 高橋 敦
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【第1位】ヘッドフォン、その異形と正統

ヘッドフォン祭は実験精神を歓迎する場でもある。その観点から言うと、エミライがこれまた「取り扱い検討中」として出展してきたRAAL requisite「SR1a」は、ヘッドフォン祭にふさわしすぎるアイテムだ。

なんかかっこいい物体

このカーボンファイバー製バッフルは、まさにバッフルとして音響的なパーティションのような役割をしている……らしい


ヘッドバンド?の長さはこの二箇所のピンの留め変えによる二段階のみ!

しかし最大のポイントはこのドライバー!

その概要を列挙すると、
「リボンドライバー搭載!」
「完全すぎるオープンエアー構造!」
「駆動には変換ボックスを介してスピーカー用アンプを流用!」

…変態だ!変態が来たよ!

だがこのヘッドホンの恐ろしさは、その音を聴いてしまうともう変態でも良いのではないか……と思えてしまうところだ。騒がしい会場で完全オープン型を聴けば、もちろん周りの音も普通に入り込んでくるのだが、素晴らしすぎる音に意識を強く引き込まれ、周りの騒がしさはあまり気にならなくなる! それほどのレベル! これ静かな環境で聴いたらヤバイのでは……

またこちら、頭を左右から挟み込む側圧での固定は採っておらず、ヘッドバンドを頭の上に乗せて、そこを支えに主には全体の適度な重みとバランスで装着ポジションを維持するような仕組みを採用。もちろん多少動いても問題ない程度の安定感は確保してあるが、それでも気分としては、椅子に座ってこれを装着したら、背筋を伸ばした不動の姿勢に自然となってしまう。音楽への向き合い方、その真剣度を矯正(物理)してくれるリスニングアイテムにもなりそうだ。

その尖ったヘッドホンの対極として、正統派ヘッドホンシステムの正統進化版も紹介しておこう。STAX「SR-L700 MK2」「SR-L500 MK2」だ。こっちも静電式だし尖ってるといえば尖っているのだが。

MK2なポイントとしてはハウジングとヘッドバンドをつなぐアームの素材が樹脂からアルミに変更され形状も変更され……

ケーブルが着脱式になりメンテナンス製が向上

MK2としての変更点は上記のような細かなところのみ。しかし元の完成度が高いからこそ、このちょっとしたアップデートの意味が大きい。

例えば音質面では低域再現に向上があるとのことだが、それは新設計アームの角度の付け方のおかげで、耳周りへの密着性が改善されたことによるという。つまりこれらのモデルには元からそのポテンシャルが秘められていたからこそ、ちょっとした変更でそれを引き出すことができたというわけだ。これぞ正統派アップデート!

【番外編】規格外……そして……

最後はいつものということで、今回のMusic with 規格外ブースで特に目を惹かれたのは自作のコンデンサー型ヘッドホン&イヤホン。

工事現場などで利用される防音具イヤーマフのガワに……

パンチング金属板から切り出した素材を核とした振動板を搭載


で、こちらのアンプで駆動

イヤホンはコンデンサーマイクから取り出したパーツを活用

ヘッドホンの方は主に東急ハンズ等の一般店で普通に買えるような材料で作られており、イヤホンの方はコンデンサーマイクから摘出したパーツが心臓部とのこと。The DIY!

そしてこの界隈の方々は当然、フォスター電機主催の「自作コンテスト」にも参戦を考えているという(フォスターの自作コンテスト詳細発表、プロ/アマ問わず“非一般向け”ドライバーでDIY)。

ルール無用の規格外がルールある戦いに参戦。その結果が発表されるという次回「秋のヘッドフォン祭」は、まさに戦いのワンダーランドか。フォスと共にあらんことを。

高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi
趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。


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