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自然かつワイドレンジなサウンドを実現

どんな美辞麗句も足りない、イヤホンの最高到達点! Meze Audio「RAI PENTA」レビュー

2019/04/25 高橋 敦
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たとえば、ジミ・ヘンドリックス「Little Wing」のような現代的な録音ではない音源の、ワイドレンジな楽器ではないエレクトリックギターだけに耳を傾けても、その力を存分に感じられる。アタックと芯にはパキッと硬質な艶やかさがありつつ、そこからの伸び、ロータリースピーカーによる音の揺らぎは実にしなやか。そもそもそういう音色で演奏されているのだろうが、ここまで美しく再現できるイヤホンは滅多にない。

ここぞという瞬間に入ってくるドラムスのフィルインの太さと素直な抜け、豊かな響き、背景に残るテープのヒスノイズの心地よさなども、全く文句なしの素晴らしさだ。

ミドルレンジの充実したナチュラル&ワイドなサウンド。心地よく自然ながら高度なクオリティを実現

では現代的な録音、サウンドに対してはどうなのかというと、そちらも素晴らしい。Robert Glasper Experiment「Human」のディープに沈み込むベースは、深い低域もしっかり感じさせつつ、その少し上の帯域での太さや厚みの方に重心を置く描写。しかしボーカルと重なってしまうような帯域までは重心を上げず、音像を膨らませすぎることもなく、適度な抑制もある。なのでベースの充実とボーカルの存在感が見事に両立されている。

高域から超高域にかけての鋭さを強調しないので、シンバルやスネアドラムのザシュッというような荒さ、暴れの濁点成分は落ち着かせる傾向だ。対して背景を彩るシンセ、ストリングス系の音色の広がりやその美しい滲み感はさらに際立つ。なのでこの曲に含まれる多様なサウンド要素のうち、ヒップホップ的なところは少し抑え気味になり、メロウでソウルフルな雰囲気が前に出てくる印象だ。筆者としては好ましく感じる。



このサウンドはもちろん、Rai Pentaに投入された前述のような様々な技術によって成立しているのだろう。しかしこのブランドの真価は、彼らが目指す音、その美しさにあるのだと思う。だからこそ、彼らのイヤホンやヘッドホンはエントリークラスの製品であっても、その美しいサウンドを備えている。

その上で、現時点での最高到達点のひとつがRai Pentaなのだ。Meze Audioのサウンドとは?それを体感するためにもぜひ一度聴いてみてほしい。

(高橋 敦)

試聴機設置店舗
e☆イヤホン秋葉原店・大阪日本橋店/フジヤエービック中野店

取扱店舗
Amazon.co.jp/e☆イヤホン各店/フジヤエービック

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