2倍の駆動力を実現する“パラレルBTL”も試した

大ヒット機が “正常進化” 超えた飛躍、 マランツの手頃・小型な本格オーディオ「M-CR612」レビュー

土方久明

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2019年04月24日
B&W「707 S2」を通常→パラレルBLT→バイアンプの順でテスト

次にスピーカーのグレードをもう少しあげて、B&W「707 S2」と組みわせた。まずアンプ駆動モード「スタンダード」で、USBメモリー内に保存した洋楽ポップス、チャーリー・プースの『Voicenotes』を聴く。本アルバムは、強力なベースが入っておりアンプの駆動力を確認するにはもってこいのタイトルだが、かなりのレベルでスピーカーを駆動しているように聴こえる。ベースのリアリティ、低域レンジの伸びの両方に優れ、押し出しの良い音が聴こえてくる。

B&W「707 S2」で試聴を行う土方氏

B&W「707 S2」で試聴を実施

そして次にアンプ駆動モードを「パラレルBTL」にして試聴したのだが、まず音像のリアリティが一変する。彫刻のように鋭い音像を伴いながら躍動感強く音楽を表現する。やはり、もっとも効果を感じるのは低域表現で、ベースが力強くなるのに、キレも増すという、よりオーディオファイルが好ましいと感じる音に変化する。総じて先ほどDALIで感じた以上の音質向上効果を感じたが、これは707 S2が備えるスピーカーとしての基本性能がより高く、パラレルBTLモードの音質的なアドバンテージをより表現したのだと推測できる。それにしても60Wという出力は変わらないのに、この駆動力向上は素晴らしいの一言だ。

さらに、707 S2は高域用と低域用にそれぞれ1組ずつスピーカー端子を備えているので、アンプモードを「バイアンプ」にしてバイアンプ駆動を試した。一聴してボーカルとバックミュージックのセパレーションが良好で、ボーカルの口元が小さくなった。いかにもユニットを正確に駆動しているような立ち上がりと立ち下がりの良い音である。

707 S2は4つの端子を搭載しているのでバイアンプ接続に対応する

躍動感を感じるパラレルBTLも素晴らしいが、バイワイヤリング対応の707 S2の場合、その仕様からしてバイアンプ駆動のほうが優位とは言えそうだ。しかし、バイアンプはスピーカーケーブル2組みを用いる必要がある。バイワイヤ対応スピーカーを使っているユーザーにとっても、ケーブル1組のシンプルな接続でバイアンプに匹敵する音を聴かせてくれるパラレルBTLを選ぶ意義があるはずだ。


ディナウディオ「The Special Forty」でも試聴を実施

2機種のスピーカーをしっかりと駆動できたことに気を良くした筆者は、筆者宅の2F試聴室のリファレンススピーカー、ディナウディオ「Special Forty」(ペア45万円、シングルワイヤ仕様)をM-CR612で馴らすことも試してみた。ネットワーク再生で試聴した楽曲は、高音質レーベルのチャンネル・クラシックスからDSD楽曲ファイルで、オランダ王立海軍軍楽隊が演じるオーケストラ「Rimsky & Co Originals」(5.6MHz DSD)。ある程度の駆動力が要求される本スピーカーでは「さすがにしんどいかな」と予想したのだが、結論から書くと、その音は、価格を考えると拍手を送りたくなるものだった。

ディナウディオ「The Special Forty」で試聴を行う土方氏

ディナウディオ「The Special Forty」で試聴を実施

ノーマルモードではコントラバスをはじめとする低域の制動力がもう少し欲しいかなとも感じたが、パラレル BTLモードに変えた途端、全帯域の滲みが減少。本機の音色的な良さである適度な明るさと艶の良い音色が鳴り、かなり満足度の高いサウンドだった。スケール感のある音で楽器が同時に鳴っているときの描き分けにも長けており、サウンドステージに奥行きもある。つまりM-CR612は駆動力が要求されるスピーカーであっても、しっかりと鳴らすことができたのだ。価格を考えるとこれは凄いと思う。そして、最後はSpotify Connectでクイーンの「ボヘミアン・ラブソティ」を聴き、試聴は満足に終了した。

正常進化という枠を超えたレベル

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