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約6.5万円でフォノイコ内蔵、カートリッジも付属する充実ぶり

ティアックのレコードプレーヤー「TN-4D」を聴く。約6.5万円でサエクコラボのアームも備えた意欲作

公開日 2019/04/04 06:15 小原由夫
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中域を軸として整った音。ヴォーカルも充実

操作系は非常にシンプルで、起動スイッチを兼ねた回転数切り替えのみ。アームの昇降はマニュアル式である。ダストカバーも付属するが、場合によってはハウリングを誘発することもあるので、再生中は外しておくことをお薦めする。またティアックでは和紙製のターンテーブルシートも別売しているので、フェルトマットからの音質チューニングを試してみてもいいだろう。針圧やアンチスケーティングの調整は、ひとまずマニュアルの指示どおりに設定しておきたい。

フォノイコはTHRU/ONを背面スイッチで切り替え可能。またデジタルアーカイヴ用のUSB端子も搭載

トーンバランスは帯域を欲張らず、中域を軸とした整ったものだ。ヴォーカル帯域の充実が、TN‐4DとSUMIKO/OYSTERのコンビネーションの魅力といってもよいかもしれない。素直で柔らかく、しっとりとした質感の声を聴かせてくれる。

ジャズのコンボ演奏では、サエクのトーンアームらしさが出た。繊細で反応のよい高域が、シンバルレガートのシャープな質感を明瞭に再現。リズムセクションの繰り出すビートにも機敏さが感じられ、とても気持ちがよい。ソロとアンサンブルの対比もくっきり表出する。

ここまでの試聴は外部のハイエンドクラスのフォノイコライザーアンプを用いたが、内蔵フォノイコライザー回路では、さすがに分解能では差が出たものの、中低域のエネルギーがより濃密に感じられ、まずはここからスタートしても十分にアナログオーディオの魅力が実感できると感じた次第である。

(小原由夫)

<Specification>
【ターンテーブル部】●駆動方式:ダイレクトドライブ●モーター:ブラシレスDCモーター●回転数:33 1/3回転、45回転●ワウ・フラッター:0.1%●S/N比:67dB以上 (A-weighted、20kHz LPF)●材質:アルミ・ダイキャスト製●サイズ:直径30cm【トーンアーム部】●形式:スタティックバランス型S字トーンアーム●実効アーム長:223mm●針圧可変範囲:0g〜5.0g●適用カートリッジ質量:4.0g〜13.0g、14g〜23g(付属ヘッドシェルを含む)

【カートリッジ部】●SUMIKO製MM型ステレオカートリッジOyster付属●形式:MM型●出力電圧:4.0mV (1kHz)●針圧:1.5〜2.5g(2.3g標準)●質量:5.3g●付属ヘッドシェル質量:10g(ネジ、ナット、ワイヤー含む)
【アナログ出力】●端子:RCAピンジャック(フォノ/ライン切替式)●出力電圧:4.0mV (1kHz)フォノ出力時、224mV(-13dBV)ライン出力時

【USB出力部】●端子:USB B(5V 100mAのUSBバスパワーが必要)●出力信号:PCM、8k/11.025k/16k/22.5k/32k/44.1k/48kHz、16bit●電源:AC 100〜240V、50/60Hz●消費電力:2W(スタンバイ時0.5W以下)●サイズ:420W×117H×356Dmm(突起部含む)●質量:約6.1kg●取り扱い:ティアック(株)



本記事は「analog Vol.63」からの転載です。本誌の詳細および購入はこちらから。

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