Pro IEMシリーズのイヤホン

Fender「NINE 1/NINE」レビュー。巧みな音作りを手頃な価格で楽しめる、新IEMのエントリー機

草野晃輔

前のページ 1 2 3 次のページ

2018年12月30日
エレキギターやギターアンプを手掛けるFender(フェンダー)。音楽好きなら知らない人はいないほどの名門楽器メーカーだ。そんな同社から、新しいプロフェショナル向けIEM(インイヤーモニター)の“Pro IEM”シリーズが登場した。今回はラインナップされている5機種から、より手頃な価格のミドルロー&エントリーモデル「NINE 1」と「NINE」をレビューする。

NINE 1(予想実売価格36,280円前後、左)とNINE(予想実売価格14,280円前後、右)

フェンダーのIEMラインナップが刷新

楽器メーカーとしては70年以上の歴史を誇るFenderだが、本格的にオーディオを手掛けるようになってからまだ3年ほどしか経っていない。2015年、独創的なIEMを手掛けていたAurisonics(オーリソニックス)をFenderが買収。翌2016年春、Aurisonicsの技術力とFenderのエッセンスを融合し、ブランド初のIEMとして「FXAシリーズ」4機種と「DXA1」の計5モデルを発売する。

音楽を知り尽くした同社の巧みな音作りは、瞬く間にオーディオファンの心を掴んだ。人気が衰えることはなかったが、Fenderはさらなる進化を選択。2年余りを経てこれらをリニューアルし、新たにPro IEMシリーズを生み出した。

Pro IEMシリーズは全5モデル構成。全機種が米国テネシー州ナッシュビルの「Fender AUDIO DESIGN LAB」で設計されている。

上位3機種は、大きく2つの特長がある。ひとつは、ハウジングに「3Dプリント・デジタル・ハイブリッド・テクノロジー」が採用されていること。同社では年代や性別、人種を問わず約1万2千件におよぶインプレッションデータを収集、研究。誰の耳にもフィットしやすい形状を導き、設計に反映している。その絶妙なラインは3Dプリンターでなければ造形できないそうだ。これにより、ユニバーサルタイプながら、カスタムIEMのようなフィット感を実現するという。

そしてもうひとつが、高密度マグネシウム&チタン合金製ダイヤフラム採用のダイナミックドライバーと、独自に最適化したハウジングを備えるHDBA(HYBRID DYNAMIC BALANCED ARMATURE)ドライバーをハイブリッドで搭載することだ。

「THIRTEEN 6」

「TEN 5」

シリーズ最上位は、φ13.5mmダイナミック+HDBA 6基を採用した「THIRTEEN 6」(オープン価格、予想実売価格263,980円前後。以下の表記価格はオープン価格)。以降、φ10mmダイナミック+HDBA 5基を組み合わせた「TEN 5」(164,980円前後)、φ10mmダイナミック+HDBA 3基の「TEN3」(109,980円前後)が続く。

「TEN3」


BA+ダイナミックのハイブリッド型「NINE 1」

今回取り上げるNINE 1とNINEは、上記モデルに続く、ミドルローからエントリー向けの位置づけとなる。いずれも3Dプリンティングによるボディや新型ダイナミックドライバーの搭載は見送られているが、その分価格を抑えながら、Fender新世代のサウンドを実現したモデルといえる。

NINE 1は、φ9.25mmダイナミックドライバーと1基のHDBAドライバーを組み合わせたハイブリッドイヤホンだ。再生周波数帯域は10Hz〜21kHzで、ハイブリッド構成により「豊かな低域再生を可能にする」とその特徴を同社は説明する。その他のスペックは、インピーダンスが16Ω(1kHz)、感度は111dB(1mW)だ。価格は36,280円前後、カラーリングはBlack Metallic(ロゴが白文字)とGun Metal Blueの2種類を用意する。

「NINE」(Olympic Pearl)

ハウジングは上位機よりもコンパクト。ボディの側面にFenderブランドの象徴である「F」のロゴマークが大きく描かれており、音楽ファンの気持ちを高揚させる魅力に溢れている。

リケーブルにも対応する。端子は前モデルのMMCXから独自コネクター「Talon」(2pin)に変更された。一般的なカスタム2pinと共用可能だが、接続端子の金属部が長いためがっちり固定できる。また、端子の根本部に切り欠きがあり、挿す向きを間違えにくい。なお、Talon端子はPro IEMシリーズ共通となり、5モデル全てに使われている。

ダイナミック型ドライバーを1基搭載のエントリー機「NINE」

前のページ 1 2 3 次のページ

関連記事