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HSE技術を投入した最新モデル

アクセサリー銘機賞で特別大賞受賞。ティグロン「HSEシリーズ」ケーブルの実力を6人の評論家が分析

公開日 2018/12/17 14:30 林 正儀 ほか6名
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ティグロンのケーブルは、アメリカGE社が開発したディップフォーミング方式で製造された無酸素銅(DF-OFC)を導体に採用。シールド層には最新の第三世代マグネシウムシールドを投入し完成の域に達したかに見えた。しかしながらその先にはさらなる進化があった。海外製の音質改善装置「HSE-1」を導入したことで、同社のケーブルのほぼ全ラインアップがHSE化されることとなった。その効果は革新的といえるもので、「オーディオアクセサリー銘機賞2019」では見事に「特別大賞」を受賞している。はたしてその実力はいかなるものか?林 正儀氏を始めとした6人の審査委員と角田郁雄氏がその魅力をたっぷりと語っている。




Profile 現在、TIGLONのケーブルはほぼすべてがHSE Seriesへと進化を果たしている。上記写真左は、ティグロンと欧米、アジアのケーブル技術者集団が共同開発した装置「HSE(HyperSaturated Energizer/ハイパー・サチュレーテッド・エナジャイザー)」。ケーブルは、電源ケーブル「MGL-DF10-HSE」(¥87,000/1.2m)とRCAインターコネクトケーブル「MS-DF12-HSE」(¥40,000/1mペア)


ティグロンケーブルの歴史
ディップフォーミングの濃くて深い再現とマグネシウムの静寂さ


Text by 林 正儀
ティグロンのケーブルといえば、世界的な特許を持つ「マグネシウムシールド」と、米GE社にルーツを持つ旧素材系のディップフォーミングOFC(DF-OFC)の2本柱だが、そこに新しく「HSE処理」が加わり、強力な3本柱となった。

この10年の進化はご存じのとおりだ。マグネシウムシールドも世代をかけて進化(現在は第3世代)。素材も意欲的に研究し、一時はHi-FCを採用したこともあったが(現在はR10とX10のみ)、ビンテージギターにヒントを得たディップフォーミングの味わい感にのめり込む。このアナログ的な濃くて深い、ジャズのグルーブ感などもぐいぐい出してくるようなサウンドの線材に、高い静寂性と解像度のマグネシウムシールドをかけるとどうなるのか……。思い込むと止まらないのが同社の代表である沖野さんだ。

ディップフォーミング・シリーズはわが家に何モデルか導入しているが、明晰なディテールと特に弱音域の滑らかな静けさが際立っていた。倍音成分がたっぷりと豊富で、包み込む感じも気持ちよくナチュラルだ。と同時に、出る音は出る。ピークは硬質だがエネルギッシュで、タフさのあるケーブルだ。強音での混濁がなく、フォルテピアノの立ちあがりやボディ感のしっかりとした手ごたえに満足しているし、オーケストラは大音量でダイナミズムが広がった。

HSEシリーズの誕生
単なるバーンインではないケーブルごとに最適な処理

ここからが本論である。バーンインは以前から研究していたそうだ。「HSE」のもとになるマシン(海外の友人が所有)で処理したケーブルの音が驚くほどよい状態のまま数年間も持続。処理に要する時間も短くて実用的だそうで、それに触発され、海外大手ケーブルメーカーとのコラボで開発、完成に至ったのがバーンインマシーン「HSE-1」である。HSEは “ハイパー・サチュレーテッド・エナジャイザー” の略だそうで、ケーブル導体を電流飽和させ、活性化させる仕組みと聞いた。

詳細は非公開だが、世にあるバーンインCDや処理機を含め、発生させる周波数やレベル、時間などさまざまな処理パターンを研究したようだ。ケーブルごとに異なるプログラムでストレスをほぐし、最適な処理ができるわけだ。単なるバーンイン処理ではない。

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