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デノン「D-T1」レビュー。音楽好きにこそお薦めしたいCD/Bluetooth対応ミニコンポ

公開日 2018/12/04 06:00 折原一也
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クラシックはどうだろうか。カラヤン指揮の『ヴィヴァルディ 四季〜春 第1楽章:アレグロ』を聴くと、オーケストラの楽音の重なりも高い解像感で丁寧に描き出してくれる。弦楽器の音色のみずみずしさや、ステージを見渡せる音場感とクリアネスまで再現するなど、クラシックとは特に抜群の相性の良さを感じた。入門クラスでこうした音調を備えているというのは貴重だろう。

CDドライブはスロットイン式となっている


Bluetooth再生でも演出感のないタイトな音楽が楽しめる

Bluetoothによるワイヤレスリスニングは、iPhoneから現代のポップスを再生して確認した。なお、スマホとのペアリングは本機付属のリモコンからボタンの長押しのみで行え、直感的に操作できるはずだ。

宇多田ヒカルの「あなた」を聴くと、ボーカルがセンターに精緻に定位。ムーディーな質感と立体的なイメージで歌声を描き出す。ややウェットな低音もよく沈み込んで好印象だ。今回はスピーカーをスタンドに設置するなどセッティングも本格的に行ったこともあるが、このクラスからは想像できない立体的な空間再現も楽しめた。

Bruno Mars「24K Magic」では、音像が心地良く前方に張り出し、欲張りすぎずも物足りなさはない適度な低音の力感、そしてタイトな躍動感で音楽を鳴らす。音の消え入り際までクリアでスピーディー。演出感がなく、ストレートに音源の情報を引き出す音質傾向も、この価格帯では希有な存在かもしれない。



デノンの新しい入門クラス・ミニコンポとして登場した「D-T1」だが、予想を超えて、デノンのHi-Fiコンポーネントとしての音調を継承している。ジャズやクラシックをじっくり聴き込む音楽ファンにとっては、他にない選択肢となるのではないか。

(折原一也)

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