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注目製品に秘められた可能性を探る

音楽評論家、高橋健太郎氏が「xDSD」をレポート ― ストリーミングからハイレゾ、ワイヤレスまで徹底検証

公開日 2018/06/22 14:55 高橋健太郎
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Bluetooth接続から読み取れる本機の性能

Apple MusicやSpotifyは有料サービスの場合、最大320kbpsとされているが、モバイル環境では実際には200kbps前後のことが多そうだ。対して、Deezer HiFiは可逆圧縮のFLACで16bit/44.1kHzのCD音質を実現しているとされる。しかし、iPhoneとxDSDの間のBluetooth接続はAACだから、そこでも320kbpsが上限となってしまう。OTOTOYアプリでハイレゾ・プレイバックを利用すれば、iPhone上で24bit/48kHzのハイレゾ再生が可能になるが、Bluetooth接続の通信速度については同様だ。ということは、Deezer HiFiやOTOTOYアプリを使っても、音質上のメリットはそれほどないのかもしれない。

そこでiPhoneとBluetooth接続したxDSDで、同じタイトルを比較試聴してみた。ヘッドホンには外出用のお気に入りであるBoseのQuiet Comfort25を使用。ブラッド・メルドー・トリオの最新作『Seymour Reads the Constitution!』をまずはApple MusicとDeezer HiFiで聴き比べてみると、音は歴然とした差がある。圧倒的にDeezer HiFiの方が良い。Bluetooth環境が320kbpsを上限としていても、元のストリーミング品質の差は如実に現れるということだろう。

ブラッド・メルドー・トリオ『Seymour Reads the Constitution!』

では、OTOTOYアプリで『Seymour Reads the Constitution!』をハイレゾ・プレイバックしてみるとどうだろうか? Deezer HiFiと比較すると、これはOTOTOYアプリからの再生の方が音が良い。ピアノの微細なタッチや全体の空気感が向上する。途中に320kbpsを上限とするBluetooth接続があっても、やはり24bit/48kHzのハイレゾ再生は効いてくるのだ。Quiet Comfort25で聴いても、xDSDのサウンドは端正な印象で、すっきりとした聴きやすさもある。これならば外出時に十分に楽しめる。

Bose Quiet Comfort25

おもしろくなってきたので、さらにaptXによるBluetooth接続も試したくなった。iPhoneでは不可能だが、我が家に、ほかにBluetooth対応の再生機器はないか考えてみたところ、Astell&KernのAK380がファームウェア・アップデートでaptX HDまで対応していた。ということは、AK380からBluetooth送信して、xDSDで受信する場合はaptXが使えることになる。

OTOTOY アプリ再生画面

AK380に『Seymour Reads the Constitution!』の24bit/88.2kHzのハイレゾ版をインストールして、xDSDとBluetooth接続。これを聴いてみると、やはり音は違う。iPhoneとAK380ではそもそもの再生品質に大きな差があるはずだから、どこまでがaptXのアドヴァンテージなのかは判断できないが、これまた明らかに音が良くなる。

こうやって聴き比べてしまうと、もう最初のApple Musicに戻る気はしなくなってしまう。xDSDでの再生はBluetooth接続であっても、そのくらい各種ストリーミングの音質差を描き分けられるということだ。AACしか使えないiPhoneでも、xDSDならBluetooth接続を使ってみたくなった。AndroidユーザーならばaptXが使えるから、Bluetooth接続でもかなり音質を追い込めるのではないかとも思う。

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