70年代に人気を誇ったHPDシリーズが進化して復活

TANNOY「LEGACY」シリーズをレビュー。最新技術により進化して蘇った“銘機”

石原 俊

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2018年04月09日

外観こそHPDシリーズを踏襲しているものの、レガシーシリーズは断じて単純な復刻ではない。内容的には最先端的な部分すらあるのだ。同軸2ウェイのドライバーユニットはマグネットこそフェライトではあるものの、オリジナルよりもはるかに広帯域でパワーハンドリング特性に優れており、トップクラスの位相特性とポイントソース(点音源)による優れた音像表現力を有している。

レガシーシリーズの「デュアルコンセントリックドライバー」はトップクラスの位相特性とポイントソース(点音源)により優れた音像表現力を持つ

ウーファーコーンは空気乾熱によって最終処理するエア・ドライ・フェルティングを採用。分割振動を最小限に抑え、優れたトランジェント特性とパワーハンドリング特性を持つ。エッジはARDENがシングルロールラバーエッジ、EATONとCHEVIOTがツインロールハードエッジとなっており、素材はそれぞれのスピーカーの特性に合わせてセレクトされている。

トゥイーター部のテクノウェーブガイドは、ホーン内部の音の通り道(ウェーブガイド)をコンピューター解析に基づいて超精密成形し、正確な球面波を放射する。振動板面からホーンエッジまで等距離になるように設計され、高域の再生位相特性を格段に向上させている。ダイアフラムはナチュラルな音質で応答性に優れた軽量アルミ・マグネシウム合金で、LFとの繋がりも良く自然で豊かな音楽を再現する。

興味深いのはブレーシング(添木構造)だ。レガシーシリーズはHPDシリーズの外観を踏襲しているのでバッフルが薄く、いかにも共振しやすそうに見える。しかしながらブレーシングが非常にしっかりとしているので、共振は巧妙に低減・分散されている。これは最新鋭の音響解析ソフトウェアから導き出されたのだろう。

また、経年変化や酸化などによる接触不良や接触抵抗ロスを防ぐため、金メッキを施したネジとプレートにより確実にロックアップするレベルコントロールシステムを採用。エナジーはトゥイーターのレベルを±3dBで5段階に増減。ロールオフは5kHz以上の周波数を+2dB/octから-6dB/octの5段階のスロープで増減することができる。さらに3機種ともバイワイヤリング接続が可能なドイツWBT社製のスピーカー端子を採用。タンノイ独自のアース端子を加え、ドライバーシャーシとアンプとのアース接続が可能で、高周波ノイズの侵入を低減できる。

写真はEATONのレベルコントロールシステム部分

バイワイヤリング接続が可能なドイツWBT社製のスピーカー端子を採用。写真はARDEN

3モデルの音に触れる
EATONはハイスピードで切れ味良い表現、ARDENは弾力ある低音が魅力

試聴すると、EATONはキビキビとしたハイスピードで切れ味の良い表現が印象的だ。パワーをかなり入れても破綻することがなく、スタジオモニターのようにバリバリ鳴らすこともできる。小音量時の反応も鋭く、深夜にひっそりと聴くのにも良い。CHEVIOTの音はEATONの拡大バージョンといったところか。セッティングにもよるが、低音の沈み込みはこちらのほうが一枚上手といっていい。ただしキビキビ感ではEATONに軍配が上がる。

ARDENは他の2機種と低音のニュアンスがやや異なっていて、質感に弾力がある。これはウーファーのエッジがEATONとCHEVIOTはハードタイプであるのに対して、ARDENはラバーだからということもあるのだろう。

小ぶりなEATONは、最も多くの愛好家にオススメなスピーカーだ。バスレフダクトが上方にあるのでスピーカースタンドの影響を受けにくく、セッティングがしやすい。奥行きがないので場所も選ばないだろう。CHEVIOTとARDENはより高品質で、それなりの覚悟をもって導入すべきスピーカーといえる。実を取るなら前者、夢を追うなら後者といったところだろうか。いずれのモデルも、価格に比して高い性能を有している。

(石原 俊)


本記事はオーディオアクセサリー167号からの転載です。本誌の詳細および購入はこちらから。

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