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【特別企画】CNTやリキッドメタルなど新素材が結集

“質”にこだわったイヤホン − DUNU「Falcon-C 隼」をVGP審査員 2氏が徹底レビュー

公開日 2018/03/14 10:00 鴻池賢三、折原一也
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情報量志向で音の随所に素性の良さが現れている(折原一也)


ヘッドホンファンにはよく知られたDUNU-TOPSOUNDの、ダイナミックドライバー1基で高音質を追求するハイレゾ対応の新フラグシップ・イヤホンが「Falcon-C 隼」だ。CNT(カーボンナノチューブ)に9mm径の独自開発のダイナミックドライバー、リキッドメタルハウジングと新素材が結集している。そのサウンドをチェックしてみよう。

「Falcon-C 隼」はMMCXコネクタ採用でリケーブルにも対応

GRANBEATで視聴したインプレッションを語る前に、「Falcon-C 隼」には3種類のイヤーピースが付属するので、説明しておこう。パッケージの表記によると「Tranparent gray tips」(半透明グレー)、「Blue-tube tips」(ブルーチューブ)、「SpinFit」(スピンフィット)の3種類となるが、実際に音質を聴き込んだ試聴した上で、僕が「これぞスタンダード」と選んのが「Blue-tube tips」だ。

イヤーピースは3種類を付属。上から「SpinFit」、「Blue-tube tips」、「Tranparent gray tips」
 
ハイレゾ音源による定番の試聴曲として『ラ・ラ・ランド オリジナルサウンドトラック』より「アナザー・デイ・オブ・サン」のジャズナンバーのリスニングを始めると、基本は情報量志向のフラット傾向をベースとしつつ、低音の音圧感を持たせている。特にウッドベースは量感があると同時に、弦の響きの動きまで見通せる稀有なタイプ。空間の中の立体的なセパレーション、付帯音を残さない微細音の特性、見通しの良いコーラスなど素性の良さが現れている。
 
RADWIMPSの「前前前世(movie ver)」を聴く。冒頭から始まるエレキギターを、アタック感は持たせつつもエッジのキツさを出さず、情報量でエッジを出すタイプ。男性ボーカルも立ち上がりはクリアだが、ミッドのギターと男性ボーカルの粒立ちは同格。ただしエレキギターのミッドハイは押し出しが強いので、これは好みだが、ロックはボリュームを少し控えめにするのも良いだろう。
 
MarkRonsonの「Uptown Funk feat.Bruno Mars」を聴いてみても、ハンドクラップの立ち上がりの急峻さとリズムの刻みの正確さ、男性ボーカルの声の安定感は一級品。付帯音は乗らないタイプだが、音源に含まれる空間の広がりと見通しは空気感と共に良く再現する。
 
音楽配信でBruno Marsの「Just the Way you Are」を聴いても、低音の鈍い響き、ボーカルの情報量と空間再現を発揮する。ただ、あえて言えば「Falcon-C 隼」の持つクオリティに対して、圧縮された配信音源ではハッキリと不足を感じる。

先に述べた通り「Falcon-C 隼」は付属イヤーピース次第で大きくサウンドチューンも変わる。イヤーピースを「SpinFit」に切り替えたサウンドバランスは、実に渋い。情報量はストレートにあるが、声の立ち上がりの急峻さ、ダイナミックさを意識にのぼらせない、プロフェッショナル用のイヤホン・ヘッドホンを彷彿とさせる。

「アナザー・デイ・オブ・サン」を聴くと、音源に含まれる音を密集したままに、情報量のみを頼りにボーカルも出し切るが、美音と呼ぶほどには媚びない。低音の量感は控えめだが、適度に音圧感を持たせて聴きどころを増している。MarkRonsonの「Uptown Funk feat.Bruno Mars」も、ハンドクラップは平坦な鳴りだが低音のアタックは適度。フラット型のなかでも特に情報量を均等かつ、正確に、タイトに、弾みよく引き出す。
 
一方で「Tranparent gray tips」はボーカルの粒立ち、立ち上がりのアタックを追求したサウンド。RADWIMPSの「前前前世(movie ver)」は特にハイレゾ直系のドンシャリ系サウンドとなり、メリハリを持って楽しめる。あえて「アナザー・デイ・オブ・サン」を聴いてもメロディアスなチューンとして聴けるし、アタックが強い一方で情報量も維持と、やはりイヤホンの素性の良さが表れる。

「Falcon-C 隼」のサウンドをチェックするにあたって、今回は付属イヤーチップのみ交換したが、MMCXによるリケーブル対応で、ケーブル交換によるバランス入力にも対応する。フラットで情報量志向の特性を基本として、好みの音を追求するベースイヤホンとしても面白い存在だ。

(特別企画 協力:サウンドアース)

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