【特別企画】CNTやリキッドメタルなど新素材が結集

“質”にこだわったイヤホン − DUNU「Falcon-C 隼」をVGP審査員 2氏が徹底レビュー

鴻池賢三、折原一也

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2018年03月14日
台湾DUNU-TOPSOUNDは高いクオリティ優れたデザイン、そしてコストパフォーマンスの良さを実現することを目標に製品の企画・開発を行うブランドだ。その理念を体現した最新フラグシップモデル「Falcon-C 隼」は、イベントで初披露されたころから注目を集めてきた。その実力を、VGP審査員である鴻池賢三、折原一也の両氏がレビューする。


ハイレゾ時代のハイエンドイヤホンに、また新たなキャラクターが登場した(鴻池賢三)


DUNU-TOPSOUNDは、オーディオ機器で豊富なOEM/ODM供給実績を持つ台湾TopSoundElectronicsのイヤホンブランド。長年培ってきた音響設計や製造ノウハウをベースに、自社が目指す音を具現化してきた。

「Falcon-C 隼」は、ハイレゾロゴを掲げる同ブランドの新フラグシップモデル。独自開発の振動板を採用するダイナミックドライバー型で、リキッドメタルの筐体およびMMCX端子による着脱式ケーブルなど、ハイエンドモデルの最新トレンドを網羅している。充実した内容ながら、比較的手頃な価格も魅力で、注目に値する新製品だ。

基本的な構造はダイナミックドライバー採用のカナル型イヤホンだが、独自開発の振動板を採用しているのがポイント。直径9mmの振動板にはCNT(カーボンナノチューブ)素材を利用しているが、一般にCNTはアルミやチタンなどの金属に比べても高硬度かつ内部損失が高く、スピーカー業界では話題の最先端素材。オーディオ性能としては、超高解像度で不要な響きを伴わないのがアドバンテージで、理想的な素材と考えられている。素材の使いこなしを含め、最終的な音質にどのように反映されるかが聴きどころと言える。

振動板にはCNT(カーボンナノチューブ)素材を採用

筐体は、近年のハイエンドイヤホンで採用ケースが多いリキッドメタル製なのも特徴。リキッドメタルとは直訳すれば「液体金属」だが、実のところMetalic Grassとも呼ばれ、ガラスの性質を備えた金属と考えると理解しやすいだろう。成型が比較的容易な性質は、音質やフィット感を考慮した形状を実現しやすい。また強固でありながら軽量という特性は、音質面にプラスに働くことが多く、CNTを使用した振動板との相乗効果で、どのような音を聴かせてくれるのか楽しみだ。

ハウジングはリキッドメタル製

ケーブルはMMCXコネクタによる着脱機能を備え、付属のケーブルは6N OCCにシルバーコーティングを施したハイグレード品をツイスト。ほか、金属製のキャリングケース、4サイズのSpinFitを含む豊富なイヤーチップが付属するなど、盛りだくさんだ。

ケーブルはシルバーコーティング仕上げの6N OCC

手に取ると、見た目ほどの重量感は無く、リキッドメタルの採用は、金属ブロックを削り出した製品より軽量に感じるのもメリットと言えそうだ。もちろん装着時も負担がなく、また巧みな形状で耳穴にピタッと収まる快適な装着感も嬉しい。このあたり、ブランドとしては新しくても、長年イヤホンの製造に関わってきた同社の経験の深さを感じる。

ダイナミック型だがCNTやリキッドメタルの特徴を活かした繊細さも併せ持つ

音質はA&UltimaのSP1000を組み合わせ、ハイレゾ音源で確認。Susan Wongnの「How Deep is Your Love」は、音が出た瞬間、フレッシュで軽やかな空気に包み込まれる感覚が新しい。音源に含まれる空間の広さが忠実に再現され、音がそれぞれの余韻を湛えて描かれて行く。こうした特徴はやはり、本機自体が振動板や筐体で固有の響きを持たないためだろう。

聴き込んで行くと、解像度の高さによるディテールの深さにも感心させられた。ボーカルは声帯の粒立ちが感じられるほどの近接感で、アーティストを間近に感じることができる。単純には、高域が淀みなくクリアで伸び伸びとしつつも、刺さり感のような歪を感じさせない完成度の高さが秀逸。音自体にも聴く側にもストレスフリーなのは美点だ。

低域は組み合わせるイヤーチップやフィッティングによって少なからず印象が変わるが、基本としてキレを重視した音作りだ。重低音ファンはモノ足りなく感じるかもしれないが、音のバランスを高解像度で忠実に再現する方向で、アコースティック楽器の音色をナチュラルに楽しめるのは何よりだ。

ダイナミック型でありながら、音質傾向はCNTやリキッドメタルの特徴を活かし、空気を感じられる繊細さを併せ持つ。ハイレゾ時代のハイエンドイヤホンに、また新たなキャラクターが登場した感を覚える、新鮮なサウンドだ。

イヤホンは成熟した製品ジャンルだが、新しいブランドが独自の技術で開拓する音作りの可能性は無限で、楽しみも尽きない。本機は、ハイエンドイヤホンとしては比較的手の届きやすい価格も魅力で、ぜひ試聴をお勧めしたい好モデルだ。

続いて折原一也氏のレビュー!

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