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【特別企画】ポータブル機器としてのバランスも抜群

FiiO「X7 Mark II」を聴く ー アンプモジュールが交換可能なフラグシップDAP

2018/03/06 岩井 喬
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エレキギターのリフはクリアで締まり良くまとめ、リズム隊もタイトで鮮明なビートを聴かせる。ボーカルは口元のハリが若々しく感じられ、ボトムの密度感も芯を大事にした描写としているようだ。ホーンセクションやピアノ、シンバルの響きは涼やかで、アタックは硬さも伴う。しかし余韻の透明感、音場のS/Nの良さと相まって、非常に清涼な印象を得ることができる。

11.2MHz音源においてはクール&ウェットでスマートなボーカルの際立ちとピアノの清々しいハーモニクスが絶妙にマッチ。DSDよりはPCMライクな傾向の質感だが、音像一つ一つにスポットを当て、抜き出すような明瞭な描写は極めてリアルなテイストである。

最後に、AZLAの同軸ハイブリッド型2ウェイ・イヤホン「AZLA」をバランス駆動にて繋いでみたが、高域のハリ出しと低域の制動良いまとめ方のバランスが整い、自然でほぐれよいサウンドだ。音像の引き締め感も程よく、エレキギターのディストーションも中域の密度をしっかりと引き出している。

ボーカルの肉付き感もナチュラルで、口元のハリは流麗な艶感を伴う。オーケストラの旋律は落ち着き良く爽やかな響きで、同軸方式ならではの定位の自然さ、見通しの良さが際立つ。ジャズのホーンセクションやピアノの響きも伸び良くクリアで、余韻やハーモニクスを丁寧にトレースする有機的なサウンドを味わうことができた。



X7 Mark IIはFiiOとしても待望の11.2MHz・DSDネイティブ再生を実現するハイエンド機であり、付属のヘッドホンアンプモジュールAM3Aによって箱出し状態からバランス駆動も存分に味わえる、全方位万全なハイレゾDAPとして仕上げられている。

10万円前後というカテゴリーにおいて、圧倒的な強みを備えるX7 MarkII。モジュール交換ができる発展性にも改めて注目したい

10万円前後の価格帯には強力なライバル機もひしめく競争の激しいゾーンであるが、アンプモジュール交換機能という他にはない個性により、ハードウェアレベルでチューニングできる点は最大のメリットだ。今後4.4mmバランス対応モジュールなど、時代に即応した展開にも期待が持てる。より一歩踏み込んだDAPが欲しい方にとって、X7 Mark IIはこの価格帯で唯一の選択肢となりうるモデルといえるだろう。

(岩井喬)

■試聴ソース
・飛騨高山ヴィルトーゾオーケストラ コンサート2013『プロコフィエフ:古典交響曲』〜第一楽章(96kHz/24bit)
・『Pure2-Ultimate Cool Japan Jazz-』〜届かない恋(2.8MHz・DSD)
・Suara「キミガタメ」11.2MHzレコーディング音源
・Whitesnake『Whitesnake(30th Anniversary Remaster)』〜Here I Go Again 87(96kHz/24bit)




特別企画 協力:エミライ



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