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【特別企画】ポータブル機器としてのバランスも抜群

FiiO「X7 Mark II」を聴く ー アンプモジュールが交換可能なフラグシップDAP

公開日 2018/03/06 10:00 岩井 喬
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端子や出力を自由に選べる「アンプモジュール」システム

本機の特徴となっているアンプモジュールは、X7ではオプション扱いであった2.5mm・4極仕様のバランス駆動出力を備える「AM3」を進化させた「AM3A」を標準装備。アナログ・デバイセズ製の広帯域JFETオペアンプ「AD8620」に加え、専用設計された特注仕様のオペアンプ「OPA926」も搭載。X7に付属していた「AM1」から比較すると大幅なステップアップを実現した仕様であり、この点だけでも非常に魅力的である。

ネジを外せばヘッドホンアンプ部がカセットのように取り外せる

オプションとして用意されているモジュールには、新日本無線製高音質オペアンプ「MUSES02」を搭載するミディアムパワー型の「AM2」や、MUSES02に加えヘッドホンも難なく駆動する「TPA6120A2」を備えるハイパワー型の「AM5」、さらに本体のライン出力や同軸・光デジタル出力、あるいはUSB-OTG接続のみを使うユーザーに最適なノンアンプの「AM0」という個性的なラインアップが用意されている。

ヘッドホン出力が無く、デジタル出力メインのユーザーにぴったりの「AM0」

よりグレードの高いオペアンプを載せた「AM2」、高出力の「AM5」とニーズをまんべんなくカバー

モジュール交換は付属するドライバーを使い、ボディ両側のネジを外して差し替えるだけ。なおこれらのモジュールは、もともと初代X7のデザインに合わせて設計されているのだが、Mark IIはデザインの整合性を考慮した取り付けパーツを同梱しており、細やかな点への配慮がなされている点も嬉しい。

モジュール固定ネジは六角星型のいわゆるトルクスねじ。ネジ径は本体に記載してある上、対応ドライバーが付属するユーザーフレンドリーな使用

FiiO純正イヤホンと組み合わせてフラグシップ機のサウンドをチェック

試聴はまず、Knowles製デュアル・バランスド・アーマチュア型ドライバー「TWFK-30017-000」とPEKポリマーナノコンポジット振動板採用9.2mmダイナミック型ドライバーを組み合わせた、FiiOのハイレゾ対応ハイブリッド型イヤホン「F9 PRO」との純正ペアで聴いてみた。

FiiOのハイブリッドイヤホン「F9 PRO」(予想実売価格¥19,300前後)。MMCXでケーブル交換が可能で、バランスケーブルが初めから付属している

はじめに標準的なシングルエンド接続でのサウンドであるが、ヌケ良くメリハリの良い鮮明な傾向で、ローエンドは密度良く引き締め、アタック感を的確に聴かせてくれる。ボーカルの質感は口元のハリをクールに立てて倍音滑らかに描く。ピアノやシンバルのアタックはブライトに輝き、全体的に腰高な印象も持つ。低域から高域にかけてのエナジーバランスは整っており、オーケストラの旋律も膨らみすぎず、ハーモニーの芯をすっきりと表現してくれる。

F9 PROは金属質な筐体にバランスド・アーマチュアとダイナミック型ドライバーを内蔵するハイブリッド型となっている

11.2MHz音源もフォーカス良く音像を描き出し、余韻も澄み切っており、楽器の分離感も高い。AndriodモードからPure Musicモードに切り替えるとバックグラウンドのざわつき感がなくなり、S/N良く朗らかなサウンドへと改善された。音場の前後感も明確にわかるので、ハイレゾ音源を楽しむならPure Musicモードは必須といえるだろう。

続いてF9 PRO付属の2.5mmバランス駆動ケーブルに付け替え、バランス接続でのサウンドも確認。より音像の輪郭感が明確となり、低域方向のグリップも低重心となる。アタック&リリースのスピード感、収束のキレも高く、余韻の滲みや制動の弱さは感じることがない。

X7 Mark IIとF9 PROは、それぞれの付属品だけでアンバランス接続もバランス接続もどちらも試すことができる。コストパフォーマンスも高い

次ページ他社製イヤホンの性能も十分引き出せる

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