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DAPとしてスマホとしての機能性の高さにも改めて注目

音質なら今なお“一択”。オンキヨーのハイレゾスマホ「GRANBEAT」を使い続ける理由

公開日 2018/01/31 08:28 折原一也
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スマートフォンとしてのスペックも改めて確認しておこう。ディスプレイは5.0インチのIPSパネルでフルHD解像度。Android 6.0採用で、クアルコムのMSM8956にメモリ3GBというスペックは、ミドルクラスのスマートフォンとして十分通用する水準だ。実際、アプリやゲームの動作も文句ナシ。内蔵ストレージ128GBも本来はハイレゾ音源の保存を想定しているのだろうが、アプリ用にも有用だ。microSDカードスロットは1系統を備え、最大400GBの拡張も可能となっている。

また、本体ファームウェアが継続的にアップデートされていることにも注目したい。今年1月17日にもVer. 1.047となるファームウェアが配信され、HOLDキーを入れた際、サイドキー/ボリューム/画面各操作それぞれにHOLD機能を利かせるかどうか設定できるようになった。さらにサイドキーの曲送り/戻しの割り当てを入れ替えることが可能になったが、これはタッチ操作を行いつつキー操作を行う場合に重宝する。そのほか、セキュリティ強化なども実施された。今後も使い勝手のさらなる向上に期待できるだろう。

ワイドレンジかつクリアなサウンド。楽器の質感にまで踏み込んで表現

改めてGRANBEATのサウンドをアンバランス接続でチェックしてみよう。音質チェックのリファレンスとして今回用意したのは、パイオニアのハイレゾ対応イヤホンのヒットモデル「SE-CH9T-K」だ。

「SE-CH9T-K」と組み合わせてまずはアンバランスで試聴

映画『ラ・ラ・ランド』サントラより「アナザー・デイ・オブ・サン」を聴くと、ジャズ調の楽曲をワイドレンジかつ余裕たっぷりのサウンドで鳴らしてくれる。特にGRANBEATのサウンドの持ち味と言えるのが、楽器の音の質感表現だ。例えばピアノの音色は、硬質さだけでなく艶までしっかり再現する。低音は空気感までまとってサウンドステージを展開し、弦の質感やアタックの感触までしっかり引き出してくれる。

RADWIMPSの「前前前世 (movie ver.) 」は鋭いエレキギターを前面に描きつつ、ボーカルと伴奏をバランス良く展開。セパレーションも優れていて、結果として豊かな空間表現で聴かせてくれる。ボーカルのクリアネスも特筆でき、ポータブルオーディオならではの音楽への没入感をいっそう高めてくれる。

洋楽のヒット曲もチェックしたいと、マーク・ロンソンの「Uptown Funk ft. Bruno Mars」を聴く。ビートは立ち上がりが鋭く、バスドラムやベースなどの低音は沈み込みの深さと質感の再現を両立させている。結果として、楽曲のスケール感、グルーブを基調としたダイナミズムをストレートに引き出してくれる。今回はあえて実売1万円を切るSE-CH9T-Kと組み合わせたが、この水準のサウンドは専用機のDAPと凌駕する相当な実力と言えるだろう。

余談だが、GRANBEATで音楽を聴いているとスマートフォンで音楽を聴いているということをすっかり忘れてしまう。デザインやUIが優れていることもあるが、やはりその音がスマートフォンという領域を超越しているからだ。

バランス接続で試聴するとクリアネスや音のキレが大きく向上

GRANBEATを使っているなら、2.5mmバランス出力はぜひ活用したい。ちなみに本機は、2種類のバランス駆動を用意している。ひとつは「Balanced」で一般的なBTL駆動、もうひとつは「ACG(アクティブコントロールGND)」というオンキヨー独自の方式だ。後者は2基のアンプのCOLD側を使ってGNDをアクティブにドライブして、揺るぎのない理想的なGNDをキープできるというものだ。今回は筆者好みの音調でふだん使いしているACGで試聴を行った。

続いてケーブルをサードパーティー製のバランスケーブルに付け替えて、バランスで試聴

SE-CH9T-Kのケーブルを2.5mmバランス対応のものに交換して改めて音楽を聴くと、音楽のジャンルを問わず、雑味がさらに減ってS/Nが明確にアップする。「アナザー・デイ・オブ・サン」ではボーカルがより前面に引き出され、空間を広く描くというよりは、各音のフォーカスをより明瞭にしてくれる。一方で低音の量感も一段増し、臨場感が高まる印象だ。

「前前前世 (movie ver.) 」でもボーカルがやはり前にでて生々しい印象になる一方で、バンドの演奏は奥行き感が増す。低音域も一段とタイトになり押し出し感が増している。「Uptown Funk ft. Bruno Mars」を聴くと、音の粒立ちの良さ、歯切れ良さが向上するかたちでその変化を確認できた。特にこの楽曲の突き上げるような低音のエネルギー感は、特にバランス接続での表現が好印象だった。なお、よりパワフルなサウンドを求めるなら、「Balanced」を選択するとよいだろう。

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