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<山本敦のAV進化論 第152回>

ソニーのBT/NCイヤホン「WI-1000X」をロングフライトで試す。エコノミーの辛さも軽減するグレードアップ効果

2018/01/23 山本 敦
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試して実感:WI-1000Xの便利なポイント

WI-1000Xの機内での実践レポートに入る前に、ワイヤレスオーディオ機器を空の旅で使う場合の注意点について触れておきたい。Bluetoothによる無線通信を使うワイヤレスヘッドホン・イヤホンは、航空会社・航空機がそれぞれに機内での利用に制限を設けている。JALやANAはサイト上でBluetooth機器の使用条件に関する詳細を公開している。その他の航空会社についても、念のため出発前に乗り継ぎ便も含めてBluetoothイヤホンをワイヤレスで使える条件を調べてから旅に出ることをおすすめしたい。

ラスベガスに向かう機内で試してみた

なお、筆者が今回利用した飛行機は「東京 ー バンクーバーで乗り継ぎ ー ラスベガス」という往復便だったのだが、出発直前に調べたところ「東京 ー バンクーバー」の便はBluetooth機器の使用が不可、「バンクーバー ー ラスベガス」の間は筆者が乗った当日の便はBluetooth機器が使えるという条件だった。そのため、大陸間を移動する飛行機では有線接続用のケーブルが必要ということになり、アプリの効果は「バンクーバー ー ラスベガス」の往復便で試した。

さらにエアカナダでは機内に乗り込んでから、離陸してから安定飛行に入るまで、あるいは着陸態勢に入ってから着陸までの間は有線接続のイヤホンは使うことができても、ヘッドホンの使用も禁止とされていた。

はじめにパーソナルNCオプティマイザーでノイズキャンセリングの効果を最適化した。スマホとBluetooth接続ができる環境であればアプリのメニューから「ノイズキャンセリングの最適化」を選んで「開始」をタップすると、10秒程度で測定が完了する。スマホとイヤホンが有線ケーブルで接続されている場合は本体右側のNC/AMBIENTボタンを長押しすると、同様に最適化のプログラムが走る。

パーソナルNCオプティマイザーは大気圧の環境にもノイズキャンセリングの効果を最適化してくれる

飛行機が離陸してから安定飛行に入ったあと、改めて最適化を設定すると、消音効果の耳馴染みがマイルドになってプレッシャーも軽くなったように感じた。サウンドは特に音像の鮮明度が上がり、人の声が聴きやすくなる手応えもある。

「東京 ー バンクーバー」間はWI-1000XをiPhoneに変換アダプターを介してつないで、持参した音楽や動画を楽しんだ。機内エンターテインメントも同じイヤホンで楽しめるので、映画の視聴などに使い倒しながらリラックスできた。結局機内エンターテインメントはシングルタイプのプラグでM変換プラグは不要だった。ボーイング787-9の機体はエコノミーも各座席に電源プラグがあったので、バッテリー切れは心配なかったのだが、取りあえず東京からバンクーバまでの8時間半でバッテリーがどれぐらい消耗するのかチェックしたかったので、あえて充電しなかった。バッテリーの残量の目安はスマホアプリの画面上から確認できるので便利だ。

バッテリーについて結論から言えば、バンクーバーまでの間。コンテンツを視聴していない時もノイズキャンセリングをオンにして、電源をつけっぱなしにしていても、片道のフライトはらくらくと持ちこたえた。しかも付属の有線リスニング用ケーブルを使うと、本体の電源がオフの状態でも音を聴けるのが頼もしかった。

機内エンターテインメントで映画『ローガン』を試聴した。ノイズキャンセリング機能をオンにすると、持続する低いエンジン音に甲高い高域の風切り音もすっときれいに消える。役者のセリフが明瞭になり、微妙な抑揚のニュアンスもつかめるようになる。小音量の効果音までキリッと立ってきて、臨場感と迫力あふれる舞台の情景が広がった。飛行機に乗っていることを忘れて、2時間の作品の世界にのめり込んだ。

機内エンターテインメントも有線接続で楽しめるので心強い

WI-1000Xはコンパクトなイヤホン本体の内側と外側にマイクを乗せた「デュアルノイズセンサーテクノロジー」を搭載し、独自のアルゴリズムによってノイズだけを高精度に打ち消す仕組みを採用している。ノイズがきれいに消去されるだけでなく、機能のオンとオフを切り替えた時に違和感が感じられないことや、鼓膜が抑えられるような不自然なプレッシャーのない素直なリスニング感を特徴としている。さらに有線接続時にはノイズキャンセリング機能をオンにした状態でもハイレゾ再生が楽しめるイヤホンはほかにあまり多くはない。

ユーザーの行動に応じてノイズキャンセリングと外音取り込みのモードを自動で切り替える「アダプティブサウンドコントロール」もWI-1000Xに搭載されている特徴的な機能だ。プリセットは「止まっている時/歩いている時/走っている時/乗り物に乗っている時」の4パターン。ペアリングされたスマートフォンの加速度センサーやGPSから得た情報を元に切り替える。

ユーザーの行動をペアリングされているスマホのアプリで解析。それぞれのステータスに最適なノイズキャンセリングの設定がプリセットできる

乗り物に乗っている時はノイズキャンセリングをオンに。デフォルトではオフになっているボイスフォーカスをオンにして周囲の声が聴きやすくなるようにカスタマイズも可能

「バンクーバー ー ラスベガス」間の移動時にはBluetooth接続ができる環境だったので、機内でこれを使ってみた。最初は「乗り物に乗っている」と正確に判定されたが、しばらくすると「止まっている時」に切り替わってしばらく戻らなくなってしまうことがあった。アダプティブサウンドコントロール機能は元もとペアリングされているスマホに設定を依存する部分も大きいようだ。もし飛行機での長旅など基本的にはノイズキャンセリング機能をフルパワーで効かせたままにして、動き回る必要がない場所ではあえてオフにしてもいいかもしれない。

イヤホンはハウジングのサイズがやや大きめだが、イヤーピースのフィット感が安定しているので、長時間耳に着けていても負担に感じられることはなかった。エコノミーの座席はヘッドレストが小さくて固めなので、筆者の場合はヘッドホンを装着した状態だとゴツゴツとした感触が気になって眠れないことが多い。そのためノイズキャンセリングヘッドホンを機内に持ち込んでも、寝る時間には外したり、普通のイヤホンに着替えて使っていたのだが、WI-1000Xの場合はノイズキャンセリング機能をオンにし、そのままぐっすりと眠ることができて快適だった。

唯一装着感で気になったポイントは、ネックバンドスタイルのイヤホンなので、トラベルピローと一緒に使う場合は上下の位置を工夫しないと首もとが苦しくなったり、イヤホンケーブルがピンと張り詰めた状態になって耳元から落ちやすくなる。先にトラベルピローを装着し、その上にWI-1000Xを装着するとうまい具合に安定した。

空の旅の定番、トラベルピローと装着スタイルがバッティングするので、先に枕>あとからイヤホンの順に装着するとバランスが良かった

今回はWI-1000Xを使ってみて、基本の音質やデジタルノイズキャンセリング機能の完成度が非常に高いことを実感した次第だが、それよりも飛行機での長旅には、有線接続もできるワイヤレスヘッドホン・イヤホンを用意しておくことがとても重要と思い知らされた。そうすれば飛行機でBluetooth機器が使えないとわかったときにも安心だ。旅先で手荷物の負担にならず、バッグからすぐに取り出せるキャリングケース&ポーチを含めたサイズ感も気にしながら製品を選びたい。その点、WI-1000Xは音質・機能性ともにバランスの取れた、信頼の置けるイヤホンであると言えそうだ。

(山本 敦)

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