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AKG「K812」「N40」で試聴

待望の水樹奈々ハイレゾをCDと比較試聴! 名門ブランドのハイレゾ対応モデルでサウンドレビュー

公開日 2018/01/17 12:08 岩井 喬
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基本的なハイレゾの特徴、アニソンにおけるハイレゾの捉え方

ここでは、CDとハイレゾのスペックの違いをおさらいしたい。

CDはPCM方式・44.1kHz/16bitという器に記録されているのに対し、ハイレゾと定義されるものは44.1kHz/24bit以上のクオリティで記録されているものを指す。サンプリング周波数とは、1秒当たり何回元々のアナログ波形を計測できる箇所をつくるかという数値であり、44.1kHzであれば44,100回、48kHzでは48,000回、96kHzは96,000回となる。そしてbit数であるが、サンプリング周波数で決まる計測点においてどのくらいの信号レベルなのか数値で表すために表現できる段階の範囲となる。

bit数が増える場合のメリットを簡単に説明すると、物差しの間隔が1cm刻みであったものが5mm刻み、1mm刻みと細かくなっていくようなもので、より正確に波形データを数値化できる。CDの16bit(65,536段階)とハイレゾ基準の24bit(16,777,216段階)だと8bit差となる。8bitは2の8乗=256倍なので、それだけ物差しの刻みが細かくなるということだ。

サンプリング周波数/bit数が低い(上)ものと高いもの(下)では、高いものの方が元のアナログ信号に近い信号となる

では、これが実際の音になった場合、どういう違いになるか? サンプリング周波数が高くなることで一般的に解像度が向上するといわれるが、具体的にはボーカルや楽器の輪郭が鮮明となり、分離が良くなってくる。

対してbit数は空間情報量の向上、いわゆる音場再現性であるが、音と音の隙間、楽器との距離感やリヴァーブの響きなど、定位や奥行き、余韻の階調性がより深くなってリアルさが増してゆく。

アニソンであっても基本的な傾向はこの通りであるが、J-POPを含め、昨今は生楽器の少ない打ち込み系を多用した楽曲も多く、クラシックやジャズといった生楽器メインのジャンルにおけるハイレゾとは違う観点で評価する必要がある。特にアニソンの中でもキャラクターソング系はキャラクターとなるメインの声優ボーカルのバランスを強めに際立つようにミックスされるため、バックのサウンドが控えめなことも多い。

またキャラクターの設定に合わせた声作りをして録音を行う場合、喉に負荷をかけることもあり、伸びを抑えた硬めの声質となることもある。そしてバックトラックについても基本的に音数が多く、音と音の隙間があまりない、高密度な音場であるため、音ヌケ良くするためにタイトなバランスでまとめられているものが多い印象だ。

ハイレゾではそうした質感をストレートに引き出すため、一般的な高音質の解釈とは違うものとなるかもしれない。しかしアニソンを求めて聴く者にとっては、その質感をそのままよりはっきりと味わいたいわけなので、従来からの尺度に収まらない判断が必要だ。

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