クラスを超えた物量を投入

パイオニア「PD-70AE」レビュー。銘機の系譜を継ぐ、ディスク再生特化のSACDプレーヤー

大橋 伸太郎

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2017年12月15日
パイオニアから満を持して登場したSACDプレーヤー「PD-70AE」を大橋伸太郎氏がレビュー。USB-DACなどはあえて省いてディスク再生に集中、クラスを超えた物量を投入した本機の音質を検証していく。

■多機能化の潮流に逆らい現れたディスク専用機「PD-70AE」

ダウンロードやストリーミング、クラウドがどれだけ一般化しても、ディスク(CD/SACD)はオーディオファイルの試聴室にあって不動の主役だ。安定した再生互換性という点でディスクはデジタルファイルに勝る。音楽ソフトのオーサリング過程で生まれたハイレゾは産地直送のごとき鮮度が魅力だが、オーサリングの日進月歩によってCDの音質も44.1kHzの枠内でめざましく向上した。ハイレゾとディスクは対向軸上にあるものでなく一体で歩む存在なのだ。

PD-70AE(¥280,000/税抜)

それを反映してか、受け皿のハードウェアたるディスクプレーヤーは全体の趨勢として多機能化しつつある。特にUSB-DAC機能を備えた製品は非常に多く、システムの中で機能のダブリを無駄に感じている方は少なくないはずだ。

「ファイル再生用に単体DACを持っているからUSB入力は不要。ディスクプレーヤーはディスク再生に徹してほしい……。」

声なき声に答えるように、現況に一石を投じる製品が現れた。パイオニアのSACD/CDプレーヤー、「PD-70AE」がそれだ。

■「ディスク再生のエキスパート」に徹した内部構造

PD-70AEはUSB入力もネットワーク入力(有線LANやWi-Fi)も持たない。デジタル入力は、背面に同軸デジタルと光デジタルのみ備えている。外部からのデジタル入力への対応のために生じる回路の煩雑化を嫌い、ディスク再生のエキスパートとしてシンプル&ダイレクトな回路設計を優先したわけだ。

背面端子部。アナログ出力はXLR/RCAを1系統ずつ搭載。デジタル入出力は同軸/光デジタルのみ搭載する

一般的にデジタルプレーヤーは、装填したディスクにサーボを掛けて高速回転させ、エラー訂正を行いつつ信号を読み取る。つまり自身のメカニズムで発生する振動がジッターの原因になり音楽信号に影響を及ぼす宿命を持つが、この問題を解決するべくパイオニアがPD-70AEで採用した設計手法は確信的で妥協のないものだ。

天板を外して内部を見ると、シャーシは2重構造。高剛性の筐体を高比重真鍮製インシュレーターを足元から支える、リジッドアンダーべースを採用した。これはいわばパイオニアのお家芸、質量は19.6kgに達する。

低重心の筐体、部品からこだわった基盤など、物量投入は基本

心臓部ドライブメカは制振黒塗装のハニカムカバーで覆われ、往年のハイビジョンLDプレーヤー「HLD-X0」を彷彿させる。そのドライブメカは高剛性鋼板を介してメカベースに固定されるが、減衰性の高いパルプ素材を挟み込んだフローティング構造とする凝り様だ。これでドライブ内外に発生する共振と定在波をカットした。ユーザーが日常インターフェースするディスクトレイは捻れ耐性に優れたアルミダイキャスト製だ。

ハニカム仕上げの金属製カバーが特徴的なドライブメカ

ディスクを受け止めるトレーはアルミダイキャスト製で重厚

DACにESSの8ch DAC「ES9026PRO」を贅沢にもL/Rchに1基ずつ搭載。それぞれ8chパラレル駆動とした。さらに、D/A変換からさらに後段の信号出力までのアナログステージ全てをL/R独立のフルバランス回路で構成。アンプとバランス接続した場合、共通インピーダンス発生を抑え、チャンネルセパレーションを高める設計だ。RCAアンバランス信号出力のオンオフ機能を搭載、XLRバランス出力時のS/Nとチャンネルセパレーションをさらに追い込む設計。そのXLR端子は、非磁性体メッキを施したカスタム品だ。

PD-70AEの側面部。重厚なシャーシに身を包んでいる

楽器による差異すら描き出す再現性

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